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公費頼りの運営、当初から赤字 岡山・倉敷の障害者支援5事業所閉鎖

7/22(土) 8:10配信

山陽新聞デジタル

 岡山県倉敷市内にある障害者の就労継続支援A型事業所5カ所が今月末で一斉に閉鎖され、働く障害者約220人が解雇予告を受けた問題で、同市は21日、5カ所が当初から赤字経営だったことを明らかにした。A型事業所を巡っては、国や自治体からの公費に頼り、不正が疑われるケースも全国で起こり、国は2017年度から事業の収益性を重視した運営をするよう制度を変更した。対応できなければ、今後、事業所の閉鎖や縮小が相次ぐ事態も懸念される。

 「運営者の話では、5カ所のA型事業所は設立当初から赤字だった」

 21日に開かれた倉敷市議会保健福祉委員会で、市側が説明した。閉鎖する事業所の運営が国、岡山県、倉敷市からの給付金に依存していた実態を示唆した。

■国の制度変更

 A型事業所の運営者には例えば、施設定員が20人以下の場合、利用者1人当たり1日5千円以上が公費から支払われる。福祉の専門職員の配置などで別途加算もある。さらに国の特定求職者雇用開発助成金として、1人当たり3年間で最大240万円を受けられる。

 倉敷市などによると、閉鎖する5カ所では、フルーツネットを折り畳む▽軍手の糸のほつれを切る▽ダイレクトメールを封入―といった軽作業が多かったという。

 同市内の別のA型事業所の女性職員はこうした軽作業について「単価の非常に安い仕事が多く、利益を上げるのは難しいはず」とし、「収益性を重視する国の制度変更が、経営に行き詰まった一因ではないか」と推測する。

■賃金に充当

 A型事業所は障害者と雇用契約を結んで運営。利用者には最低賃金以上が保証されている。賃金は一般企業と同様、売り上げから払うのが前提とされているが、厚生労働省によると、公費を賃金に充てているケースが全国で頻発している。

 17年3月時点の事業所数は全国3596、岡山県160で、13年3月と比べてそれぞれ2・4倍、1・8倍と急増。事業の収益性よりも公費を当て込んだ参入が要因の一つにあるとみられる。倉敷市内の福祉関係者からは「A型事業所の大半が事業自体は赤字」との指摘もある。

 こうした問題を受けて国は17年4月から、公費から賃金を賄うことを禁止するように省令を改正した。

■営業も担当

 倉敷市内のA型事業所で機械部品製造などに携わる社会福祉法人は、障害者の適性に応じて仕事を担当させ、職員は単価の高い仕事を求めて営業もする。経営は厳しいが、当初から収益も重視しており、制度変更の影響は少ないという。

 同法人の女性職員は「障害者の能力を最大限に生かし、社会で活躍してもらうのが一番の目的のはず。補助制度を利用してもうけるつもりだったとすれば、同じ福祉に携わる人間として残念」と唇をかむ。

 川崎医療福祉大の小池将文教授(障害者福祉論)は「社会保障費の増加で、福祉事業への公費投入は今後ますます厳しくなると予想され、A型事業所の閉鎖が続く可能性はある」と指摘する。