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日本の歴史上ただ一度の議会廃止が平成で再び起きようとしている。議会って廃止できるの?

7/25(火) 7:00配信

選挙ドットコム

日本の歴史上ただ一度の議会廃止が平成で再び起きようとしている。議会って廃止できるの?

人口が約400人程度と離島以外では人口が最も少ない自治体である高知県の大川村では村議会を廃止し、町村総会の設置を検討しているということが話題になっています。今回は町村総会とはどのようなものなのかということや、過去に町村総会が設置された例を紹介し、大川村で町村総会の設置が可能であるかを検討しようと思います。

町村総会とは何か?

区市町村などには通常、議会が設置されています。これは日本国憲法第93条で「法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する」と規定されており、その法律である地方自治法の第89条で「普通地方公共団体に議会を置く」と規定されているからです(東京都の区に関しては第283条で規定されています)。

このように区市町村に議会が存在するのは当然であり、議会がない状態は考えられないと思われます。しかし、地方自治法第94条には「町村は、条例で、第八十九条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる」という条文があります。町村総会とは、この第94条で規定されたもので、選挙権を有する全ての人によって構成された総会を議会の代わりにすることができるというものです。

この地方自治法で規定された町村総会は現在まで1例だけ導入された記録があります。これは東京都の宇津木村で、1951年から村が合併によって消滅する1955年までの4年間設置されていました(なお、地方自治法の前身である町村制においても町村総会の規定があり、神奈川県の足之湯村で導入された事例があります)。

宇津木村の事例

宇津木村は八丈島の西にある八丈小島という約3平方キロメートル程度の小さな島のさらにその南東部分にあった村でした。この村には明治時代には人口が200人程度いたものの、生活環境の厳しさなどから次々と住民が島外に転出し、1951年の新聞によると、戸数が12戸、人口が60人(内、有権者は30人)まで減少してしまいました。

村議会の定数は4人でしたが、村人口の減少に歯止めがかからず、議員の適任者がいなくなりつつあったため、1951年に予定されていた村議会の改選を前に町村総会の設置を検討し始めました。そして、1950年12月に町村総会の設置を規定する条例を可決し、1951年4月1日から町村総会を実施することになったのです。

また、八丈島の自治体では、地方自治法で規定された町村総会とは別に村の重要事項を議論するための特に法律によらない村民総会が開催されていた記録が残っています。このような事例から、八丈島周辺では総会を行うことのハードルが比較的低かった可能性があり、町村総会の導入が比較的容易に行えたのではないかと考えられます。

宇津木村の町村総会に関しては離島であったことも相まって、どのように運営されたかを含めて記録がほとんどありません。数少ない記録の1つとして、金銭トラブルで村民への米の配給が止まったため、総会が開催されたということが当時の新聞で報じられています。

その後、余りも人口が少ない宇津木村は八丈島の他自治体との合併が検討されましたが、新自治体の議会に代表を送れないのではないか、当選しても議会に出るのが困難であるとの理由で反対していました。しかし、ついに1955年に八丈島の自治体と合併し、八丈町の一部となったため、地方自治法で規定された町村総会は終わりを告げました。なお、八丈小島は生活が非常に困難であるということから、1969年に全島民が島外に移住し、現在は無人島になっています。

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最終更新:7/25(火) 7:00
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