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沼固有の「古代ハス」と判明 館林・城沼の群落 1400~3000年前から自生の希少種

7/20(木) 6:02配信

上毛新聞

 群馬県館林市の城沼に自生するハスのうち、ほぼ西半分の群落が1400~3000年前から自生している沼固有のハスと考えられることが、研究者の調査で明らかになった。遺伝子から「古代ハス」として知られている「大賀ハス」「行田ハス」に近い種類に分類され、希少価値が高いことが判明。城沼のハスの生態が詳しく学術的に分析されるのは初めてで、調査結果は10月に沖縄県で開かれる植生学会で発表する。

◎10月の沖縄・植生学会で発表へ

 8年前から城沼の植生研究に取り組む県自然環境調査研究会調査員の青木雅夫さん(68)と、植物系統学が専門の愛知教育大教授、渡辺幹男さん(55)が調査。城沼西部の尾曳橋付近から中央部にかけた約1キロの両岸で、幅およそ10~30メートルにわたって断続的に形成されている群落が、こうした年代からの種とみられるという。

 調査は、城沼全域を対象に衛星利用測位システム(GPS)で位置を確認しながら無作為に葉などのサンプルを収集。個体の遺伝子を比較したところ、西部の個体は千葉市の遺跡から種子が発掘された「大賀ハス」や、埼玉県行田市の水田跡から見つかった「行田ハス」の遺伝子と90~100%近く一致した。花弁数も古代ハスの特徴とされる15~20枚だった。

 渡辺さんは、この群落では他の植物との交配が進んでいない状況があるとして、「古いタイプの同じ遺伝子を持つ群落で、他から運ばれてきたものが定着したとは考えにくい。もともとあったハスが生き続けた証しで、同じ水環境が保たれてきたことが大きいのではないか」と分析。青木さんは「城沼のハスが古い種類で希少な固有種だと明らかになった。今後はより詳しい調査が必要になる」と話した。

 大賀ハスと行田ハスは、近くにあった木片など遺物の年代測定から、それぞれ約2000年前、1400~3000年前の種子と推定されている。各地に分根され、大賀ハスは千葉県の天然記念物、行田ハスは行田市の天然記念物に指定されている。城沼のハスは大賀、行田ハスと異なり、葉の下で多く花が咲くという特徴もあるという。

 大賀ハスの保存に取り組んでいる蓮(はす)文化研究会(東京都)の会長、南定雄さん(71)は「調査結果が確認されれば全国的にも貴重な成果だ。ほかのハス研究にもつながってほしい」と期待した。

「何ができるか検討」 須藤和臣館林市長の話

 以前から城沼のハスに注目していたが、希少性が明らかになり、調査に感謝している。市として何ができるか検討したい。

《城沼》

 館林市中心部を東西に流れる鶴生田川が広くなった部分で面積約50万平方メートル。館林城跡の南東に隣接し、城を守る自然の要害として沼の状態が維持された。江戸時代からハス群生地として記録が残る。現在は、夏季の「花ハス遊覧船」が人気を集め、水上の美しい花と涼を求める観光客でにぎわう。

最終更新:7/20(木) 6:02
上毛新聞