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【映像】「手紙が書きたい」 両手移植手術の米少年

7/21(金) 16:21配信

AP通信

フィラデルフィア、アメリカ、7月20日 (AP)― これは希望と勇気と画期的医療の話。
8歳のときに両手の移植手術を受けてから18か月、ザイオン・ハービー君は以前にも増して自立心が旺盛になり、服を着たり、字を書いたりなど、普通の子どもなら当たり前のように日常的にやっていることができるようになっている。
ザイオン君は、子どもとして世界で初めて両手の移植手術を受けた男の子だ。

ザイオン君は2歳のとき、敗血症のため四肢を失い、母親のパティ・レイさんの腎臓を移植した。2015年7月、ザイオン君が8歳のときにドナーが見つかり、両手の移植手術が行われた。米東部ペンシルベニア州フィラデルフィアのこども病院で行われた移植手術は、実に10時間に及び、ペンシルベニア大学医学大学院も協力した。

「(ドナーの)両親に手紙を書きたいです。亡くなった息子さんの両手をボクにくれたけど、そうしたくなければ、しなくてもよかったんだからね」と、移植プログラムを主導したスコット・レビン博士に話すザイオン君。

医学誌「ランセット・チャイルド・アンド・アドレセント・ヘルス」の最新のレポートによると、数か月にわたる集中的作業療法と心理的サポートの結果、ザイオン君は助けを借りずに字を書いたり、食事をしたり、服を着ることができるようになった。移植手術の数日後には指を動かせたという。

作業療法は、ウエートトレーニングや操り人形の動作、物を掴む動作からナイフやフォーク、ハサミを使い、字を書くなど日常の動作一般を行う。

新しい両手の動きや感覚を制御する神経回路がザイオン君の脳で発達したことで、6年間も両手がなかったにもかかわらず、これらの機能を再生させた可能性があることが、脳のスキャンから分かった。

合併症もあった。ザイオン君の身体が8回、両手に対する拒絶反応を示し、免疫制御薬が投与された。軽度の感染症を患い、移植された腎臓にも何らかの障害が発生した。

このような移植手術には利点と欠点があり、リスクを伴う免疫抑制薬の投与があることから、慎重な評価が必要だ、と医学誌のレポートは述べている。

パティ・レイさんは息子の進歩に興奮気味に、「いわれなくても自分で薬は飲むし、完全に自立して、私がそばにいる必要もないくらいです。今は、役に立たないみたいな気がします」と嬉しさを語り、「来年になったら私は必要なくなるわ。ほろ苦い気持ちですが、幸せです」と続けた。

当のザイオン君は、「手術前と同じだよ」と一言。「今は両手があるけど、それ以外は全部前と同じ。ボクの友達も変わってないし、ボクに対する態度も同じ。両手がなかったときと同じ子だよ」

(日本語翻訳 アフロ)

*訂正:記事本文中「肝臓」は「腎臓」の間違いでしたので訂正して、お詫び申し上げます。

最終更新:7/21(金) 18:22
AP通信