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[寄稿]軍艦島の真実攻防と韓国政府がすべきこと

7/25(火) 11:54配信

ハンギョレ新聞

 誠信女子大学のソ・ギョンドク教授が米ニューヨークのタイムズスクエア広場で「軍艦島の真実」という映像を広報し注目を集めた。ユネスコ世界遺産委員会が、ユネスコ産業遺産に登載された日本の近代産業施設のうち韓国人などの強制動員関連施設に「歴史の全貌」を明らかにするよう日本政府に勧告した事項を履行するよう促すための映像だ。

 ところが、この映像にはいくつかの不正確な事実が含まれている。映像では、日本の長崎港近くの島である軍艦島(端島)に強制動員されて亡くなった韓国人が120人となっている。しかし、1984年に日本の市民団体が探し出した資料によれば、1925年から1945年まで端島(軍艦島)で死んだ韓国人は123人だ。ここには強制動員当事者ではない女と子どもたちも含まれている。強制動員時期の1939年から1945年まで、厳密に言えば強制動員犠牲者は50人あまりとするのが正しい。

 映像に使われた写真も事実とは多少乖離がある。横たわって石炭を掘る場面は、福岡の炭鉱で仕事をした日本人鉱夫の姿だ。暴行されて背中に傷を負っている姿の写真は、1920年代の土木労働者を撮ったものだ。2つの写真は共に暴力と虐待、劣悪な労働条件に日常的にさらされた労働者の姿をよく捉えている。だが、韓国人強制動員被害者の写真ではない。常識的に考えてみれば、日帝によって強制動員された韓国人労働者が受けた差別と虐待、苛酷な労働条件などの実態を直接見せる写真はない筈だ。統制された空間で、そのような写真自体ありえなかっただろう。ただし、1920~30年代に日本メディアの告発で確認されたこのような写真を通じて、強制動員された韓国人被害者の暮らしを類推してみることはでき、多くの証言がこれを裏付けていることは明らかだ。

 さらに一つだけ指摘しておこう。軍艦島とともに登載された高島炭鉱には韓国人4万人が強制動員されたという統計が報道されている。これは単純ミスによるものだ。韓国外交部が強制動員支援委員会に関連情報を要請した時、委員会の職員が4千人を4万人と誤って報告した。

 一部の人々は言う。それがそんなに重要なことかと、数字や写真説明が多少違っていたとしても、強制動員の本質がなくなるわけではないと。もちろんその通りだ。しかし、日本の右翼は誤りやミスを攻撃し、ホロコースト否定論者らのように軍艦島の強制動員自体を否定しようとする。あるいは被害者の主張の欠陥を指摘し、韓国の主張が過剰な民族感情に基づく歪曲・ねつ造であるというイメージを作っている。国内は別としても国際社会ではこれがそれなりの効果を発揮しているから問題だ。

 軍艦島をめぐって、国際社会に向けて日本の政府と右翼は日帝の強制動員が強制労働ではなく、軍艦島で韓国人は差別を受けることなく日本人と仲良くしていたとし、韓国がでたらめな資料を作って歴史を歪曲・ねつ造しているという3点の世論戦を繰り広げるだろう。

 強制動員被害統計をめぐって起きている真実論争で、見逃してはならないことがある。それは、加害者である日本の政府や企業が自ら真実を明らかにしたことはただの一度もないという事実だ。今までの真相究明の大部分は、被害者と韓国・日本の市民団体が数十年間戦って勝ち取ったものだ。ここには韓国政府の責任も大きい。特に李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政府は最悪だった。被害者遺族と市民団体が直接日本の政府と議会を相手に遺骨の調査と返還問題を協議し解決の糸口を開いたが、政府は何もしなかった。ゆうちょ銀行に1945年以前に日本国内で仕事をした韓国人の郵便貯金通帳があるという事実を知りながらも、韓国政府は見て見ぬふりした。国際法によれば、植民支配から抜け出した国家が支配国家から関連文書を引き継がれることは当然の権利だ。植民主義克服のために新政府がしなければならない多くの課題の一つだ。映画『軍艦島』が封切りされた。蒸し暑い夏が一層暑くなりそうだ。

キム・ミンチョル民族問題研究所責任研究員、慶煕大学フマニタスカレッジ客員教授

最終更新:7/25(火) 11:54
ハンギョレ新聞