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「トンデモ」健康情報で家庭が崩壊した男性が語る、元妻の「変化」

7/21(金) 13:00配信

BuzzFeed Japan

「トンデモ」--つまり、科学的根拠に乏しい健康情報を世の中に広めているのは、どんな人なのか。元妻が「トンデモ」にハマり、家庭が崩壊したという男性は「被害者でもあり、加害者にもなるのは、身近にいる“普通の人”」だと指摘する。自らを洗脳していったという元妻の変化とは。男性に話を聞いた。【BuzzFeed Japan / 朽木誠一郎】

「トンデモな健康情報を世の中に広めているのって、本を売りたい出版社とか、悪徳クリニックだと、きっとみんな思っていますよね」

男性は窓の外を見やって言う。かなりやせていて、顔色もよくない。

「でも、それだけじゃありません。被害者でもあり、加害者にもなるのは、身近にいる“普通の人”なんです」

男性(Aさん)は現在40歳。いわゆる「トンデモ」、つまり科学的根拠に乏しい健康情報が原因で、家庭が崩壊したという。

Aさんから情報提供があったのは、6月上旬。何度かのやり取りを経て、Aさんは身の上話をしてくれるようになった。

元会社員で現在は無職。3年前に元妻(Bさん)と離婚した。小学校3年生になる娘とは、後述する理由で1年半以上、面会ができていないという。

科学的根拠に乏しい健康情報の被害というと、命に関わるものが取り沙汰されることがほとんどだ。しかし、Aさんの場合はそうではない。

誰でも何気なく、疑う気もせずに信じているささいなこと。それが取り返しのつかない事態につながると、想像できるだろうか。

筆者は7月中旬、Aさんと接触。都内の喫茶店で取材した。

きっかけは「コーヒー浣腸」。肛門からコーヒーを流し込み「体がキレイになる」と謳う行為で、過去に「海外セレブも実践」として流行した。

Bさんが「トンデモ」な健康情報に手を出したのは、12年前。当時、結婚前だったAさんは、Bさんに「コーヒー浣腸」を勧められた。

コーヒー浣腸は、薄めたコーヒーを器具を使って直腸内に流し込む行為。過去に流行したが、科学的根拠は疑われている。

2010年には「代替医学総合学院」なる施設で女子中学生らにコーヒー浣腸が行われ、医師法違反により逮捕者も出た。

「そのときは、ちょっと変なのに手を出してしまったのかな、という感覚でした。彼女も、私が断ると、それ以上は勧めてこなかったので」

その後、AさんとBさんは結婚し、妊娠。ここでBさんは「自然なお産」という考え方を知り、強い興味を持つ。

ちょうどインターネットが普及し始めていた頃で、Bさんは自らネットで情報を集めるようになった。「水中出産をしたい」と言い出すが、それにはAさんが反対。

同時に「ケーキはお乳が締まって出なくなるからダメ」というように、食べ物の身体に良い・悪いについて、書籍やネットの情報を鵜呑みにするようになる。

「彼女は子どものためにと、白砂糖や牛乳、化学調味料などを料理に使わなくなりました」

「“薬は毒”とする医師の主張を信じ込み、家族の服薬にも反対するようになったのもこの頃です」

次にBさんが傾倒したのが「冷えとり」。ある雑誌が推奨するシルク製の靴下の重ねばきを実践し、「真夏でも5枚も6枚も重ねばきをしていた」(Aさん)

「靴下に穴が開くのは“足の裏から毒素が出ているから”とどこかから聞いてきて、穴が開けば開くほど“毒素が出ている”と喜んでいました」

Aさんは、子どもが生まれたときに、Bさんの口から発せられた言葉が衝撃的で、今でも忘れられないという。

「彼女は“胎盤を食べたい”と言いました。これもやはり、どこかで体に良いと聞いたのでしょう。出産直後で感動していただけに、驚きました」

Aさんもこの頃から、Bさんが「少しおかしいのではないか」と感じるようになった。だが、「ここまでの問題になるという意識を持っていなかった」という。

「違和感はあったのですが、健康に対して意識が高いのはいいことだ、と納得するようにしていました」

「お恥ずかしい話ですが、当時は私もリテラシーが高いわけではありませんでした。それに、そもそも“身内を疑う”という発想がなかったのです」

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最終更新:7/21(金) 13:33
BuzzFeed Japan