ここから本文です

2016年国内の3Dプリンタ出荷台数は減少、造形受託や造形材料の市場は成長傾向

7/24(月) 10:00配信

MONOist

 IDC Japan(IDC)は2017年7月19日、日本国内における2016年の3Dプリンテイング市場動向と2021年までの予測について発表した。日本国内における2016年の3Dプリンタの装置本体の売上額については118億円で、前年比で19%減と前年に引き続きマイナス成長となった。ただし、受託造形(サービスビューロー)や保守サービスといった関連サービスの売上額が100億円で前年比7.3%増、消耗品である造形材料の売上額が110億円で同30.6%増となり、市場全体としては「わずかに成長した」とIDCのイメージング、プリンティング&ドキュメントソリューション 三谷智子氏は説明した。

【その他の画像】

 IDCでは、3Dプリンタを次のように定義する。「デジタルモデルあるいはデジタルファイルから、1つまたは複数のプリント技術(例:プリントヘッドやインクジェットノズルなど)を使用することによって、造形材料を連続的に積層し、物体や形状を作り出す機器」。平均販売価格が50万円以下のものを「デスクトップ」、50万円以上の場合を「プロフェッショナル」と分類する。

 デスクトップ3Dプリンタ本体の国内出荷台数は5900台で前年比で10.5%減、売上額が8.5億円で同20.8%減だった。プロフェッショナル3Dプリンタ本体の出荷台数が1300台で同1.4%減、売上額が109.8億円とで同18.9%減だった。3Dプリンタ本体市場については、2015年に続きマイナス成長という結果となった。

 一時期の3Dプリンタブームが落ち着いたことで、興味本位で購入するユーザーが減少し、「今後は用途や目的が明確なユーザーの購入が進む」と同社では見ている。プロフェッショナル3Dプリンタについては、デスクトップ機種ほど減少度合いが顕著ではなく、今後は少しずつ伸びていくだろうと予測する。

 同社は2021年には、デスクトップ機種が4230台で2016年比が6.6%減、プロフェッショナル機種が1720台で同5.8%増と予測する。「技術の進化により着実に応用範囲が拡大し、徐々に市場が成長する。どの造形法が、どのようなものを作成するのに提起しているかについての理解が深まることにより、3Dプリンタの用途が拡大し、市場は堅調に推移する」(三谷氏)。

 デスクトップ機種については今後は少しずつ減少していくと予測している。3Dプリンタによる造形に不可欠な3Dデータを作成するための技術のハードルも高いこと、教育機会の提供の難しさなど課題を挙げている。「紙のインクジェットプリンタのような普及は、今のところ考えられない」(三谷氏)。

●3Dプリンタの利用そのものは増えているが……

 3Dプリント関連サービスや造形材料市場は成長傾向だ。これらの市場は今後も成長を維持すると同社では見ている。プロフェッショナル3Dプリンタの出荷と稼働数の増加に伴い、修理や保守の市場も拡大し、造形材料の消費量も増加するだろうと同社は考える。

 今後5年間で、日本における3Dプリンタの市場は全体的に少しずつ伸びていくが、爆発的な伸びは、技術的ブレイクスルーなどが起こらない限りは、現時点では期待できないという。「プロフェッショナル機種は1000万円を超える高額なものもあり、頻繁に買い替えるものではない」(三谷氏)。現在、国内の3Dプリンティング市場全体は300~400億円くらいの規模だが、2021年には500~600億円ほどにまで成長するだろうと予測する。

 3Dプリンタの認知度が向上したことで、3Dプリンタの利用そのものは増えているという。しかし「自分や自社では購入せず、受託造形を利用するケースが今も多く見られる。受託造形の利用は今後も着実に伸びていきそうだ」と三谷氏は述べた。受託造形の利用増加は、材料消費量の増加にもつながっていくだろうとしている。

 IDCによるヒアリングによれば、3Dプリンタの利用目的は、ほぼ試作であり、航空機メーカーなどの大物部品を除いて、最終製品の製造(直接製造)における用途はあまり見られないという。今後も試作での需要が中心となりそうだが、最終製品製作での活用が増加していけば、市場はより急速に拡大する可能性があるとしている。

 「3Dプリンティングは従来技術の置き換えではない。従来技術では作成できない複雑な形状のものが造形可能な技術である。これまでの技術では作成できなかった構造のものを作成することにより、製造プロセス改革や新たなビジネスモデルを確立することが可能である。3Dプリンティングの導入によって、どのような付加価値を生み出せるかを見極めることがポイント。現在の造形精度や速度、材料の制限下でも、そのような価値が提供可能な分野は存在する。よって今後も、3Dプリンタに関して正しい認知の拡大が課題である」(三谷氏)。

最終更新:7/24(月) 10:00
MONOist