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リベラルアーツ教育は東工大生をこんなに変えた

7/23(日) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

テクノロジー教育の重要性が叫ばれて久しい。Business Insiderが報じた「アメリカでもっとも平均年収が高い職業ランキング」によると、上位25職種中20職種が科学技術の専門知識を必要とする。一方、世界最大級のアメリカ資産運用会社ブラックロックは、リベラルアーツ専攻の学生の採用を増やしていると発表した。自動化によって人間の仕事のあり方が変化していく中、ロボットにはできない批判的思考や幅広い視野に基づいた思考ができる人材の必要性はますます高まっている。

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そんな中、理工系の国立大学である東京工業大学は2016年6月、学士から博士課程の合計9年間にわたってリベラルアーツ教育を行う、リベラルアーツ研究教育院を設置した。

配する講師陣はジャーナリストの池上彰氏、小説家の磯崎憲一郎氏など、著名な人文社会学系の学者や文化人だ。

導入から1年、東工大生はリベラルアーツ教育でどう変わったのか。

「役に立つ」教育が生む評価に最適化された学生たち

「100人のクラスで課題を出す。すると、必ず1人は『この課題の評価軸はなんですか』と聞いてくる。伝えると、みんなその評価基準に最適化された、ほとんど同じレポートを出してくる」

リベラルアーツ研究教育院長である上田紀行教授は東工大生の一面をこんな風に形容する。

決められたシステムの中で出された問いに対して、効率的に最適解を出す能力のある東工大生。しかしその思考からは、既存のものを壊して新しいものを生み出していくイノベーションは生まれない。それどころか、評価軸を与えさえすれば疑わずに最適解を出せる人間は、権力者にとって支配することも簡単だ。

日本の大学教育は今岐路に立っている。実学重視の大学教育を求める声は経済界を中心に大きい。大学の現場ではそうした「すぐに役に立つ」教育への偏重から生まれた、効率化・成果主義重視の学生たちに対する危機感が高まっている。

上田教授はこう話す。

「システム社会の中で人間が自由になるために必要な教養。それが宗教や哲学なども含めた幅広い知の体系、リベラルアーツなんです」

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最終更新:7/23(日) 12:10
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