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音楽フェスは「現実逃避」か? ロスジェネ世代にウケた「本当の理由」 競争社会の「勝ち組」疑似体験

7/27(木) 7:00配信

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 音楽フェスの季節が今年もやってきました。1997年にフジロックフェスティバル(新潟・苗場、今年は7月28~30日)がスタートして20年。その間、各地であまたのフェスが誕生し、その光景は日常化しました。では、日本でなぜここまで定着し、広がりを見せたのでしょうか? フェス文化に詳しい神戸山手大学の永井純一准教授は、「世代」を切り口に読み解きます。(朝日新聞記者・河村能宏)

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「音楽以外の要素がたくさん入っている」

――1997年に始まったフジロックフェスティバル以降、多くのフェスが誕生し、国内で定着していきました。それ以前にも音楽イベントはありましたが、何が違うのでしょうか?

「古くから、複数のミュージシャンが出演する音楽イベントは日本でもたくさんありました」

「例えば50年代のロカビリーブームを生み出した日劇ウェスタンカーニバルや、米ウッドストック・コンサートに触発されて69年に東京の日比谷野音で開かれたロック・コンサート第1号『ニューロックジャム(通称・10円コンサート)』。しかし、多くが原則的に1つのステージで展開しています」

「一方で昨今の音楽フェスは、一つの空間に複数ステージが存在し、進行していきます。ここがまず大きく違う。さらに音楽以外の要素がたくさん入っていることも大きい」

「そもそも音楽を聴かない選択肢も」

――音楽以外の要素?

「例えば、フジロックフェスティバルは、飲食スペースが充実しているし、子供向けのアトラクション施設もある。キャンプ場で宿泊だってできる。音楽の楽しみ方も、立って聴こうが座って聴こうが自由」

「ステージ最前列で楽しむことが必ずしもベストではなく、後ろの方で飲食しながら楽しんでもいい。そもそも音楽を聴かない選択肢も出てくる」

「会場という限定的な空間の中で、参加者がとりうる選択肢が無数に広がっています」

フジロックとロスジェネ世代

――そういった自由さががなぜ支持を集めたのでしょうか

「世代論で切り取ると、見えてくるものがある。フジロックが生まれた時の20歳前後はいわゆるロスジェネ世代です。高度経済成長が終わり、バブルがはじけたことで、『正社員になって結婚して、子供産んで』という物語が通用しなくなった」

「彼らは『これからは主体的に動ける人でなければ駄目だ』『資格を手に入れなさい』といった言説を浴び続けてきたわけです。自己責任、能力主義といった価値観に絶えずさらされながら」

「ロールモデルのない現実を生きる。これは大変攻略困難なゲームです。あの時代、就職活動だって、できる人はいくらでも内定取るけど、できない人はぜんぜん取ることができない現象が起きていた」

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最終更新:7/27(木) 7:00
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