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銀行なのに“面白さ”追求 「AI外貨予測」提供開始、じぶん銀行の狙いとは

7/25(火) 7:10配信

ITmedia ビジネスオンライン

 じぶん銀行は、人工知能(AI)が為替相場の変動を予測するサービス「AI外貨予測」の提供を始めた。外国為替の変動予測を分かりやすく示すことで、外貨預金を始めるきっかけを提供する。また、客に親しみや関心を持ってもらうためのコンテンツの1つにする狙いもある。その意図などについて聞いた。

【プッシュ通知によるアラート画面】

●顔のマークで変動予測を表示

 じぶん銀行は、KDDIと三菱東京UFJ銀行が出資している、スマートフォンメインのネット専業銀行。約250万人の顧客を抱える。

 AI外貨予測は、フィンテックベンチャーのAlpacaJapan(以下、アルパカ)と共同開発。じぶん銀行のアプリ内で利用できる。1時間後、1営業日後、5営業日後の変動予測を顔のマークのアイコンで表示する。対象通貨は、米ドル、ユーロ、豪ドル、ランド、NZドルの5通貨。

 このようなサービスを始めた狙いについて、榊原一弥執行役員は「外貨預金に対して、『いつ買っていいのか、分からない』という声が多かった。金利や手数料よりも、預入タイミングの判断に関してサポートのニーズがあった」と説明する。世界的に低金利環境にあることから、少しでも有利なレートで預けられるタイミングを知らせることで、外貨預金の取り扱い増加を目指す。

 アプリでは、外貨の上昇、下落の予測をアイコンの表情によって表しており、一般の利用者にも一目で状況が分かるようになっている。アルパカが米国でトレーダー向けに提供しているツールをもとに、日本の一般利用者を意識して開発した。「日本で外貨預金やFXをやっている人の層は幅広い。分かりやすく、使いやすい見せ方を目指した」(榊原執行役員)。

 表示されている顔のアイコンをタップすると、上昇、下落予測の確率や高値、安値の予測など、詳細な変動予測を閲覧できる。また、5営業日後に終値が上がる確率が一定以上になった際には、その情報をスマホのプッシュ通知で知らせる。最適なタイミングを逃さないための機能だ。

●ディープラーニング活用で進化を目指す

 AI外貨予測でAIが学習しているのは、過去の為替変動のデータ。現在の相場をそのデータと照らし合わせて、似ている動きを探す。そして、どのくらいの期間で、どのくらいの価格の上昇、下落が見込めるか計算している。

 予測の正確性については、「プロのアドバイスと比べても遜色ない」(榊原執行役員)レベル。ランダムに予測した場合の正解率が50%だとすると、プロのトレーダーの予測は55~60%に上がる。AIだと60%に到達できる確率になるという。

 しかし、榊原執行役員は「それでは満足できない」と意気込む。今後、さらにAIを進化させていく考えだ。

 現在のサービスは第1段階。AIは過去の膨大なデータから現在と似た動きを探しているにすぎないが、今後はディープラーニングを活用してさらに高度な予測ができるように改良していく。過去のデータから探し出すだけではなく、過去のデータをもとに自らトレンドを予測できるようにするという。2017年度内に次の段階のサービス提供開始を目指す。

●“面白い”と思ってもらいたい

 金融機関でAIを活用した取り組みが増えている。先進的な店舗づくりや問い合わせ対応の自動化などが多いが、じぶん銀行のAI活用はそのような取り組みとは目的が異なる。「効率化やコストダウンよりも“面白い”と思ってもらえることにAIを使いたい」(榊原執行役員)。

 AI外貨予測は、外貨預金のタイミングを知らせるだけでなく、外貨に対する興味関心を喚起するコンテンツにもなる。「じぶん銀行アプリは、お客さまとのコミュニケーションツール。振り込みや残高確認など、必要なときに見るだけでなく、お客さまから情報を取りに来てもらえるようなアプリを目指している」と榊原執行役員は話す。

 そのための機能の1つが「タイムライン」だ。取引明細のほか、口座振替金額や定期預金満期などの情報、顧客の状況に合ったサービスの提案などをSNSのように表示する。毎日気軽に閲覧できる。顧客に見てもらう工夫を凝らしたコンテンツだ。「面白いこと、楽しいことをいかに増やしていくか考えている。直接取引につながらなくても“必要なムダ”なんです」と榊原執行役員は言い切る。

 「銀行がお客さまをただ待っているだけの時代は終わりました。お客さまを喜ばせるコンテンツを提供し、日々使ってもらうことで、銀行の存在価値を高めることが必要だと考えています」(榊原執行役員)。