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死期悟りつつ編集進めた鬼瓦本 遺族が学会に寄贈

7/24(月) 8:00配信

両丹日日新聞

 鬼についての見識を深める「世界鬼学会」の事務局がある京都府福知山市大江町佛性寺、日本の鬼の交流博物館に、学会員で5月31日に亡くなった群馬県前橋市、富山弘毅さんの遺族から、富山さんの著書「鬼の栖む風景120」が500冊贈られた。富山さんは医師から余命宣告を受け、死期が近いと知りながら同書の編集を進めたが、完成を見ずに80歳でこの世を去った。生前から学会員全員への寄贈を予定していたことから、事務局では富山さんの遺志が早く伝わるように、会員たちへの送付を進めている。

 高校教諭や市議会議員などを務めた富山さんは、議員時代に鬼瓦に興味を持ち、2000年に鬼学会に入会。大江町内で開催の鬼シンポジウムに参加したこともあった。14年には著書の「鬼瓦お遍路」、17年3月には「鬼瓦のルーツ 写真紀行」を出し、いずれも学会員全員に寄贈した。

 以前からがんを患い、15年に医師からは余命1年と宣告された。「鬼瓦のルーツ 写真紀行」の編集の時も病と闘いながら完成させた。

 「鬼の栖む風景120」は各地の寺や城などの鬼瓦に焦点を当てた本。写真と説明文を載せて、鬼瓦の魅力に迫る。B5判横、256ページ。

 あとがきには、戦争のない平和で住みやすい世の中になるように、にらみを利かす鬼瓦たちへの遺言として、「残りはごくわずかになったと、日々実感している。私の愛する日本中の鬼たちよ 私も『千の風』となって、空の上からあなたたちのたたかいに加わり続けます」と締めくくっている。

 富山さんは亡くなる2、3日前に「鬼の栖む風景120」の最終校正を済ませていた。発行日は6月28日で、富山さんの誕生日だった。生前から遺言で「この本は世界鬼学会のみなさんに見てほしい」と家族に語っていた。

 鬼学会事務局長の塩見行雄館長は「富山さんは、鬼瓦をこよなく愛しておられました。お亡くなりになり本当に残念です。この本の出版は、不屈の精神力と家族の手厚い看護があってこそでしょう」とたたえ、「学会員のみなさんには本を読んで富山さんをしのび、鬼瓦に一層興味を持ってもらえればうれしい」と話す。

両丹日日新聞社

最終更新:7/24(月) 8:00
両丹日日新聞