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「順当?」「下克上?」「巻き返し?」予想困難なクラセン。決勝は清水ユースvs川崎F U-18か?

7/23(日) 7:00配信

ゲキサカ

 23日から第41回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会が群馬県内を舞台に開幕する。もう20年近く連続でこの大会を観てきていたのだが、大会の様相はだいぶ変わってきた。単純に開催地や大会方式が変わったということもあるのだが、Jクラブの絶対数が増えたことで「弱いチーム」の数が減って、レベルの近接したゲームが増えている。大会の行方を「予想」するのは、難しいを通り越して不可能だ。

 そう、不可能である。この前提をシェアしてもらった上で(重要)、困難な作業にチャレンジしてみたいと思う。クラブユース選手権の予想が難しくなるもう一つの理由は決勝トーナメントの組み合わせを決めるところで再抽選が行われるため、カードも読めない。やはり不可能である(念押し)。

 ところで、Jリーグ開幕以降のクラブユース選手権の流れは「高円宮杯リーグ化以前」と「同リーグ化以後」、そして「同プレミアリーグ創設以後」と大きく三つに分けることができると思っているのだが、高円宮杯プレミアリーグが創設されてからは、ある傾向が顕著になってきた。つまり、大会における「下克上」意識の高まりである。

 当然ながらプレミアリーグにいるチームは地力のあるチームではある。ただ、前年度以前の戦績で所属リーグが決まるのだから、「今年の強さ」を反映しているわけでないことも明らかだ。何よりプレミアリーグという最高峰舞台に所属「できなかった」チーム・選手にとって、自分たちの価値がそのステージにいるチームに劣っていないことを証明するビッグチャンス。プレミアリーグに「いる」チームとの大会に対するモチベーションの違いは、取材していてしばしば感じる部分でもある。年間を通じたリーグ戦が育成年代の「軸」として成立してきたが、下部リーグにいるチームにとってはなおさらカップ戦が特別な舞台となるのだ。

 プレミアリーグ創設翌年に行われた2012年大会では柏レイソルU-18が、翌13年度大会では横浜F・マリノスユースが、15年度大会では再び横浜FMユースがそれぞれ優勝を飾っているが、いずれも“非プレミア組の実力派”による大会制覇だった。準優勝チームを観ても、11年度のヴィッセル神戸U-18、12年度の横浜FMユース、15年度の大宮アルディージャユースと、ハイレベルなタレントを擁した記憶に残るチームの名前が出てくる。3位まで広げれば11年度の柏U-18、15年度のベガルタ仙台ユースとジェフユナイテッド千葉U-18、16年度の川崎フロンターレU-18と次々名前が出てくるわけだ。

 ここから予想できることとしては、今大会も「非プレミア組の実力派」が一つは上がってくる(んじゃないかなあ?)ということだ。過去の例を踏まえると、プレミアリーグから落ちたチームではなく、まだ上がったことのない実力派のチームで、なおかつ全国区のタレントがいる……。思い浮かぶのは、プリンスリーグ東海で2位のジュビロ磐田U-18、そしてプリンスリーグ関東で首位を走る川崎F U-18だ。前者にはU-20日本代表MF伊藤洋輝、後者にはU-17日本代表FW宮代大聖と大会屈指のタレントもいる。当然ながらモチベーションも高いはずで、躍進の期待はある。

 もう一つのパターンとしては、プレミアリーグで低迷しているチームが勇躍することも少なくない。ボタンの掛け違いでリーグ戦は低迷してしまっても、地力はある。そんなチームは今大会を後半戦に向けた巻き返しの踏み台にしようとパワーをかけてくる。負けが重なるとどうしてもチームの雰囲気も悪くなっていくものだが、カップ戦となれば心機一転して臨めるのも大きい。2014年に優勝した三菱養和SCユースなどはこの好例だった。今大会で言えば、バックボーンが同じ三菱グループという縁もある(?)浦和レッズユースなどは「ある」かもしれない。リーグの順位は低迷気味だが、元より地力はある。U-18日本代表DF荻原拓也など負傷者が続々と復帰を果たしている点もポジティブだ。

 そして、プレミアリーグで上位に来ているチームがそのままという分かりやすい可能性も捨てるべきではないだろう。昨年度のFC東京U-18や11年度の東京ヴェルディユースが典型である。今大会で言えば、東西のトップに立っているのは、東が清水エスパルスユースであり、西が神戸U-18だ。この2チームを優勝予想から外すのは、当然ながらナンセンスというものだろう。清水であれば、U-18日本代表FW平墳迅。神戸ならばU-17日本代表DF小林友希と世代を代表するタレントもいる。優勝の資格は十二分にあるだろう。

 そして最後にもう一つ、これから「ありそう」と観ているのがプレミアリーグから失陥しているチームが今大会で巻き返してくるという新たなパターンだ。過去に例がなかったのは、そもそも「プレミア落ち」を経験したチームの絶対数が乏しかったから。これからは「ある」とみる。ここはプリンスリーグ東海を無敗でトップ独走中の名古屋グランパスU-18を推しておきたい。昨年、プレミアリーグから落ちてしまった屈辱感を何よりも強く感じている選手たちがこの大会に燃えていないはずもない。U-17日本代表DF菅原由勢のほかにも日の丸経験者がズラリとそろうチームがプライドに懸けて、すべてを出し切ってくるに違いない。

 さて、候補チームが出そろったところで、決勝のカードも予想しておこう。まずは個人的に今季観た中で最も単純に「強い」と感じたチームである清水ユース。ポジション的にも穴がなく、前回大会の準優勝によってファイナルまでの“経験値”を持った選手がいるのも大きい。これに対するのは川崎F U-18ではないだろうか。今大会はとにかく暑さとの戦いという一面があり、ポゼッションして体力を温存できないチームは次第に厳しくなっていく。その意味で“握れる”チームが勝ちやすいという一面があり、川崎Fのスタイルは資格ありと観る。

 いずれにしても、こんな予想など吹き飛ばす熱戦が約束されているのがクラブユース選手権という大会だ。心身のタフネスとチームワーク、そして何より小さな頃から地道に培ってきた技術の粋を見せてくれることを期待したい。その上でより強い勝利への執着心を共有して持てたチームが、41回目の「夏の王者」に輝くことだろう。

(取材・文 川端暁彦)

最終更新:7/23(日) 7:00
ゲキサカ

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