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夏休みも休めない、残業も「自発」…先生の「働き方」

7/24(月) 10:00配信

ベネッセ 教育情報サイト

政府が進める「働き方改革」の学校版として、中央教育審議会が、国公私立を通じた先生の働き方改革について議論を行っています。とりわけ公立学校の教諭に関しては、小学校で約3割、中学校で約6割が「過労死ライン」にあるという衝撃的な調査結果が明らかになっています。
先生が多忙であることは近年、知られるようになってきましたが、そもそも先生の働き方はどうなっているのでしょう。

子どもに関わる仕事は時間で測れない

公立学校の先生には、残業代が出ないことをご存じでしょうか。
欧米などと違って、日本の学校は、授業だけでなく、生活指導や学校行事などを含め、子どもの知・徳・体に関わる全人的な教育を特質としています。
時間外にも指導に当たる必要性が、日常的に出てきます。そのため戦後以来、一般公務員のような勤務時間の測り方はなじまないとして、給与を優遇する一方、超過勤務手当(残業代)は支給されないこととされてきました。

しかし、既に1960年代から超過勤務が問題視され、66(昭和41)年に当時の文部省が初の全国的な勤務状況調査を実施。その結果に応じて1971(昭和46)年、教職給与特別法(給特法)が制定されました。
残業代の代わりに、教職調整額として給料月額に一律4%を上乗せする一方、時間外勤務を命じることができるのは、(1)生徒の実習(2)学校行事(3)職員会議(4)非常災害等やむを得ない場合……の「超勤4項目」に限定すると明確化されました。

では、それ以外の実質的な残業はどういう扱いなのかというと、教育の専門家である先生個人が「自発性・創造性」に基づいて判断している……と見なされているのです。それも含めての4%というわけです。

「上乗せ」名目で超過勤務が放置

ただ、教職調整額が4%に決まった1966(昭和41)年当時、残業時間はせいぜい月8時間程度でした。それが2006(平成18)年の調査では約42時間と、5倍以上になっていることが明らかになりました。そもそも調査が行われたのも、4%の上乗せ分を何とか削減できないかという財政当局の求めに応じたものだったのですが、もし残業代に切り替えたら、それ以上の財政出動が必要になることがわかり、給与見直し論議はそれっきり沙汰やみになってしまいました。

その後、2016(平成28)年10~11月にようやく3度目の教員勤務実態調査が小・中学校に限って行われ、10年前よりもさらに小学校で週4時間ほど、中学校で週5時間ほど勤務時間が増えている実態が明らかになりました。
学力向上はもとより、いじめ・不登校・発達障害などへの対応など、先生に求められる仕事は増える一方なのに、あくまで「自発的」という建前から、超過勤務が放置されていた側面は否めません。

ところで昔、先生は夏休み中、子どもと同じように休んでいると世間からは思われている時代がありました。今でもそう思っている人がいるようです。しかし昔も、あくまで出勤・退勤管理に縛られないというだけで、校内外で「自発的・創造的」な研究・研修などに従事していたのが実際です。その後、2000年代になって、多くの教育委員会で勤務管理が厳密化され、特に理由がなければ学校に出勤するよう求める運用がなされています。2006(平成18)年の勤務実態調査でも、夏休み期間中に1時間前後の残業・持ち帰り仕事をしていることが明らかになっています。

学習指導要領の改訂で、先生の仕事は今後ますます増えそうです。正確な実態を踏まえた「働き方改革」を論議してほしいものです。

※教員の働き方改革(6月22日の中教審配付資料)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/1387211.htm

※1966年と2006年の教員勤務実態調査の比較
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/052/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/08/17/1359970_02_1.pdf

(筆者:渡辺敦司)

ベネッセ 教育情報サイト