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<特選アーカイブ>アフガニスタン~公開処刑された女性を追って(14・最終回)写真2枚【玉本英子】

7/21(金) 6:02配信

アジアプレス・ネットワーク

◆砂塵とともに

1987年に設立されたアジアプレスは今年で30周年。7月22日~29日まで東京にて記念イベントが行なわれます。その一環で「ザルミーナ」(2004・監督:玉本英子)を上映します。それにあわせ、過去に取材・発表した記事を特選アーカイブとして掲載します。(イベントにつきましては下欄をご覧ください)

【関連写真を見る】ザルミーナの処刑の前日、公開刑の執行があることがこのアナウンス室からラジオを通じて告げられた

(※2003年初出のアーカイブ記事。情報等は当時のまま)
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私は取材をしながら、アフガニスタンとどう向き合えばいいのか、ずっと考え続けてきた。

タリバン政権崩壊後、女性が再び教育を受けることができるようになり、公務員や教員などの役職にも復帰しつつある。
一方で、とくに地方の女性がおかれた状況が大きくは変わったわけではない。

強姦され、一族の恥として身を隠して生きなければならない女性。夫に反抗したとして、顔に硫酸をかけられた妻。
そんな話はあとを絶たない。

こうした現実のなかで、少しでも未来を切り開こうと、立ちはだかる問題に取り組む女性たちの姿も見てきた。
何十年も世界から放置されてきたこの国は、「テロとの戦い」でアメリカ主導の多国籍軍が介入したことで、状況が一変した。だが、タリバンが去って、すべての問題は解決するのだろうか。

ほんとうの変化がわかるのは、何年も先のことだろう。
そのとき、状況は今よりも良くなっているかもしれないし、何も変わってないかもしれない。

取材も終わりに近づいたある日、夫の兄にあたる叔父が一枚の警察調書のコピーを見せてくれた。
調書の隅にはコピーのインクでつぶれたザルミーナの顔写真がある。

ザルミーナの写真は存在しないときいていたが、叔父の元にコピーが残っていたのだ。
裁判所にいけば本物が残っているかもしれない、と叔父が教えてくれた。

私は再び裁判所に行き、警察調書を探した。
そして、ほこりだらけの書庫からザルミーナが夫を殺した容疑で逮捕されたときに作られた調書を見つけ出すことができた。
調書には逮捕時に撮影された顔写真が貼ってあった。

白黒写真のピントがすこしぼやけてはいたが、それはまぎれもなくザルミーナの顔だった。
30代には見えないほどまだ若く、大きな瞳と魅力的な唇をもった女性だった。

小さな顔写真を見つめながら、私は彼女の短かった人生に思いを馳せた。

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カブールの北はずれの墓地にザルミーナの墓はある。
墓石に名前は刻まれていない。

盛った土の上に、それが女性の墓であることを示す横向きの平たい石が立てられているだけだ。

彼女は夫以外の男性に心と体をゆるし、したがうべき存在の夫を殺したとして死刑となった。

ザルミーナを処刑したのはタリバン政権だ。
しかしそれを彼女に突きつけたのは、一族の名誉を汚す者に対して死をもってまでも償わせるアフガンの社会そのものだったのではないか。
彼女の墓を見つめながら、私はそう感じた。

涙がこみあげてきた。
強い風が私の頬をつたい、涙をぬぐった。

舞い上がった砂塵が、つむじとなって広い墓地を吹きぬけていった。 (了)【玉本英子】

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<アジアプレス設立30周年記念イベント>

(1)独立系ジャーナリズムはアジアをどう取材してきたか
◆7月22日(土) 13時~17時30分 早稲田大学小野記念講堂(先着順・入場無料/定員 200 名)

(2) 現場報告 匿されし国の取材 ~北朝鮮とイラク・シリア・アフガンの現場から~
◆7月23日(日) 13時~18時(二部制 ) 早稲田小劇場どらま館(先着順・有料※一部、二部は入れ替え制です)
※第二部(16時~18時)「ザルミーナ」上映(解説付き)

(3)アジアプレスメンバーのドキュメンタリー映画一挙上映(8作品)
◆7月24日~7月29日  早稲田小劇場どらま館(先着順・有料/定員60名)
【主催】早稲田大学ジャーナリズム研究所 / アジアプレス・インターナショナル※詳しくはアジアプレス大阪事務所まで osaka@asiapress.org