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「リベンジポルノ動画」掲載サイト、SNSで拡散させる人も…法的に問題ないの?

7/22(土) 9:32配信

弁護士ドットコム

別れた恋人に対する嫌がらせのために、付き合っていたころに撮影した性的な動画や画像を公開する「リベンジポルノ」。流した側に問題があるのは当然のことだが、そのURLがSNSで拡散されると、流された側が被る精神的なダメージがさらに大きなものになってしまう。

とくに、名前の知られた人物の動画や画像の場合、SNSでおもしろおかしく広めたがる人もいるだろう。名前が知られているがゆえに、話題性がまして、拡散のスピードも上がってしまう。こうして、社会的なダメージが増幅されてしまう構図だ。最近では、ネット上の有名人が、裸で抱き合っている動画や画像がSNS上で出回っている。

SNSなどで、リベンジポルノにあたる画像や動画が掲載されたサイトのURLを拡散する行為は法的に問題ないのだろうか。インターネットの法律問題にくわしい清水陽平弁護士に聞いた。

●リベンジポルノは「男性」も被害者たりえる

「リベンジポルノとは一般的に、離婚したり交際を終了したあとに、相手から拒否されたことへの復讐のため、公開を予定していない『私的な性的画像』をインターネット上に公開する行為を指す言葉です。女性だけがリベンジポルノの被害者と思われがちですが、男性も被害者たりえます。

リベンジポルノをおこなうことは『私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律』という法律(通称『リベンジポルノ防止法』)によって処罰対象とされています。

この法律が適用されるかは、同法にいう『私事性的画像記録』にあたるかどうかによります。『私事性的画像記録』とは、公開されることを認識しながら撮影された場合を除く、次のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像です。

(1)性交または性交類似行為に係る人の姿態

(2)他人が人の性器等(性器、肛門または乳首をいう。以下この号および次号において同じ)を触る行為または人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させまたは刺激するもの

(3)衣服の全部または一部を着けない人の姿態であって、ことさらに人の性的な部位(性器等もしくはその周辺部、臀部または胸部をいう)が露出されまたは強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させまたは刺激するもの

動画や画像に、性器等が映っていなくても、裸で抱き合い性行為をしていると思われるものが公開された場合、上記(1)にあたる余地があります。

そして、『電気通信回線を通じて』『不特定または多数の者に提供した者』は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられるとされています。インターネットという電気通信回線を通じて、不特定多数に提供した場合、この罰則の適用があります」

●「URLの拡散は、リベンジポルノに加担している」

「URLを拡散する行為については、今のところ、『提供した』にあたるかどうか判断された例はありませんが、『公然と陳列』(同法3条2項)と異なるものとされていることからすれば、『提供』とは、動画・画像をインターネット上に掲載する行為を指すものと思われます。

そのため、私見ですが、URLを拡散するだけであれば、リベンジポルノ防止法の適用はないのではないかと思います。

もっとも、リベンジポルノ防止法は、その通称からリベンジポルノ事案にしか適用がないかのように思われがちですが、『目的』が要件とされていません。そのため、単に拡散しただけでも『提供した』として、同法が適用される可能性もないわけではありません。

しかし仮に、リベンジポルノ防止法の適用がないとしても、URLを拡散することは、別途、名誉毀損にあたらないかどうかが問題になります。

名誉毀損とは、社会的評価の低下をもたらすものを指しますが、たとえば『不倫をしている』という情報を拡散すれば、不倫が『社会的に良くないこと』と認識されている以上、社会的評価を低下させることになります。

もっとも、『公共性』『公益目的』『真実性』という3つの要件を満たせば、『違法性がない』として名誉毀損は成立しないことになります。不倫は『社会的に許されないということ』から『公共性』『公益目的』はあるとされることは多いでしょう。不倫が真実だとすれば、『違法性』がないとされる場合も少なくないと思われます。

しかし、面白半分に拡散しているとすれば、公益目的の点で疑義が出てきます。

このように、URLを拡散する行為が違法かどうかということからすると、必ずしも『違法』とは言い切れません。しかし、URLの拡散は、リベンジポルノに加担しているといえます。

したがって、面白半分の拡散はするべきでないでしょう」

【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitterに対する開示請求、Facebookに対する開示請求について、ともに日本第1号事案を担当。2016年12月12日「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第2版(弘文堂)」、2017年1月18日「企業を守る ネット炎上対応の実務(学陽書房)」を出版。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp

弁護士ドットコムニュース編集部