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投資家から見たトランプ大統領就任半年間の実績は?

7/25(火) 10:25配信

投信1

皆さま こんにちは。アセットマネジメントOneで調査グループ長を務めます柏原延行です。

トランプ大統領の就任から7月20日で半年がたちました。そこで、(トランプ大統領の公約の正確な内容については議論があるものの)投資家の立場に立ち経済的な側面を中心とした政策の進捗について、整理したいと考えます。

私は経済的な政策に関しては、(1)米医療保険制度改革法(いわゆるオバマケア)の廃止、(2)税制改革(減税)が重要であると考えています。共和党の基本的な政策は「小さな政府」であり、共和党は政府部門の肥大化や財政赤字を嫌う傾向があると思われます。このため、「オバマケアの廃止によって得た財源を利用して、減税やインフラ投資を行う」ことで、政府の財政が悪化しない(いわゆる財政中立型の)政策の実現を目指してきたものと思われます。

つまり、(トランプ大統領はいざしらず)共和党においては、(1)オバマケアの廃止は、(2)減税の前提となっているものと思われます。

しかしながら、各種報道は、共和党上院は17日にオバマケアの代替法案(アメリカ健康保険法案)の採決を断念したと伝えています。これは、上院の議席(100議席)中、共和党は52人と過半数を握るものの、共和党の4人の上院議員が同法案に反対を表明し、採決しても不成立となる公算が高くなったことによるものです。

上記以外にも、「連邦債務の上限引き上げ」や「予算」など時限的な制約が一定程度はあると思われる事項を議会は審議する必要があり、株式市場が(かつて)期待していた「減税関連の法案」が年内に成立する可能性は低くなっています。

これに対してトランプ大統領は、「Republican should just REPEAL failing Obama Care now & work on a new Healthcare Plan that will start from clean state. Dems will join in!  (筆者による仮訳:共和党は失敗しているオバマケアを今まず廃止し、新たなヘルスケア計画を白紙から始めるべきだ。民主党も加わるだろう)」とツイートしました。引き続き、トランプ大統領の強気な姿勢が感じられるコメントであるように思います。

トランプ大統領は事態をコントロールできているのでしょうか? 

皆さまがよくご承知の通り、米国人の雇用や治安への懸念から、トランプ氏は選挙期間中において、メキシコへの批判を繰り返していました。具体的には、「(メキシコで操業されている自動車工場を米国に回帰させることなどのため)米国がカナダ・メキシコと結んでいる貿易協定(北米自由貿易協定)を見直すこと」や「不法入国者防止のため、メキシコとの国境における壁の建設」を目指していたものと思われます。当然のことながら、上記の政策が実施されるとメキシコは不利益を被るわけですから、トランプ氏の当選後、メキシコペソは大きく価値を下げました。

その後のメキシコペソの推移をみると、2017年初頭から大きく値を戻し、足元では当選前と比較しても、メキシコペソ高・米ドル安となっています(図表1)。メキシコペソはトランプ大統領の政策実行力を測る指標との側面もあると私は考えており、これを見る限り、トランプ政権の政策実績や今後の実行力は現時点で否定的に評価されていると考えざるを得ません。

しかし、一方で、NYダウ工業株30種平均は、高値圏の21,500ドルを超える水準で踏みとどまっており、「減税法案が年内に成立する可能性が低下したこと」に反応していません。

就任から半年がたち、「トランプ大統領の通知表」のような記事が散見されることが予想される中で、政策実行力に対する否定的な論調が多くなると考えていますが、これは株価の下落要因とはならず、むしろ、トランプ大統領の強気のツイートのように、仮になんらかの進展があった場合には、株式市場にはサプライズを与え、大きく市場が反応する可能性があることにも留意が必要であると思われます。

(2017年7月21日 9:00執筆)

【当資料で使用している指数についての留意事項】
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本記事は、アセットマネジメントOne株式会社が情報提供を目的として作成したものであり、投資家に対する投資勧誘を目的とするものではありません。また、アセットマネジメントOne株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しておりますが、その内容の完全性、正確性について、同社が保証するものではありません。掲載データは過去の実績であり、将来の運用成果を保証するものではありません。本記事における内容は作成時点のものであり、今後予告なく変更される場合があります。

柏原 延行

最終更新:7/25(火) 10:25
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