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[Q&A]辺野古工事差し止め訴訟って何? 国と沖縄県の裁判、今回は知事の許可が必要かどうかを争うことに

7/25(火) 5:20配信

沖縄タイムス

 -沖縄県が差し止め訴訟を始めるって聞いたけど、どういうこと? 

 「沖縄防衛局が名護市辺野古の海を埋めて、新しい基地を造る計画があるよね。埋め立てる作業では、サンゴ礁など海の底を傷つけるから、魚の住めない環境になる可能性が高い。漁業に影響が出るので、好き勝手に海の底を傷つけないよう、知事の『岩礁破砕等許可』を得なければならないんだ」

 「防衛局はもともと2014年8月から今年3月までの許可を得ていたけど、期限が切れた後も、新たな許可を得ずに、そのまま工事を続けている。県は許可を得なさいと言ったけど、防衛局は従わなかった。県は『許可を得る必要がありますよね』と裁判所に確認するため、訴訟を起こすんだ。県議会は14日、訴訟で県側の弁護士に支払う費用などを認めた。県は18日以降に裁判所に提訴するよ」

 -防衛局はなぜ許可を得ないの? 

 「埋め立てる海域には、名護漁協が魚や貝を捕る権利、いわゆる『漁業権』を持っていたけど、今年1月までに放棄した。そのために防衛局は補償金を払った。防衛局は『漁業権のない海域で、知事の許可は必要ない』と主張している。水産庁も同じ考え方なの」

 -じゃあ、県が間違っているの? 

 「県は、名護漁協は持っている漁業権のうち一部を放棄しただけなので、『漁場の変更』に当たると主張している。変更は知事が認めないと成立しないと法律に書いているので、今の状態では埋め立て海域の漁業権は残っている。漁業権のある海域なので知事の許可が必要と主張している」

 「水産庁の考え方も、これまでと変わっている。県は水産庁に2回、今と過去の考え方のどちらが正しいか、と質問したけど、納得のいく答えが返ってこなかったので、裁判所に判断してもらうことになった」

 -県が勝てば、工事は止まるの? 

 「県が勝訴するまでにはいくつものポイントがある。過去の裁判で、県のような行政機関が『法や規則に書いていることには従ってくださいね』と確認することは、裁判所での争いにふさわしくないという判決が出ているんだ。今回がそれに当てはまれば、本格的な議論が始まる前に、門前払いされる可能性がある」

 「本格的な議論が始まっても、防衛局や水産庁の主張より、県の主張の方が正しいと証明し、裁判所に認めてもらわなければならない。最終的に県が勝てば、防衛局は岩礁破砕等許可を得るために新たに申請しなければならない。県の許可が出るまでは工事が止まることになりそう」

 -仮処分も申し立てるというけど。

 「県の主張が正しくても裁判で判決が出るまでは工事が進むので、判決が出るまでの間の工事を止めてほしいとお願いすることだよ。裁判所が認めれば、工事は止まる。でも、やはりハードルは高いね」

 -県と国が争う裁判なんてあまり聞いたことがないよ。

 「翁長雄志知事は辺野古の新基地建設に反対しているよね。15年から16年までの裁判は、辺野古の海を埋め立ててもいいよという『埋め立て承認』を翁長知事が15年10月に取り消したことが正しいか、どうかを争っていた。今回は、防衛局が知事の許可を得る必要があるか、どうかを争うことになる」

 「那覇市の那覇空港第2滑走路建設では、沖縄総合事務局が知事の許可を得て埋め立て工事を進めているのに、辺野古でもめているのは対照的だよね。新基地建設には多くの県民が反対していて、知事も『あらゆる手段で阻止する』と決めているから、なかなかうまくいかないんだ。名護漁協に漁業権を放棄させたのも、防衛局が知事の許可を得ずに済む、つまり『知事の権限を取り上げよう』と考えたと言われている。あちらこちらで争いの火種がくすぶっているよ」

(政経部・福元大輔)

最終更新:7/25(火) 5:20
沖縄タイムス