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中国に現れた「セーラームーン スマホ」は、“パクリ”どころか最新技術が詰まっていた?

7/20(木) 6:01配信

ホウドウキョク

セーラームーンとコラボ

月に代わって、おしおきよ―。そんなことを言いたくなる事態が中国で起きていた。

6月、中国で新しいスマホが発売された。その名も「セーラームーンスマホ」。

【画像】「セーラームーンスマホ」はこちら

世界中で人気のアニメ「美少女戦士セーラームーン」とコラボしたスマートフォンで、セーラームーンステッキをイメージした自撮り棒、オリジナルスマホカバーなどもセットになっている。

全世界で1万台限定の販売ということで、ファンは大注目。広州で予定されていた発売イベントには、ミラクルロマンスを求めて多くの人が集まったという。しかし、実際に会場にいた人に聞くと、集まっていた人の中には、セーラームーンには興味なさそうな雰囲気の男性の姿も多く見られたという。

彼らの目的は「転売」。発売後は即完売となることが事前から予想されていて、本来3000元(4万8000円)のスマホが1万元(16万円)で売れるという。それを何とか手に入れたいと集まったのだ。

そのせいで現場は混乱し、結局イベントも中止になったという。

騒動となったセーラームーンスマホの人気ぶりを聞くと、まず「日本アニメのパワー」に意識が行ってしまうが、このスマホの“本当のすごさ”は実は技術面にあるという。これを開発した企業の本社が中国・厦門にあるということで、実際に訪問した。

セーラームーンで埋め尽くされた社内

「セーラームーンスマホ」を作ったのは、中国企業のMeitu(美図)。本社の外観や入り口、休憩室に至るまで、セーラームーンに埋め尽くされていた。

Meitu は2008年に厦門で設立された会社で、スマホの製造・販売、およびアプリの開発・提供を行なっている。去年12月15日に香港で上場。アリババ、テンセントに次ぐ大規模なIPO(新規公開株)となった。

社内を歩かせてもらって、まず感じるのは社員が非常に若い。平均年齢は約26歳なのだそうだ。男女比はほぼ半々だという。

Meituによると、アプリの総ダウンロード数は11億にのぼり、月間のアクティブユーザー数は4億5600万人。並のアプリと桁が違いすぎて、思考回路はショート寸前だ。

日本でもっとも有名なサービスが、世界初の自撮り特化型アプリ「BeautyPlus」。写真の人物の肌や髪などを簡単な操作で、瞬時に美しく加工してくれるもので、10代から20代の女性を中心に広がっている。
日本国内でもユーザー総数は1500万人に増えているという。ホウドウキョクの20代の女性スタッフに話を聞いてみたところ、確かに普段からよく使っていると教えてくれた。

さらに、指先でタップするたびに一瞬でファンデーションやリップ、アイシャドウなど様々なメイクをしてくれるアプリ「MakeupPlus」も人気が上がっている。

この技術を発展させるため、Meituの開発陣が注目したのは日本のプリクラ。目を大きくしたり足を長くしたりできるプリクラの技術を研究するため、実際にプリクラの機械を中国にも取り寄せたという。

ただ、VPの陳傑氏は「大げさな加工を加えることは昔のトレンドなので、もっとナチュラルな加工を施していきたい」と語る。

「化粧と同じで、いじったことがあまりわからないようにしたいです。プリクラはエンターテイメントなので構わないと思いますが、我々は“未来のモノ”を作っていきます」
陰陽師とコラボしたアニメフィルターを使って、筆者も顔を加工してみた。肌のきめ細かさなど、もはや自分でも自分のことが一瞬でわからないほどだ。

これらの画像の加工機能を支える最も重要な技術がAI(人工知能)だ。顔の171点を認識し、3Dのイメージングをすることで、正確で自然な加工を施しているという。

一口に「美しく加工」と言っても、国や地域、人種によって「美しい」と感じる肌の色も髪の色も違う。そのために様々な顔のデータ収集とローカライズによるチューニングが必要となる。

さらに言えば、個人個人に「こうありたい」という「美」がある。

AIを使えば、そのアプリを使い続けている人の「パーソナルに合った美」を追求でき、その人が求めている化粧品を勧めたり、商品そのものを開発したりできるようになるという。

AIを使った研究開発は、それだけにとどまらない。近い将来、カメラを通して肌を見るだけで、何の栄養が欠けていて、何を必要としているかがわかる診断サービスを始める予定だという。

CEOの呉欣鴻氏も「AIによる肌の診断は、人間の医師を超えている。肌に関するもっと具体的な研究をAIでやっていきたい」と胸を張った。

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最終更新:7/20(木) 6:01
ホウドウキョク