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富裕層への「課税強化」 知っておきたい3つの税制改正

7/22(土) 9:10配信

ZUU online

平成29年度税制改正では、配偶者控除・配偶者特別控除の見直し、タワーマンションの固定資産税の評価の見直し、広大地の評価の見直しなど、富裕層に対する課税強化が図られている。今回はこれら税制改正について改正のポイントを解説する。

■配偶者控除・配偶者特別控除の見直し

〈控除対象配偶者の定義の改正〉

これまでは、控除対象配偶者をその年の12月31日の現況で、民法の規定による配偶者であり、納税者と生計を一にしており、年間の合計所得金額が38万円以下であることと定義していた。それを、改正後は従来の控除対象配偶者を「同一生計配偶者」と改め、同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1000万円以下である居住者の配偶者について「控除対象配偶者」とした。

〈控除額の見直し〉

(1)配偶者控除
配偶者控除38万円(老人配偶者控除48万円)について、配偶者の年収制限を現行の103万円から150万円に引き上げられた。また、居住者の合計所得金額が900万円超950万円以下の場合には26万円(老人配偶者控除32万円)、950万円超1000万円以下の場合には13万円(老人配偶者控除16万円)と、居住者の3区分の合計所得金額に応じて控除額が逓減されることになった。つまり、家族の収入が900万円を超えると控除額が減少していき、合計所得金額が1000万円を超えると配偶者控除が全く受けられないということだ。

(2)配偶者特別控除
配偶者特別控除については、配偶者の合計所得金額が現行の38万円超76万円未満から「38万円超123万円以下」に拡充された。上記の配偶者控除と同様に居住者の合計所得金額(①900万円以下、②900万円超950万円以下、③950万円超1000万円以下)に応じて、配偶者特別控除額が配偶者の合計所得金額9区分応じてそれぞれ逓減される。

〈適用開始〉

上記の改正は平成30年分以後の所得税について適用される。

■タワーマンションの固定資産税等の見直し

〈現行のタワーマンション固定資産税額の計算方法〉
現行のタワーマンションの固定資産税額の計算は、建物全体の固定資産税額を算出し、それを各部屋の床面積で案分するようになっている。そのため、床面積が同じであれば高層階でも低層階でも固定資産税額は同額であった。しかし、30階の部屋と1階の部屋とでは値段が違うのは当然であって、固定資産税額を一律とすることは、時価の低い部屋の人からすると不公平感があった。

そこで、平成29年度税制改正では、タワーマンションの階層の違いによる時価の差を考慮し、高層階の部屋ほど固定資産税額の負担を増やす見直しが行われた。具体的には、高さが60mを超える超高層建築物のうち、複数の階に住戸が所在しているものについては、1棟のタワーマンションに係る固定資産税額を按分する基準となる各専有部分の床面積を階層別専有床面積補正率により補正することとした。

階層別専有床面積補正率とは、階層が1階上がると税額の按分の基となる床面積が約0.26%(1階を100とし、1階を増すごとにこれに10を39で除した数を加えた数値)大きくなるように設定された補正率をいう。これにより、1階上がるごとに固定資産税額の計算の基礎になる床面積が大きくなるので、固定資産税額も増えることになる。たとえば、30階建てのマンションであれば、0.26%×30階=7.8%高くなる。

この増税は、平成30年の新築・引渡し物件からであり、今年中に完成し、引渡しを受ければ増税の影響は受けない。また、平成29年4月1日前に売買契約が締結されていれば、引渡しが平成30年以降でも評価は今のままである。なお、中古のタワーマンションは、平成30年以降に購入しても増税はされない。

■広大地の評価の見直し

〈広大地とは?〉
その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大(面積が1000㎡以上、三大都市圏では500㎡以上)な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいう。

<現行の広大地評価の問題点>
これまで広大地評価の方法は、土地の面積に応じて評価額が減額されるものだった。そのため、極端に変わった形でも面積さえ大きければ評価が下げられていた。しかし、間口が狭いなど使いづらい形状の場合には時価は下がるため、評価額とかい離し、富裕層の節税対策として利用されることがあった。

〈改正の内容〉
今回の改正では、現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて評価する方法に変わる予定である。現在改正案についてパブリックコメントの募集中(7月21日まで)であり、確定しているものではないが、改正後は以下のように変更されると思われる。

【これまでの計算式】
評価額 = 路線価 × 地積 × 広大地補正率(※)
(※) 広大地補正率 = 0.6 - 0.05 ×  広大地の地積 1000㎡

【改正後の計算式】
評価額 = 路線価 × 地積 × 画地補正率(※1) × 規模格差補正率(※2)
(※1)間口狭小や奥行価格補正、不整形地補正の補正率
(※2)新補正率は外部専門業者の調査に基づき設定する

適用時期については、平成30年1月1日以降の相続等により取得した土地についての適用となる。

以上のとおり、平成29年の税制改正により、富裕層に対する税制の優遇措置は減らされてきている。社会保障費の増大に伴い財政的にも厳しいので今後もますます税の徴収は厳しくなることが予想される。改正にも機敏に対応して早めの対策を考えることが重要になってくる。(ZUU online 編集部)

最終更新:7/22(土) 9:10
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