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《高校野球群馬大会・白球の詩》チーム離脱から復帰支えた仲間に感謝 前橋東・三森郁内野手

7/25(火) 6:04配信

上毛新聞

 この仲間でなかったら、きっと今この場にはいない。春4強、夏8強と歴史を塗り替えてきた前橋東の強みはチームワーク。退部を思いとどまらせてくれた周囲の支えが、何よりもそれを物語ると思っている。

◎野球をやる意味 思い悩み

 昨年12月ごろ、グラウンドに足が向かなくなった。定位置をつかんでいたわけではなく、試合に出られず結果も残せない状況が悔しかった。「野球をやっている意味が分からなくなった。楽しいと思えなかった」

 部員の間に動揺が広がった。幼なじみの主将、市川斗麻は「あいつはマイナスな方へ考えてしまうと分かっていた。自分がもっとコミュニケーションを取っておけば」と振り返る。「チーム一、自分に厳しい」と小暮直哉監督が評する、生真面目さが裏目に出た。

 もともと深く考えがちな性格。相談に乗っていた小暮監督は「部に出られなくなって、みんなが自分をどう思っているんだろうとか、いろいろ悩んでしまった」とみる。

 市川や仲のいい町田拓海をはじめ、誰もが「いつでも待っているぞ」と、ことあるごとに声を掛けてくれた。自分は必要とされていると思えるようになった。ひと月ほどして、練習の見学から始め、再び輪に交じっていった。以前と変わらず接してくれるのがうれしかった。

 遅れを取り戻そうと、スイングをビデオに撮って見直したり、人に聞いたりしてフォームを固めた。徐々に打撃が評価され、春の大会はスタメンを勝ち取った。チームは創部初の4強入り。母の真喜子さん(48)は「(4強は)思いも寄らなかった。何より仲間と野球を続けている姿がうれしい」とほほ笑む。

 学校帰りに市川と2人で自転車をこぎながら、「本当に東の部員は優しいやつらでいいよな」と言葉を交わしたことがある。曲折を乗り越えたからこそ、絆が強まった。互いのミスを補いながら最後まで食らい付く、一丸の意識が快進撃の原動力だった。

 そして夏。樹徳と戦った4回戦、六回2死一、二塁で2点適時二塁打を放った。前の打席は凡退したが、絶対に仲間をかえす気持ちで強気に振った。チームは4―3で勝ち、初の8強入り。小暮監督は「最後まで我慢すれば何とかなるんだ。(三森が)人としてたくましくなってうれしい」。何度も相談に乗ってきた指揮官だからこそ、誰よりも活躍を喜んだ。

 迎えた準々決勝。回ってきた2打席は四死球で勝負できなかったが、途中から移った中堅の守備でダイビングキャッチを見せるなど、精いっぱいチームに貢献した。

 負けたけれど、後悔はしていない。「夏にここまで勝ち進めたことが夢みたいです。みんながいたからチームに戻ってこられた」。今は胸を張って言える。(中里圭秀)

最終更新:7/25(火) 6:04
上毛新聞