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日銀の展望レポートに散見される事務方の苦労の跡~なぜこんなことを?

7/23(日) 19:25配信

投信1

日銀のインフレ率予測は、メンツ等で歪んでいる可能性が大

日銀は、20日に発表した展望レポートで、インフレ率が目標の2%程度に達する時期を、「2019年度頃になる可能性が高い」としています。これは、民間のエコノミストの平均(たとえばESPフォーキャストのコンセンサス)と比べて不自然なほど高いインフレ率の予想となっています。

経済予測は長年の経験と勘が重要ですから、個々のエコノミストの予測に乖離が生じることは珍しくありませんが、「政策委員の予測の平均」と「民間エコノミストの予測の平均」がこれほど大きく乖離するのは、不自然でしょうね。やはり日銀の予測には、本心でない要素が含まれているのでしょう。一つは「2%目標を掲げてしまったメンツ」でしょうし、今ひとつは「強気を見せることで人々が信じてくれるという偽薬効果が、弱気を見せたら剥落してしまう」という恐怖心でしょう。

そうなると問題は、展望レポートを書かされる日銀の事務方の苦労です。自分たちも、それほど高いインフレ率を予想していないでしょうから、「自分の予測と異なる予測について根拠を示す」必要が出てくるのです。日銀の事務方は、国内最高水準のエコノミスト集団ですから、それくらいのことは平気でこなせるのでしょうが、今次展望レポートを見ると、それでも「?」と思うところが散見されます。

適合的な期待形成の面でインフレ期待が高まるか?

2017年度に輸入原油が値上がりし、それが国内物価に反映されることで、人々のインフレ期待が高まる、というのが日銀の主張ですが、本当でしょうか?  「2017年度には一時的に原油価格の値戻しで国内物価も上がったが、原油価格がそのまま上昇し続けるわけではないので、将来のインフレ率の予測は変える必要はない」と考えるのが普通ではないでしょうか。これ以上原油価格が上がれば、米国のシェールオイルの生産量が激増するでしょうから。

「マクロ的な需給ギャップが改善していく中で、企業の賃金・価格設定スタンスも次第に積極化してくると考えられる」とも記されています。しかし、そんなことは民間の人々も当然織り込んだ上で予測をしているはずです。

日銀の成長率見通しはESPフォーキャストよりも若干(0.3~0.4%)高いので、「民間部門の成長率見通しが正しく修正されていく過程で民間の予想するインフレ率も上がっていくだろう」ということかもしれませんが、仮に民間の成長率予測が0.3~0.4%上がるとしても、それによってインフレ率予想が大きく変わるものでもないでしょう。

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最終更新:7/23(日) 19:25
投信1