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トランプ大統領、対日通商政策で「強硬路線」回帰か

7/21(金) 16:55配信

日刊工業新聞電子版

■支持率回復狙い、日米貿易に転機も

 トランプ米大統領の就任から半年がたった。これまで貿易不均衡是正に向けた日本・中国への強硬策は封印してきたものの、19日(現地時間)に米ワシントンで開かれた米中包括経済対話を転機に本来の強硬路線に回帰する懸念が出てきた。北朝鮮問題で生じた中国と米国の溝がさらに深まりかねない。日本も、財務省が20日発表した2017年上期の貿易統計(速報)で対米貿易黒字は2期連続で減少したものの、高水準の3兆円超。日米通商関係の行方も懸念される。

 米国の貿易赤字上位3カ国は中国、メキシコ、そして日本。トランプ大統領は大統領選期間中、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉や、中国への為替操作国指定と45%の関税を政権公約に掲げた。日本も名指しで批判され、自動車をはじめとする日本の対米貿易黒字を問題視した。

 だが2月の日米首脳会談では、貿易・為替問題は閣僚級の経済対話に議論の場を移すことで、両首脳は蜜月ぶりをアピール。米中関係も、中国による北朝鮮への制裁を期待する米国が対中通商政策で強硬姿勢を封印。4月の首脳会談では貿易不均衡是正に向けた「100日計画」策定で合意するなど、両国は結束を演出してきた。

 しかし中国が北朝鮮制裁で慎重姿勢を崩さない。通商政策で中国に譲歩する理由が希薄になる中、19日(現地時間)の米中包括経済対話での協議は平行線をたどり、進展がないまま記者会見も中止になった。過剰生産が懸念される中国の鉄鋼製品への課税強化などが争点だったとみられる。これを機に米中の貿易摩擦が強まる懸念が出てきた。

 8月中旬には米ワシントンで米国、カナダ、メキシコの3カ国によるNAFTA再交渉の初会合が開かれる。米国は自動車・自動車部品などの現地生産比率引き上げに向けた原産地規則の厳格化、通貨安誘導を防止する為替条項の導入などを目指している。議論の難航は必至で、仮に米国の要求が通れば日系自動車メーカーの経営にも影響を及ぼす。

 今後の最大の懸念は、米国による対日通商政策の行方だ。7月8日の日米首脳会談では対日貿易赤字の是正を求められ、自動車の非関税障壁が問題視された。年内に日米経済対話の第2回会合、年末にはトランプ大統領の訪日が予定される。大統領が低下する支持率の回復に躍起となれば、自動車や農産物をめぐる日米貿易が転機を迎える可能性がある。