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白鳥正志が築く日豪野球の新たな歴史

7/23(日) 11:07配信

東スポWeb

【越智正典「ネット裏」】東都大学野球連盟事務局長、白鳥正志は今年も7月の声を聞くと、札幌に「戦国東都」の名付け親、中山伯男夫妻を表敬訪問。東都史の編集を担当した大西利も同行した。年に一度のこの会は名付けられて「七夕会」。なんともロマンチックで、白鳥は心やさしい男だが、ここというときの土俵際が強い。

 先年、新国立競技場建設の話が盛り上がり、2020年東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会のお偉いさん3人が肩で風を切るほどではなかったが、かなり颯爽と神宮球場に。20年5月1日から11月末までの210日間を借りたい、建設資材置き場やボランティアの待機場所などにしたいのだ…という。

 アマチュア野球関係者は「五輪には協力を惜しまないが、この案では難しい」。白鳥はこのとき黙って神宮球場の15年と16年の年間試合開催日程を差し出した。黙って出したので凄みがあった。勝負あった。神宮球場借用問題は80日間になった。

 札幌から帰京した白鳥は14日、朝早くから神宮球場で豪州野球連盟カムGM兼事務局長とベン相談役が来るのを待っていた。野球が五輪正式種目になり、同連盟に国家予算が付いたので、オーストラリア大使館などに挨拶に来日。「コアラカップ」創立に尽くした白鳥には、ますます親善をとやってくるのである。

 白鳥は東京都高野連理事長、武井克時に連絡。この日、神宮球場での東東京大会の強豪帝京対躍進中の立教池袋、全校生徒が応援の都立雪谷対監督がU―18全日本コーチ米沢貴光の関東第一に案内。一緒に観戦するのである。

 米沢は試合が終わって引き揚げるとき、自分の荷物を決して生徒に持たせない。必ず左肩にバッグをかけている。私の推察だが、日本の高校野球は清宮だけではないんですよ、どのチームも真摯ですよ…と伝えたいのであろう。ともあれ、白鳥のいいもてなしである。

 思い出した。56年、オーストラリアのメルボルンで南半球初のオリンピック夏季大会の開催が決まったとき、巨人軍がこの大会を盛り上げるため、54年の暮れから55年の正月にかけて、野球が始まったばかりのオーストラリアへ親善野球訪問をしている。

 一行は山口・岩国からカンタス航空で出発した。遠征監督千葉茂が出発前に盲腸で手術をしたので、監督は南村不可止、投手は大友工、捕手は棟居進ら。このとき大同毛織のシドニー駐在員だった“フジヤマのトビウオ”古橋広之進が飛んできて、巨人に付ききりで世話をした。

 転戦が続くと、仲介者の手違いから巨人軍の滞在費がピンチになった。選手は必要な小遣いにも困った。南村が古橋に事情を話して最敬礼。巨人は古橋に借金をし、古橋のおかげで親善使節の任を果たせた。

 歴史は面白い。近く白鳥の計らいで、前記カムちゃんとベンちゃんとで日豪の新しい歴史が始まるだろう。=敬称略=(スポーツジャーナリスト)

最終更新:7/23(日) 11:07
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