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スーパーGT第4戦SUGO決勝:スーパーGT史上に残る大混迷戦を制したDENSO平手。S Road本山と最終周に壮絶バトル

7/23(日) 18:02配信

オートスポーツweb

 事前の予報どおり、ウエットコンディションとなったスーパーGT第4戦SUGO戦。GT500クラスは3度セーフティカーが導入される目まぐるしい展開となり、何度もトップが入れ替わるなか、最後はDENSO KOBELCO SARD LC500が壮絶なトップバトルを制して今季初優勝を飾った。

【写真】スーパーGT第4戦SUGOを華やかにするレースクイーン

 記録的な大雨となった秋田県ほどではないにしても、東北地方に訪れた活発な前線は、宮城県村田町のスポーツランドSUGOにも雨を降らせることになった。

 スーパーGT第4戦SUGOの決勝日は朝から事前の予報どおりのウエットコンディション。それでも、今シーズンから導入された日曜午前のオールドライバーズ・アピアランスでは登場シーンに工夫を凝らすチーム&ドライバーが増え、雨で冷えた会場を暖めた。

 決勝日当日は昼前に本格的な雨となり、スタート直前のウォームアップ走行ではGT300の31号車TOYOTA PRIUS apr GTが1コーナーでコースアウトしてグラベルストップ。さらにはハイポイントでWedsSport ADVAN LC500がコースオフしてコースサイドに止まり、なんと、ウォームアップ走行が赤旗中断になってしまう。WedsSportは自走してピットに戻り、外観には大きな損傷は見られなかったが、すでにこのウォームアップ走行から混戦を予感させる展開に。

 赤旗後のウォームアップ走行では雨が上がり、コースではオーバーヒートを避けるために水のある路面を探すラインを走るクルマが多く見られる。その後の決勝スタートに向けて、ドライ(スリック)タイヤの選択肢もあるのか、それとも溝を浅くしたユーズドのウエットタイヤか、または溝の深い新品のウエットタイヤか、各マシンの選択が難しい路面状況となってきた。

 その後の1時間15分のグリッドウォークの間には急速に路面は乾いていき、ドライタイヤでのスタートが可能なコンディションに変わったと思いきや、パレードラップ開始直前にふたたび雨が降り始める。

 どのチームも直前までタイヤ選択に悩む展開のなか、制限時間のパレードラップ開始5分前までタイヤ交換がところどころで行われ、ウエットタイヤとドライタイヤが混在することに。

 モニターと編集部情報で確認できた段階では、ポールのARTA NSX-GTをはじめ、多くのマシンがウエットタイヤを装着するなか、WedsSport、フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R、カルソニック IMPUL GT-R、ZENT CERUMO LC500の4台はドライタイヤを選択していたようだ。

 スタートでは1コーナーで4番グリッドからドライタイヤでスタートしたWedsSportが止まりきれず、オーバーランで順位を大きく下げる。

 トップのARTA NSX-GTは好スタートもオープニングラップではペースが上がらず、2番手以下との距離が縮まっていく。ヨコハマタイヤを履くMOTUL MUGEN NSX-GTはタイヤの温まりが良いようで、ステアリングを握る武藤英紀が2番手のRAYBRIG NSX-GTの山本尚貴を馬の背からSPにかけてパス。しかし、最終コーナーの立ち上がりでふたたびRAYBRIG山本がMOTUL NSX-GTのインに入り、2番手を回復。そのままARTA野尻智紀のスリップに入り、トップを奪った。

 その後方では4番手のKEIHIN NSX-GTのリヤハッチが文字どおり吹き飛び、リヤが丸見え状態に。その後、KEIHINにはオレンジボールが提示され、ガレージに入ることになってしまった。

 2周目にはペースの上がらないARTAをMOTUL NSX-GTがパスして、RAYBRIG 、MOTUL NSX-GT、ARTAのトップ3に。その後にダンロップを履くEpson Modulo NSX-GTが続き、NSXがトップ4を形成。

 一方、弱いながらも雨は続き、ドライタイヤを選択した4台は苦しい展開に。後続のGT300にも続々と抜かれていくという、通常のレース展開とは真逆の、なかなか見ることのできない光景が繰り広げられた。

 5周目には最終コーナーでGT300の35号車ARTO 86 MC 101がクラッシュしてフロントを大破、2コーナーでは5号車マッハ車検 MC86 GTNETがスピンと同時多発的にアクシデントが続き、ここでセーフティカー導入となる。

 11周目にセーフティカーが退去して、レース再開。すると、ドライタイヤを履いたGT500の4台はペースが上がらず、ふたたび後続のGT300に抜かれる展開に。そのなかでWedsSportとGT300のUPGARAGE BANDOH 86が1コーナーで接触。クラス違いながら、レーシングプロジェクトBANDOHの同士討ちというまさかの展開に場内がどよめく。お互い大きな損傷はなかったようだが、WedsSportはそのままピットインしてウエットタイヤに交換。

 16周目になると雨が強くなりはじめ、2番手MOTUL NSX-GTの背後に3番手ARTAの野尻が付き、バトル状態に。しかし、バックストレートエンドの馬の背でGT300マシンをかわす際にARTAが単独スピン。これで10番手まで順位を下げてしまう。

 19周目から20周目にかけてGT300マシンが各所でスピンを喫してしまい、GT300の順位が大きく入れ替わるなか、3番手EpsonがMOTUL NSX-GTをかわして2番手に浮上。

 トップのRAYBRIGは2番手に10秒5の差を付けて独走態勢を築くなか、雨あしは序々に弱まっていき、路面は乾いていく。すると、3番手のMOTUL NSX-GTはペースが厳しくなりはじめ、そこに4番手のDENSO KOBELCO SARD LC500、雨をめっぽう得意とするヘイキ・コバライネンが近づいてくる。

 MOTUL NSX-GTの武藤英紀も必至に抵抗するものの、29周目には1コーナーでDENSOがアウトから並びかかり、2台は併走したままコーナリング。2コーナーを立ち上がったところでDENSOが前を奪い、3番手に浮上した。MOTUL NSX-GTはタイヤが厳しくなったか、その後、続々と後続にかわされて8番手まで後退。

 一方のDENSOはコバライネンがリヤを滑らせながらもペースを保ち、2番手のEpsonの背後に。それでもEpsonのベルトラン・バゲットがうまくDENSOを抑え、2台はバトルをしながらも順位は変わらず。

 32周目には馬の背でGT300がクラッシュバリヤに突っ込むなど、アクシデントが起こるがGT500の順位に変動はなし。

 36周目になると、GT500はドライバー交代を伴うピットインが始まり、まずはフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rがピットインして、佐々木大樹からジョアオ・パオロ・デ・オリベイラに交代。その後、38周目にはMOTUL NSX-GTがピットインして武藤から中嶋大祐にチェンジ。2台ともタイヤはスリックを選択。
 
 すると、41周目にタイヤ交換を終えたばかりのフォーラムエンジニアリング GT-Rが最終コーナーでクラッシュ。このアクシデントで、このレース2度目のセーフティカーが入る。その間に、3番手DENSOが5番手まで順位を下げている。

 47周目にレースが再開されると、3番手に上がったWAKO'S 4CR LC500を始め入賞圏内のチームが続々とピットへ。KeePer TOM'S LC500、ARTA、WedsSport、カルソニックなどがピットインを行った。

 そのピット作業に注目が集まるなか、48周目の1コーナーでGT300の55号車ARTA BMW M6 GT3がバトル中に接触して1コーナーを飛び出しストップ。最終コーナーでもフォーラムエンジニアリング GT-Rがクラッシュした同じ場所にGT300の48号車、植毛GT-Rがクラッシュバリアに突っ込み、またも同時多発的にアクシデント発生。ここでこのレース3度目のセーフティカーが導入される。

 ここで不運となったのは、まだピットインを終えていない、トップのRAYBRIGをはじめとした上位4台。逆にドライバー交代を終えた5番手DENSO、6番手S Road CRAFTSPORTS GT-Rの2台に突然、優勝のチャンスが舞い降りる。

 それでも、この時点では実質の順位争いが混迷し、7番手以降はドライバー交代を終えていたが、セーフティカーの入るタイミングから周回遅れとなってしまい、優勝戦線からは離脱。この3度目のセーフティカー中にGT500の優勝争いはDENSOとS Roadの一騎打ちという、驚きの展開が突然訪れる。

 53周目に3度目のリスタートが行われると、RAYBRIGから上位4台がピットロードへ。タイヤをドライに替え、ドライバーを交代。これでDENSOがトップに立つも、ピットに入った4台がピットアウトした後ろのDENSOがつき、アウトラップの4台と後続のDENSO、S Roadなど7~8台が入り乱れ、見た目上の展開でポジションが目まぐるしく変わっていく。

 その後は63周目にKeePerがトラブルからか、ピットインしてタイヤを交換。そして残り10周となったところで2番手のS Road本山がペースを上げ、6秒強あったトップのDENSO平手晃平とのギャップが1周1秒近く縮まり、S Road本山がDENSO平手を追い詰めていく。

 DENSO平手もGT300を後ろに挟むようにブロックしてトップをキープするも、残り数周となったところで2台は0.7秒差のテール・トゥ・ノーズ状態に。

 残り2周の最終コーナーでS Road本山はDENSO平手のスリップに入り、ファイナルラップの1コーナーでS Road本山がアウトから並び掛かるも、DENSO平手はトップを死守。これで勝負あったかに見えたが、馬の背あたりで雨が突然強まり、DENSO平手はSPひとつめのアウトでオーバーラン。

 しかし、後ろのS Road本山も止まりきらず、若干オーバーラン。そして2台がぶつかり合いながらSPふたつ目でコースに復帰し、あとひとつの最終コーナーを目指して、まさに肉弾戦のような壮絶なトップ争いが繰り広げられることに。

 そのシーンを目撃した者は誰もが固唾を呑んだであろう、意地の張り合いのような形になった2台のトップ争いはDENSO平手がなんとか先にマシンを立て直し、先に最終コーナーへ。S Road本山はマシンがふらつき、DENSO平手に遅れて2番手で最終コーナーへ。

 リカバリーの早かったDENSO平手がスーパーGT史上、まれに見る混迷のレース&好バトルのSUGO戦を制して、2016年最終戦以来の2017年初優勝を飾った。これでレクサスLC500は今シーズンの連勝を4に伸ばし、今季の全戦全勝をキープ。

 惜しくも2位となったS Road本山だが、予選順位は15番手の最後尾からの躍進。DENSO平手、S Road本山ともにチェッカー後にマシンを降りるとすぐにお互い堅い握手を交わし、何度も何度も健闘を讃え合った。

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