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これぞ最強のUHD BDプレーヤー! OPPO「UDP-205」を試した

7/25(火) 16:27配信

ITmedia LifeStyle

 7月上旬に発売された米OPPO DigitalのUltra HD Blu-ray(以下、UHD BD)対応のユニバーサルプレーヤー「UDP-205」。親しくしているオーディオ専門店に聞くと、6月の製品発表以来、予約が殺到したそうで、その数は先に発売された弟モデルの「UDP-203」を大きく上回るという。UDP-203のほぼ2倍の値段(21万6000円前後) ではあるのだが……。

二重構造筐体

 実際に筆者も6月中にUDP-205を入手し、さまざまな再生環境でテストをしてみたが、画質、音質、機能性、使い勝手のすべてにおいて満足できるすばらしい製品に仕上がっていることが分かった。現状入手できるUHD BDプレーヤーの中で最強モデルであることは間違いないだろう。

 では、UDP-205の主な特徴について述べよう。まずなんといっても驚かされるのは、その類いまれなコンテンツ対応力。UHD BD、Blu-ray Disc、DVDといった映像ソフトはもちろんのこと、現状考えられるほぼすべてのHi-Fiオーディオ系デジタル音源を聴くことができる。

 採用された音声用DACチップは、米ESS Technologyの最新最高峰8chタイプの「ES9038PRO」。本機ではこのチップを2基搭載し、1つはアナログ7.1ch出力用に、もう1基を2chステレオ出力用(XLRバランス、RCAアンバランス、ヘッドフォン)に充てている。ES9038PROは、各チャンネルが4回路のDACで構成されており、スペックを見ると140dB以上という驚異的なダイナミックレンジが達成されていることが分かる。単価が高いと思われるES9038PROを2基搭載して20万円という値段でUHD BD対応ユニバーサルプレーヤーを企画、開発できるOPPOという会社の潜在能力に、まずは脱帽してしまう。

 本機はCD、SACD、DVD-Audioという12cm Hi-Fiディスク再生(SACD、DVD-Audioはマルチチャンネルにも対応)はもちろんのこと、3通りのハイレゾファイル再生が可能。USB-B端子を用いたUSB-DAC再生機能、USB-A端子を用いたメモリー再生機能、LANを用いたネットワークオーディオ機能の3つだ。

 対応レゾリューションは、USB-DAC再生時は768kHz/32bit PCM、22.5792MHz/1bit DSDまで、メモリー再生とネットワーク再生時は192kHz/24bit PCM、5.6MHz/1bit DSDまでとなる。USB-DAC再生時は現状存在するすべての2chハイレゾ音源が再生できてしまうわけだ。

 本機を持ち上げてみると、ずしりと重い(重量約10kg)。OPPO歴代のモデルは、ケーブルを挿すと本体がズズズっと動いてしまうくらい軽かったので、その手応えのある質量感に頼もしい思いを抱いた。この本格筐体(きょうたい)設計は、OPPO Digital Japanが本社の許可を得て企画、開発した「BDP-105D JAPAN LIMITED」(2015年発売)に想を得たものだろう。

 BDP-105D JAPAN LIMITEDは筐体の剛性強化とともに高周波ノイズ対策やオーディオ回路のクロック交換などによってオリジナル機を大きく上回る高音質を達成し、わが国で大ヒットを記録したモデル。その目覚ましい成果にOPPO Digital本社も注目し、本機開発にあたって二重構造筐体を取り入れ、ディスクローダーの低重心配置と金属製インシュレーターを新たに採用したものと思われる。

 それからもう1つ注目すべきは、HDMI出力の高音質化対策。本機は映像用、音声用とそれぞれ指定された2系統のHDMI出力を持つが、音声用HDMI出力に対して「ジッター・リダクション・サーキット」が新たに搭載されている。

 これはメインプロセッサ(MediaTekの『OP8591』)から出力されるビデオクロックを破棄し、高い安定性と低ジッター性能を兼ね備えたマスタークロックから再生成した音声用クロック信号(44.1kHz系と48kHz系個別に生成)に置換する専用回路である。

 今述べた3つの特長はUDP-205独自のもので、すべて弟機UDP-203には盛り込まれていないフィーチャーだ。

 映像信号処理回路そのものはUDP-203と大きく変わるところはないが、ソニーのプロジェクター「VPL-VW535」を用いて比較してみたところ、予想以上の画質差が確認できた。UHD BDの「ラ・ラ・ランド」では微小信号の再現やノイズの細かさなどでUDP-205の優位性が認められたのである。これは回路パターンや電源回路、筐体設計の違いが画質に反映されたと理解すべきだろう。

 ちなみにUDP-205の電源回路は、オーディオ用の大型トランスを用いたアナログ・リニア電源と映像・制御用スイッチング電源の2本立て。UDP-203はスイッチング電源のみである。

 映画BD「鑑定士と顔のない依頼人」の4Kアップコンバート出力の画質を、高画質で定評のあるパナソニック「DMP-UB900」のそれと比較してみた(ディスプレイは東芝の有機ELテレビ『65X910』)。この比較はなかなか面白かった。ほぼ拮抗(きっこう)する画質といってよいが、レストランでの会食シーンを見ると、UB900のほうがワイングラスの輝やかしさや絵の切れ味で若干上回る印象で、厚みのある色彩表現や陰影の深みでUDP-205がいっそう好ましく感じられた。

 それから面白いアイデアだなと思ったのが、HDR対応を果たしていないSDR表示機器と接続してHDRコンテンツを再生した場合に、その表示機器の明るさの限界(ターゲット輝度)に合わせて画質を最適化できるHDR/SDR変換機能が搭載されていること。とくに1800lm(ルーメン)前後のあまり明るくないHDR非対応プロジェクターをお使いの方にはとても有用な機能だと思う。ゲイン1.0の100インチ相当のスクリーンに投写する場合、1800lm前後のHDR非対応プロジェクターだったら、200~300nits間で微調整するといいだろう。

 音質面でまず驚かされたのは、マルチchアナログオーディオ出力の音のよさだ。わが家にはマルチchアナログ入力を備えたオーラのプリアンプ「VARIE」(生産終了)があるので、それにつないでリンの6chパワーアンプでエラックの小型2Way機「330CE」を鳴らしてみたが、中低域から中域にかけて十分な厚みを実感させる情報量の豊かな音に驚いた。

 音に芯があり、声に好ましい肉が付き、その実体感の豊かさは途方もない。OPPOには同じES9038PROを採用した単体DACの「Sonica DAC」(これも現在大ヒット中)があるが、聴き比べるとその音の実体感の豊かさで本機UDP-205が上回る印象だ。Sonica DACは、もっとワイドレンジ感とか音の透明感をアピールする方向の音調。聴き応えのある音を好む筆者は、UDP-205に軍配を上げたい。

 とくに5.1ch収録の映画ソフトを見ると、ダイアローグの真に迫る表現や音楽のワイドな広がり感などが好印象で、このハイレベルな表現力をHDMI接続した現状のAVアンプで得るのはとても難しいのでは? と思う。ただし、残念なのはマルチch入力を備えたアナログ・プリアンプが現状でほとんど存在しないこと。どこかのメーカーで開発してくれないかなと本気で思う。AVアンプの音質面の限界を超えるには、UDP-205のマルチchアナログ出力を生かすのがもっとも近道だと思うのだが……。

 もっとも先述した「ジッター・リダクション・サーキット」が生きるHDMI出力の音質も十分にすばらしい。ヤマハ「CX-A5100」を用いてUDP-203とHDMI出力の音質比較をやってみたが、これも誰の耳にも分かるであろう明確な音質差が出た。本機UDP-205のHDMI出力のほうが、静寂の表現に優れており、聴感上のダイナミックレンジで大きく上回るのである。一対比較したわけではないが、HDMI出力の音のよさで定評のあったパナソニック「DMR-UBZ1」よりもいっそう本格的なエネルギーバランスを有していると実感した。

 また本機にはXLRバランスとRCAシングルエンド2系統の2chアナログ専用出力がある。マルチchアナログ出力同様、ハイスペックなES9038PROの潜在能力が生かせるアナログ出力である。この2系統の出力をわが家のメインシステムに組み込んでいる愛用プリアンプ、独オクターブの「ジュビリープリ」につなぎ、同じオクターブの管球式モノーラル・パアワーアンプで米JBLの「K2 S9900」を鳴らしてみた。

 CDやSACDの再生音は安定感のあるもので、わが家にある100万円超のSACD/CDプレーヤーのソニー「SCD-DR」(生産終了)と音質比較しても、落差をあまり感じさせない。音のきめ細かさや音場のスムーズな広がりでSCD-DR1の優位は認められるが、音像の実体感の豊かさや中低域の張り出しのよさではUDP-205はまったく負けていない。とくにわが家の再生環境では、XLRバランス出力の音が好印象だった。

●USB-DAC機能も素晴らしいデキ

 再生プレーヤー「foober2000」をインストールしたWindowsマシンと本機をUSB接続して聴くハイレゾファイル再生も実に楽しい。まずなんといっても、11.2MHzのDSDや384kHz/32bit PCMといった最高スペックのハイレゾファイルが、何の問題もなく再生できるところに本機のすごさを実感する。

 エレクトリックベースの革新者ジャコ・パストリアスが自らのラージアンサンブルを従えた1982年ニューヨークでのライブ「Truth,Liberty&Soul」の11.2MHz DSDファイルを聴いてみたが、ハイスペックDSDファイルならではの輪郭補正を感じさせないナチュラルでスムーズなサウンドに聞きほれてしまったのだった。

 最先端のオーディオ&AV体験がこれ1台で可能なスーパーマシン「UDP-205」の可能性の豊かさに改めて驚かされた今回の取材だったが、それにつけても日本のAV専業メーカーはいったい何をやっているんだろうと思う。こんな全方位スキなし製品こそ日本メーカーがもっとも得意とする分野だったのに、米国の新興勢力にこうも簡単にやられてしまうなんて。

 ソニーからやっとUHD BDプレーヤー「UBP-X800」が登場してきたけれど、アナログ音声出力すら装備していない4万円台の製品。確かにこの値段にしてはよくできていたけれど、誰もソニーにこんな安価なモデルをつくってほしいなんて考えていないと思うけどな。パイオニア、デノンあたりもぜひ奮起して、AVファンを驚かせるUHD BD対応のユニバーサルプレーヤーを企画してほしいと思います。

最終更新:7/25(火) 16:27
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