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2050年、日本企業に相次ぐ 「CO2ゼロ」宣言の狙い

7/23(日) 13:30配信

日刊工業新聞電子版

■再生エネ・クレジット活用、“実質ゼロ”

 2050年までの環境長期目標を作る企業が増えている。4月以降、リコー、富士通、コニカミノルタ、パナソニックなどが公表し、今月7日にはNECも発表した。しかも二酸化炭素(CO2)排出量ゼロを宣言する意欲的な目標が目立つ。規制が厳しくなる将来への危機感や、持続的に成長する企業を支援したい投資家からの要請が、高い目標設定に慎重だった日本企業を突き動かしている。

 NECは7日、工場や事務所でのエネルギー利用に伴うCO2排出量を50年までにゼロにすると発表した。省エネルギー化の徹底と再生可能エネルギーの活用で排出を減らす。削減しきれなかった残りの排出量は、他の場所での削減を自社分に加えられるクレジットを調達して打ち消し、実質ゼロにする。

 富士通の50年目標も同様で、省エネの推進、再生エネとクレジットの活用でCO2排出をゼロ化する。同社は途中の30年度に13年度比33%削減する中期目標も設定した。

 リコーとコニカミノルタはこれまでの50年目標を刷新した。リコーは50年のCO2排出ゼロに向け、再生エネの導入目標も示した。30年までに事業で使う電気の30%以上、50年には全量を再生エネ由来に切り替える。コニカミノルタは50年度に05年度比80%減とする目標に、取引先のCO2削減支援を加えた。省エネ手法を提供した取引先の削減量を、自社の排出量と同量以上とし、CO2を実質ゼロにする。

■“排出ゼロ”、高いハードル掲げるワケ

 50年に照準を定めた環境目標の公表は、温暖化対策の国際ルール「京都議定書」の削減期間が始まった08年前後に一度、盛んになった。前回と今回との違いは、“排出ゼロ”というハードルの高い目標を掲げる企業が多いことだ。

 日本では実現の確証のない目標は公表を控えるのが普通だった。30年に13年比26%減とする日本全体の温室効果ガス削減目標も、政府は既存技術をできる限り導入した前提で導き出した。

 また企業には「経団連、業界団体よりも高い目標は言えない」との空気もある。業界団体は排出抑制が事業の足かせになるとし、厳しい目標に反対してきた。しかし現在は、個別企業の立場になると意欲的な目標を設定する“ねじれ”が起きている。

 NECの大嶽充弘執行役員常務は「50年の社会を議論する場が増えている」と、長期目標を作った背景の一つを説明する。京都議定書に代わる「パリ協定」は、今世紀後半に温室効果ガスの排出ゼロを目指す。国も将来の絵姿が必要となり、「50年80%減」の長期目標を策定した。

 50年の社会像を考えると、将来の経営リスクに気づく。富士通環境本部の金光英之本部長は「コスト上昇に備え、前倒しでの対応が重要と考える」とCO2排出ゼロを目標とした理由を話す。危機感を抱くのが、CO2排出量に課税する炭素税などカーボンプライシング(炭素の価格付け)の動向だ。中国で17年から排出量取引が始まるなど、世界で導入への機運が高まっており、CO2排出がコストとして経営の重しとなる可能性が出てきた。

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