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「スキル」「実績」がなくても独立できる人とは?

7/21(金) 7:10配信

ITmedia ビジネスオンライン

 フリーランスで食べていくためには何が必要か?

 先日、こんなテーマで先輩と激論になった。読者の中には、将来独立を考えている人もいるだろう。今さらノマド(笑)とか名乗り出す奴はあまりいないかと思うが、小規模であれ起業を考えている人はそれなりにいるはずだ。ここで「雇われずに食べていく」ためのポイントを考えてみよう。

【ピカピカのスキルがなくても独立することはできる?】

 身もフタもない話だが、私なりの結論は「顧客がいるかどうか(つきそうか)」だ。自分に仕事をくれそうな会社や人が存在して、希望する生活レベルを実現するだけの稼ぎになるかどうか。これにかかっている。

 以前、ある経営者と議論したことがある。その社長も私もリクルート出身、いわゆる元リクだ。リクルートはよく人材輩出企業(排出という説もあるが)と呼ばれるが、確かに起業した者、フリーランスで活動している者も多数いる。そのとき、社長と話題になったのは、「元リクで独立した者の多くは、独自のビジネスモデルで成功しているわけではなく。仕事をくれる“顧客”がいるから成功しているのではないか」ということだった。

 要するに仕事をくれる人がいるかどうかである。元クライアント、上司や同僚の会社、さらには古巣が営業先となる。個人で独立するなら、太いクライアントが数社あれば食べていくことは可能だ(もちろん業界によって違う)。

 その後も紹介などで顧客は広がっていく。逆に言うと、別にピカピカのスキル、優れた実績がなくても独立することはできるのだ。

●ピカピカのスキルはいらない

 リクルートのようないわゆる人材輩出企業で、起業家やフリーランスが多数世に出るのは、独自の経済圏が広がっており「独立しやすいから」というのが1つの答である(独立志向の人が多いというのもあるが)。

 独立した先輩たちからノウハウを学ぶことができるし、前述したようなネットワークがあるので、顧客に困らない。別に優秀な人が集まるっているから独立するわけではない

 ピカピカのスキルがなくても独立することはできる。なぜなら、その人の能力の価値は、絶対値だけでなく、市場の原理で決まるからだ。つまり、自分の力に自信がなかったとしても、その力に期待する人がいれば良いわけだ。

 もっとも、前職での実績や人脈が生きるのは最初の3年までだと思った方がいい。それからは、次の顧客を広げていかなくてはならない。何より、新しいウリをつくらなくてはならない。

 ちなみに、独立してうまくいかないタイプは、自分のやりたいことが強すぎる人、自分のスキルについて過剰に自信を持っている人である。

 独立するにはビジョンやスキルが必要であることはまったく否定しない。独立する人にはそれなりにやりたいことがあるのだろう。ただ、ここに顧客が付かないと意味がないのだ。例えピカピカのスキルがあろうとも。

 「やりたいことをやる」という理想はよく分かる。ただ、それが「食えること」になるかどうかを見極めなくてはならない。やりたいことと食べることを両立させるために、「ライフワーク」と「ライスワーク」を分けるという考え方もある。これは正しい。食べていくための仕事は大事だ。

 というわけで、やりたいことの実現も結構だが、そこに顧客がいるのかという視点こそ大事なのだ。


(常見陽平)