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【インタビュー】乾貴士(エイバル/日本代表)『サッカーを楽しむヤツには、勝てっこない。』

7/24(月) 18:05配信

SOCCER KING

 乾貴士にとって、2年目のリーガ・エスパニョーラにはキャリアハイと言える充実感があった。

 浮き沈みはあった。スタメンから外され、ベンチから外された試合もひとつやふたつじゃなない。それでも、ふてくされることもなければイラつくこともなく、乾はただ、信頼できる監督の下で同じ価値観を持つチームメイトとの“サッカー”を楽しむことに没頭した。

 チャンスはやがてめぐってきた。結果を出したのはシーズン終盤。左サイドを主戦場とするチャンスメーカーは第29節ビジャレアル戦でシーズン初得点を記録し、最終節ではバルセロナから2得点を奪った。シーズンを通じた成績は28試合出場・3得点。1年目とほぼ変わらない数字だが、数字に表れない手応えが確かに残っている。

 3年目のシーズンが、間もなく幕を開ける。目に見える目標は「5、6得点」と控えめだが、何より「サッカーを楽しみたい」という気持ちはこれまで以上に強い。厳しい競争に身を置くからかそ、楽しんだもん勝ち。29歳になった日本屈指のテクニシャンは、スペインの地で、選手にとって大切な確固たる価値観を手に入れつつある。

文=細江克弥
写真=野口岳彦、Getty Images

■とにかく練習が楽しかった

―――ちょうど1年前にお話を聞いた時に、「スペインに行って、ようやくサッカーを楽しめる感覚を持てるようになった」と言っていました。そうしたモチベーションを持って臨んだ昨シーズン、改めてどんな気持ちで迎えたのでしょう。

乾貴士(以下、乾) そうは言っても不安はありました。補強もあったし、「今年は試合に出られるなかあ」という思いもあって。新加入の選手は僕でも知っているような選手で、例えばラージョ・バジェカーノから来たベベは「コイツ、めちゃくちゃええ選手やな」と思っていたくらい。正直、「だいぶ出られへんようになるかもなあ」という気持ちのほうが強かったかもしれません。

―――2年目だからの難しさや厳しさも予感していた。

乾 もちろんありました。開幕戦はスタメンだったんですけど、僕自身のプレーが全く良くなくて。なんでやろ……。気持ち的に中途半端だったというか、準備はできていたんだけど、僕自身の遠慮がちな性格がちょっと悪い方向に働いてしまって。あの時は「何してんやろ」と思いましたけど、切り替えてやるしかなかったですね。

―――そういうところを見ていたのか、ホセ・ルイス・メンディリバル監督も次の試合からはスタメンで使いませんでした。

乾 予想はできていました。そのタイミングじゃなくてもいつかくると思っていたので、「もう来たか」という感じ。すごくわかりやすい人なので、態度でなんとなく伝わってくるんですよ。ただ、監督は試合に出ている選手も出ていない選手も一人ひとりをちゃんと見ているから、「チャンスはまたある」と思っていたんです。練習は楽しかったし、コンディションも良かった。下半身の筋トレをやり直したり、全体トレーニングに追加して走るようにしたり、そうするうちにどんどん良くなっていく手応えはあったんです。

―――焦りは?

乾 もちろんありました。コンディションが良くてもなかなか使ってもらえなかったし、ベンチ外の試合も多かったので。「厳しいかな」と思いながらも、チャンスを待つしかなかったですね。

―――我慢できる、モチベーションを下げないというメンタリティは、ここ数年における乾選手の成長を意味しているような気がします。

乾 そう言ってもらえるのは嬉しいです。でも、そういうメンタリティがここ数年で備わったというよりは、僕、もともと自分が尊敬する監督にメンバーから外されてもなんとも思わないんですよ。

―――なるほど。

乾 メンディリバル監督はまさにそういう人で、言っていることも考えていることも理解できるし、誰に対しても同じように接する。だから尊敬できる。ウチのチームにはいい選手がいるので、もし自分が試合に出られなくても納得できるところもあるんです。だからふてくされることもなかったし、とにかく練習が楽しかったので、モチベーションを保つのは難しくなかったというか。

―――メンディリバル監督との相性がいいんですね。

乾 うん、そう思いますね。

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最終更新:7/24(月) 18:56
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