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100人の“カップ焼きそばの作り方”を書き分けた著者に学ぶ「文体模写テク」

7/24(月) 20:01配信

TOKYO FM+

高橋みなみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組、7月 24日(月)の放送では、「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」(宝島社)の著者でライター・編集者の神田桂一さんと菊池良さんをゲストに招き、文体模写のコツを伺いました。

この本は太宰治や三島由紀夫、夏目漱石、村上春樹といった文豪から、星野源、小沢健二といったミュージシャン、さらには「週刊文春」のようなメディアまで、100パターンの文体を真似てカップ焼きそばの作り方を文章化した一冊で、発売から2ヵ月経たず発行部数7万部を突破しています。

そもそもこの本を出すきっかけになったのは、菊池さんが昨年5月にTwitterに投稿した、村上春樹文体で書いたカップ焼きそばの作り方。「村上春樹さんの文体で、村上春樹さんが書かなそうなことを書くと面白いんじゃないかと思ったんです。村上春樹がメールを書いたら? 算数の問題を書いたら? などいろいろ考えていたんですが、(カップ焼きそばの作り方に決めたのは)たまたま考えているときにカップ焼きそばを食べてたんです」とは菊池さんの談。

さらに、菊池さんは神田さんとともに「村上春樹になる技術(仮)」という別の文体模写の企画を考えていたそうですが、それが紆余曲折ありカップ焼きそばの企画に。2人がそれぞれ50人ずつ文豪や著名人を選定し、1ヵ月で100人分の文体を模写し書き上げたそうです。

執筆するうえで2人が共通ルールとしていたのが、それぞれのファンに怒られないようにすること。
「炎上が一番怖くて。発売されたら速攻炎上するんじゃないかと思ってました」と神田さん。
実際には「笑える」「面白い」「言いそう」という読者の反応が多数で、炎上はしていないそうです。

また、神田さんは今回文豪本人が読んでも読者が読んでも笑えるものを目指したとか。
特に気に入っているのは町田康さんの文体模写で、「『しまったしまった島崎藤村』という部分ですね。(町田さんは)文末にこういうのを入れがちなんです。町田康は全部読んでいるので、すぐに降りてきました。1時間くらいで書けました」とどや顔。
逆に大変だったのはトマス・ピンチョンさんだそうで、「(そもそも)原作が難しいんですよ。外国人作家だし、バラエティを出すために入れたほうがいいと思ったんですが、自分にとっても挑戦でした。トマス・ピンチョンに何日かかってるんだって感じですよ」とのこと。

菊池さんはなるべく多くの文体を入れるように、“文体の図鑑”になるように人選したそうで、分析のために資料を読み込む時間も合わせて5~6時間かかったものの、執筆自体は「(文体の)個性が立ってるので、書くのは難しくなかった」と言います。
お気に入りは、村上龍さんと坂本龍一さんの対談風にカップ焼きそばの作り方を書いたもので、「普通の文体だけじゃなく、対談を入れても面白いと思ったんです。2人の対談は乗り移ったんじゃないかというくらい良く書けました」と胸を張っていました。

そんな菊池さんが執筆時気を付けていたのは、パロディだとちゃんとわかるようにすること。ファンに怒られないクオリティを保ちつつ、パロディとわかるようにするバランスが難しかったそうですが、そのコツについて「作家の方の決め台詞的なものを使ったり、よく使う単語を調べて入れました」と語っていました。

番組では、「もし高橋みなみがカップ焼きそばの作り方を書いたら」というお題で2人が文体模写した文章をたかみなが朗読。

「努力が人を成長させるように、お湯がカップ焼きそばを成長させます。フタを開け、ソースの小袋を取り出したら麺のためにもお湯を入れてあげましょう。お湯を入れ、フタを閉めたら5分間待たなければなりません。何もしない5分間は辛いものです。けれど、ただ待っているだけじゃなくて、時間をどう有効活用できるか考えたら有意義な時間になるはずです。この時間を乗り越えるからこそカップ焼きそばは美味しいものになります。5分経ったら湯切りをし、ソースをかけましょう。美味しく食べるために5分間がある。この瞬間のために5分間努力をする。そう考えたら作るのが楽しくなりませんか」。

「(たかみなの)『リーダー論』で書かれている努力に前向きな姿勢をカップ焼きそばに当てはめました。書きやすかったです」と話す菊池さんに、たかみなは「なんかすごい悔しい! すごくぞわぞわする。こんなに自分のことを分析されて、自分っぽく書かれるのが恥ずかしいとは思わなかった!」と絶叫していました。

(TOKYO FMの番組「高橋みなみの『これから、何する?』」2017年7月24日放送より)

最終更新:7/24(月) 20:01
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