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金融庁長官が苦言?積立NISAの対象ファンドが1%以下の理由とは

7/25(火) 17:40配信

ZUU online

2014年より始まったNISA(少額投資非課税制度)だが、2018年からは新たに「積立NISA」が創設される予定だ。少額からの積立・分散投資を促進することで、家計の安定的な資産形成を支援するねらいがある。

積立NISAは、2014年からスタートしたNISAとは異なり、投資できる商品は投資信託(上場投資信託含む)のみとなるほか、投資可能な投資信託も限定される方針だ。今回はそんな「積立NISA」の概要と、投資可能な投資信託が限定されている理由について紹介していく。

■積立NISAとは

積立NISAとは、従前のNISAと同様に運用益が非課税となる制度だ。異なる点は、年間投資上限額が「40万円」であること、非課税で保有できる期間と投資可能期間が「20年間」であることだ。1年あたりに投資できる金額は従前のNISAより少なくなるが、合計金額では最大800万円(=40万円×20年間)まで非課税とすることができる。

投資できる商品にも違いがある。従前のNISAは、投資信託に加えて個別の株式銘柄への投資も可能だが、積立NISAで投資できるのは投資信託のみとなるほか、投資可能な投資信託にも制限が設けられる予定となっている。2016年12月に与党が開示した「平成29年度与党税制改正大綱」によれば、「投資初心者でも理解できるよう、複数の銘柄の有価証券等に対して分散投資を行うなどの要件を満たし、特定の銘柄等によるリスクの集中の回避が図られた投資信託に商品を限定する」とある。

つまり、安定的な資産形成を手助けするために、現在5,000本以上ある公募投資信託の中から、あらかじめ金融庁が長期投資に見合った商品を選定してくれていると考えればいいだろう。

2014年にスタートしたNISAと比較すると、積立NISAは「より長期的かつ安定的な資産形成を目的とした制度」ということになる。積立NISAと従前のNISAは併用できない予定となっているため、投資の目的や期間に合わせどちらを利用するか判断しなければならない。

■積立NISAの対象ファンドが1%以下の理由とは

資産運用の世界を代表する思想家として知られるバートン・マルキールとチャールズ・エリスは、個人が投資で成功するための秘訣として、「再投資をすること」「一定額コツコツ投資すること」「資産分散を図ること」「インデックスファンドを中心に選ぶこと」などを提唱している。金融庁長官の森信親氏によると、積立NISAの対象ファンドは上記の考えを基準に選定されるという。

2017年4月に金融庁が分析グループを立ち上げ、上記を基に検証したところ、日本で売られている5,000本以上の公募株式投資信託のうち、インデックス型投信は381本だった。その中で、信託期間が長く長期投資を目的としているものであり、かつノーロード(購入時手数料がかからない)で信託報酬が一定率以下のものは50本弱だった。

また、アクティブ型投信については、設定以来、2/3以上の期間において資金流入超となっており、ノーロードで信託報酬が一定率以下であることなどを要件とし検証を行ったところ、基準を満たしたのはわずか5本だった。以上の結果から、積立NISAの対象となる基準をクリアしたのは、インテックス型運用とアクティブ型運用を合わせ50本程度と、じつに全体の約1%という結果となった。

■積立NISAで中長期的な資産形成を

森長官は、とある講演で、このような状況を招いている理由のひとつとして、これまで金融機関が「テーマ型投資信託」の販売に積極的だったことを挙げている。日本で人気のあるテーマ型投資信託は、売買のタイミングが重要な金融商品である。そのため、タイミングを見極め、安く買って高く売ることができれば大きな利益を産むことが可能だ。しかし、大きな利益を生む可能性がある一方で、相応のリスクが内在している。

「積立NISA」では、テーマ型投資信託とは異なった目線で対象ファンドが選定される見込みだ。また、ドル・コスト平均法(定額購入法)で投資が行われるため、価格変動リスクを分散することも可能だ。そのため、「積立NISA」は中長期的に安定した資産形成には非常に向いている制度といえるだろう。

今後も低金利・マイナス金利の状態が長期的に続くとすれば、資産を現金で保有していていても目減りしていく一方だ。将来の資産形成はもちろんのこと、現在の資産の価値を守るためにも、積立NISAなどを活用した中長期的な資産運用は必須となるだろう。

また、積立NISAと同等かそれ以上に中長期的な資産形成手段として、個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)が挙げられる。iDeCoの運用商品にラインナップされている投資信託は、一般に販売されているものよりも信託報酬が割安であることが多い。また、毎月一定の掛金額を積み立てることにより時間分散効果が働くほか、運用益も再投資される。これはまさに、前述のバートン・マルキールやチャールズ・エリスが提唱した「個人が投資で成功するための秘訣」であり、積立NISAの対象ファンドの選定基準にも合致する。ぜひ、積立NISAだけでなくiDeCoも中長期的な資産形成の選択肢の一つとして検討していただきたい。(提供:確定拠出年金スタートクラブ)

最終更新:7/25(火) 17:40
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