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アングル:新車臭を嫌う中国、フォードは「黄金の鼻」部隊投入

7/23(日) 10:05配信

ロイター

[南京(中国) 20日 ロイター] - 西側諸国のドライバーは、自動車の生産ラインから出てきたばかりの「新車」のにおいを好む。だが中国では、何もにおわない方がむしろ好まれるという。

このような文化的違いにどう取り組むかは、世界最大の自動車市場である中国での売り上げを回復するため「強み」を模索する自動車メーカーにとって鍵となる。

例えば、米自動車大手フォード・モーター<F.N>が南京市郊外に構える研究施設には、「黄金の鼻」と呼ばれる18人のにおい査定人がおり、中国と他のアジア地域で販売されるフォード車の内部に使用される材料一つ一つのにおいを検査している。

中国でにおいチェックを行うこと自体は珍しくないものの、このことは自動車メーカーが消費者動向の大きく異なる市場で購入者を引きつけるため、いかに努力しているかを示している。

「北米の人たちは新車のにおいを好む。古い車を新しく感じるように『新車スプレー』を買うこともあるくらいだ。だが、中国では正反対だ」と語るのは、従業員数およそ2300人を抱える前出のフォードの研究施設で材料工学の責任者を務めるアンディ・パン氏だ。

新車のにおいは、中国で並外れた影響を及ぼす可能性がある。自動車業界向けコンサルタントのJDパワーが昨年発表したリポートでは、中国のドライバーが最も懸念するのは、エンジン関連の問題や走行時の騒音、燃費ではなく、不快な車のにおいであることが明らかとなった。

中国での売り上げが今年7%減少しているフォードのにおい査定人は、年間300回に及ぶ検査を実施している。欧州メーカーと比べて3割以上多いという。におい査定人は、車で使用される全材料のにおいについて、「感じられない」から「極めて不快」まで判定する。

カーペットから座席カバーやハンドルに至るまで使用されている刺激性の強い材料は、「焼かれたタイヤ」「腐った肉」あるいは「防虫剤」「汚れた靴下」といったにおいで表現される。そうした材料の一部はサプライヤーに返されることもある。

中国では、フォード車に取り付けられる前の座席は、風通しの良い状態で保管するために穴のあいた布袋に入れられる。一方、消費者が化学的なにおいを中国人ほど嫌がらない米国市場では、座席はビニールで包装されている。

「車内の刺激臭がかなり強いときがある」と、浙江省で高校教師をしているトム・リンさん(24)は語る。リンさんは昨年10月、中国の自動車大手、上海汽車(SAIC)のブランド車「栄威(ロンウェイ)」を購入。半年が経過した今でも、まだにおいが少し感じられるという。

「今度、車を買うときは、変なにおいがしないか、もっと気をつける」とリンさんは言う。

<さらなる強み>

確かに、においは自動車メーカーにとって、中国においてビジネスを成功させる要因の1つにすぎないのかもしれない。同国では、えり好みする購入者は常に新しいモデルを追い求め、政府は新エネルギー車の普及を大々的に推進している。

今年の販売はやや落ち込むとコンサルティング会社のIHSが予想する中国市場では、各自動車メーカーは値引き以外にも消費者にアピールできるさらなる強みを探し求めていると、IHSのアナリスト、ジェームズ・チャオ氏は指摘する。

吉利汽車<0175.HK>や比亜迪(BYD)<002594.SZ>といった中国のライバル企業は、同国の有害な大気汚染からドライバーを保護する車内エアフィルターを売りにする一方、ドイツの高級自動車メーカーBMW<BMWG.DE>は中国の消費者向けに、より大きなタッチスクリーンを装備するほか、色の調整も行うとしている。

とはいえ、化学物質や汚染を巡り、中国で懸念が高まっていることを考えれば、においが鍵となる。

「米国に住んでいるなら、サスペンションやエンジンをチェックするかもしれない」と、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>やフォード、独フォルクスワーゲン(VW)<VOWG_p.DE>向けに座席やダッシュボードを覆う材料を製造するCGTの中国担当ゼネラルマネジャー、ドン・ユー氏は話す。

「だが中国では、人々は車のドアを開け、中に座ってみる。もし変なにおいがしたら、健康を害すると思うだろう」と同氏は述べた。

フォードの「黄金の鼻」部隊にとって、それは厳格なルーティンであることを意味する。においの査定人になるには、目隠しテストをクリアするなど、厳しい選考過程を通過しなければならない。

「私たちは、とても健康的な習慣を維持しなくてはならない。たばこも酒も禁止」だと、「黄金の鼻」部隊のメンバーの1人であるエイミー・ハンさん(33)は言う。また、鋭い嗅覚を保つため、スパイシーな食べ物は避け、マニキュアやきつい香水、革ジャケットさえも身につけないと、ハンさんは付け加えた。

(Adam Jourdan記者 翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

最終更新:7/23(日) 10:05
ロイター