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メルセデスF1、2戦連続で“急遽“ギヤボックス交換を決行。関係者が明かすその舞台裏から見えたもの

7/25(火) 12:42配信

motorsport.com 日本版

 F1においてひとつの信頼性に関するトラブルが発生した時、その原因が時に不運によるものである場合もあるが、チーム内で同じコンポーネントを使用し、ほぼ同時に2台がトラブルを抱えた時は、大抵の場合チームが根本的なミスを犯していることの方が多い。

写真:イギリスGPではハミルトンがポール・トゥ・ウィン。ボッタスは9番グリッドから2位に入賞した

 オーストリアGPでルイス・ハミルトンがギヤボックス交換を行ったその1週間後、イギリスGPの予選前にバルテリ・ボッタスもギヤボックス交換を決行。そこでいわゆるメルセデスの“落ち目“が初めて浮き彫りになった。

 当初ハミルトンのギヤボックス交換の原因は、バクー戦でセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に体当たりされたことによってギヤボックスの破損が引き起こされたのではないかと言われていた。その一方のボッタスは、金曜日の2セッションでトップタイムを記録していたのにも関わらず、急遽ギヤボックス交換を行った。

 ギヤボックスを6レース連続で使用し続けなければいけないという競技規則を破ったことで、グリッド降格ペナルティを被ったハミルトンとボッタス。前述したような”憶測”もあったとはいえ、メルセデスがギヤボックスを立て続けに交換したという事実は、コンポーネント自体に重大な欠陥があったのではないかとの疑いを投げかけるには十分なものだった。

 しかし、当時のメルセデスの態度は毅然としていた。表面上は劇的に見えただけであって、彼らは簡単に状況を立て直すことができることを理解していたのだ。

行き過ぎた積極性

 簡単に言ってしまえば、メルセデスはシームレスシフトのタイミングを、非常にアグレッシブに設定していたという。それがギヤボックス内部の破損につながったと彼らは説明した。

 メルセデスのテクニカルディレクターであるジェームズ・アリソンは、マシンのパフォーマンスを最大限に出力することにチームが全力を尽くした結果、シフトタイムを1000分の数秒単位で削るということに行き着いたという。

「かつてのギヤは、自分で入れるものだった。ギヤを抜いたら、別のギヤを入れなければならない。その間は駆動を失っていた」

「しかし、現在はシフトがシームレス化されたことで、ギヤは瞬時に次のギヤへとシフトできるようになった。これにより駆動のロスを最小限にすることができた」

「低速ギヤから高速ギヤにシフトアップしようとする時、ローギヤは高速で回転している。これを変速する場合には、次のギヤと噛み合わせるために回転速度を減速しなければならない」

「シフトがシームレス化されても、シフトアップする時は回転速度を減速させなければいけないという原則は依然としてある」

「様々なやり方があると思うが、例えばエンジントルクを減少させることで、ギヤの負担を軽減するという対策がある。そういったアイデアを実際に全開走行で試すことができないのが難しいのだ。エンジントルクを減少させる方法を、F1における常識だと思っていないエンジニアはいないと私は思う。問題はそれをどれくらい大胆にやるのかということだ」

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