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性暴力に”優しい”日本 勘違いした大人にならないために

2017/7/20(木) 6:03配信

BuzzFeed Japan

「夜明けの祈り」というポーランド映画が間もなく公開されます。第二次世界大戦中に起きた実話を元にした映画で、ソ連兵複数人がポーランドの修道院に侵入し、性暴力を行った後、7人の修道女が妊娠したという内容です。

フランス人の女性医師が修道女たちの力になり、救いもある物語ですが、身ごもった修道女たちが信仰と命の尊さの間で苦悩しながら出産する姿が描かれ、性暴力が身体的、精神的被害をもたらすことがよく伝わってきました。

「昔の話だから」「戦争という状況下だから」と過去の性暴力被害を軽んじ、目を背ける向きもありますが、映画に描かれていた修道女たちの苦悩と比べて、現代日本における性暴力被害者の立場は改善されたとは残念ながら言えません。【寄稿・宋美玄 / BuzzFeed Japan】

レイプ告白、インターネットの反応に違和感

5月末に、ジャーナリストの詩織さんが顔と名前を公表して、自身が受けた準強姦の事件が不起訴になったことを世に訴えました。

事件が起きたホテルの防犯カメラやタクシーの運転手の証言などがあり、被害は信憑性の高いものだと思われます。しかし、残念ながら詩織さんに対し、インターネット上には「会見時の服装の胸元が開いていて被害者らしくない」などとバッシングするコメントが少なからず見られました。

詩織さんの件は、性行為をした相手が政権に近い人物とされたこともあり、事件を政権批判に利用したり、逆に政権を擁護するために詩織さんをバッシングしたりという現象も見られました。

それはともかく、少なくともお酒に酔いつぶれた人と性行為をすることを「悪くない」と思っている人が相当数いることは感じられました。

意識が朦朧としているなど、意思表示がはっきりできない状態で性行為に及ぶことは準強姦罪に当たり、犯罪です。しかし、残念ながら「いかに性行為に持ち込むか」という巷のマニュアルには「強いお酒を飲むよう誘導する」旨のことが書いてあります。

私は産婦人科医として性暴力の被害者を診察した経験が数多くあり(注:私が診察するのは女性の被害者のみです)、そのような目に遭った女性が医療機関を受診した後に警察につないだことがあります。

警察は当然のごとく犯罪として対応してくれましたが、医療機関の男性産婦人科医の上司たちに「お酒を飲んでセックスに持ち込むのが犯罪なら何もできないじゃないか」「お前は男の敵だ」と口々に言われ、非常に憤りを感じたことがありました。

女性の健康を守る立場にある産婦人科医の中にもそのような人がいるくらいですから、一般にそのような考え方が蔓延していることは驚くことではないのかもしれません。

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最終更新:2017/7/20(木) 6:03
BuzzFeed Japan