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チャーミングな粒子をCERNが発見、物理学の標準理論に修正を迫るか

7/21(金) 8:11配信

ギズモード・ジャパン

可愛くてレアな粒子の組み合わせ。

スイスの欧州原子核研究機構(CERN)にある大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の研究チームが、新たな粒子を発見しました。厳密には、新たな粒子の組み合わせといった方がいいかもしれません。5年前にLHCで見つかったヒッグス粒子ほどのインパクトはないにしろ、その粒子の組み合わせには過去に発見された類似の粒子の存在と食い違う部分もあり、ちょっとした話題になっています。

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でも過去の研究と食い違うからって、単に「過去の実験と今回の実験、どっちが正しい? 」という話ではないよう。もしかしたら、それらの実験が前提としてきた素粒子物理学の標準理論の修正を迫る議論に発展するかもしれないんです。

チャーミングな粒子は、重い

今回CERNで発見された粒子の組み合わせはその名も「Ξcc++ 」(「カー・サイ(日本語ではグザイ)・シーシー・プラスプラス」と読むそうです)、これは「ふたつの電荷を帯び、ふたつのチャームを持ったグザイ粒子」を意味します。この、かわいいんだかクサイんだかよくわからない粒子の何がすごいかっていうと、その「チャーム」がふたつあるってことなんです。

「チャーム」とは、物質の基本的な構成要素であるクォークのひとつです。クォークにはほかに、アップ、ダウン、ストレンジ、トップ、ボトムという(おかしなネーミングの)種類があって、その組み合わせ方によって違う粒子になります。たとえば陽子や中性子もクォークからできていますが、陽子はアップ2個とダウン1個の組み合わせで正の電荷ひとつ、中性子はアップ1個とダウン2個の組み合わせで電荷なし、となっているのです。

で、今回見つかったグザイcc++はというと、アップ1個にチャーム2個という組み合わせで、電荷はふたつ。New York Timesによれば、チャームが2個の粒子の存在そのものは標準理論でも予測されていました。じゃあチャーム2個だと何がすごいのか、米ギズモードではオランダの素粒子物理学国立研究所NikhefのPatrick Koppenburg氏に話を聞きました。

「チャームクォークはペアで生み出されますが、同じ粒子にふたつのチャームを有することは非常に珍しいのです」Koppenburg氏は米ギズモードに語りました。クォークの中でもっとも重いのがチャーム、ボトム(別名ビューティ)、トップ(別名トゥルース)ですが、Koppenburg氏いわく、トップは重すぎて他のクォークと結合できなさそう。それ以外のクォークは、理論上は2個とか5個とかがくっつくことができ、またはものすごい高温下なら液状クォークみたいなものにもなりえるそうです。

それでも、3つ以上のクォークを持つ多くの粒子の中で、「重いクォークであるチャーム、またはビューティがふたつあるものはまだ見つかっていなかった」とKoppenburg氏は言います。つまり今回の発見は、理論上あるあると言われていただけの存在が「ある意味で初めて」見つかったものなのです。

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