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歴史の違う3社が結集したトヨタ東日本、小型車託された“国内第3拠点”の挑戦

7/24(月) 20:30配信

日刊工業新聞電子版

■工場間のたすき掛け人事、融合促進

 トヨタ自動車が「国内第3の生産拠点」と位置付ける東北の地で、トヨタ自動車東日本(TMEJ、宮城県大衡村)が奮闘している。担当車種が小型車ゆえの課題や苦労と向き合い、創意工夫で乗り越える施策を打つ。関東自動車工業、セントラル自動車、トヨタ自動車東北の3社が統合し、7月で設立5周年を迎えたTMEJ。重要拠点として、これから一段と成果が問われてくる。

 「コンパクトカー(小型車)というクルマづくりの基本に立ち返る」。トヨタの豊田章男社長は、5月の決算会見で危機感を隠さなかった。2018年3月期に2期連続の減収減益を見込むトヨタ。「性能や品質の競争力向上を優先し、コストやリードタイムは後回しということになっていないか」(豊田社長)と、疑問を投げかけた。

 そこで引き合いに出したのが小型車だった。安全性や快適な室内空間、軽快な走りなどを実現しなければならない小型車だが、安価な価格設定も求められるため収益構造は厳しくなる。競合他社との競争も激しい小型車の収益改善はトヨタの課題といえる。

 重責を担うのがTMEJだ。トヨタの本拠地である愛知県、高級車ブランド「レクサス」を生産する九州に次ぎ、トヨタは「国内第3の生産拠点」として東北のTMEJに小型車を託した。本社を構える宮城大衡工場(宮城県大衡村)では小型ミニバン「シエンタ」や小型車「カローラ」を、岩手工場(岩手県金ケ崎町)では小型ハイブリッド車(HV)「アクア」や小型スポーツ多目的車(SUV)「C-HR」を量産している。

 歴史の違う3社が結集したTMEJでは、設立当初の課題の一つが“融合”だった。設立時からトップを務めるTMEJの白根武史社長が施した手法は、工場間のたすき掛け人事。セントラル自動車が11年に稼働した宮城大衡工場と、関東自動車工業の拠点だった岩手工場のそれぞれの部長数人が、お互いの工場の副部長を半年間兼務後、実際に工場間の部長を入れ替えた。

 そうすると新部長が次の人事異動から出身母体の元部下を引っ張ってくるので、自然と融合が促進されたという。「例えば、岩手工場の塗装工程でなにかトラブルがあれば、宮城大衡工場から(部長が)部下を連れて飛んでいく」(白根社長)という。宮城大衡工場で受注が好調のシエンタの生産が始まった15年には、カローラフィールダーの生産を岩手工場に約1年間移管して急場をしのいだ事例もスムーズにいった。

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