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高橋優 「奇跡を起こせる瞬間は、いつでも誰にもある」 両A面『虹/シンプル』を発表/インタビュー1

7/26(水) 17:15配信

エキサイトミュージック

 
■高橋優/両A面シングル『虹/シンプル』インタビュー(1/3)

高橋優が両A面シングル『虹/シンプル』を7月26日に発表する。「虹」は今年の2017ABC夏の高校野球応援ソング / 「熱闘甲子園」テーマソングで、もう1曲の「シンプル」はすでに花王ビオレ「スキンケア洗顔料」「うるおいジェリー」のCMソングとして、発売前からテレビでも流れている。「虹」を作るにあたって、球場を訪れながらテーマを探すウェブ動画「曲作りの旅」を観たファンも多いはず。野球はそれほど詳しいかったわけではないが、甲子園を目指して野球に打ち込む高校球児達を観て、様々な視点と思いが働いたようだ。また9月2、3日には地元秋田で開催する『秋田CARAVAN MUSIC FES 2017』に向けて、いろいろと企画も進行中らしい。2017年、高橋優の夏は熱い。
(取材・文/長谷川幸信)

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今日から何か始めて、来年その努力が報われて、それまで観たことのないような景色を自分自身で作れるかもしれない

――昨年から始まった長期のツアーが、今年4月に無事に終わりましたね。一段落したときの心境は、ホッと一息でした? それともすでに新たな意欲が?

高橋:今年に関して言うと、意欲が湧いてないわけじゃないんですけど、スケジュールがミルフィーユのようになっていて(笑)。ツアーは楽しかったし、経験値としてもプラスになったけど、ライブ以外にやらなければいけないことが昨年からずーっと続いている感じで、ツアーが終わったから安心という感じは全然なかったですよ。今回の『虹/シンプル』に関しても、部屋にこもって曲を書くのが僕の今までのやり方だったのが、曲を書いている最中もずっとカメラで撮影されていたんです。

――初体験の連続なんですか。

高橋:はい。僕自身、野球が詳しくはなかったですし。プロ野球でどこのチームを応援するとかも今までなかったんですよね。それで実際に野球に触れてほしいということだったんです。生で観たり、できる範囲で携わっている人にインタビューを試みたりして、僕の中から湧いてくるものを曲にしてほしいって。その熱意が最初からけっこうあって。うちのスタッフ・チームも、野球が大好きなんですよ。周りからの情熱もすごかった。でも、その「曲作りの旅」が始まった当初、曲ができる自信は全然なかったです。この環境で作るっていうのが。

――実際に高校野球を間近で観戦したとき、どんな思いが?

高橋:野球は9人でプレイするでしょ? 9人には9通りの物語があるのがまずおもしろいなって思いましたね。僕は野球を経験したことないにせよ、なんとなく、やる気のあるヤツとないヤツは見ていてわかるなって。試合前のウォーミングアップでも、甲子園は確実だろうって言われているチームは、何か背負っているものもあるのか、キレが違うんですよ。そうじゃないチームはちょっと緩いというか(笑)。そんなチームの中にも、俺はのし上がってやりたいんだってヤツは、一人だけキレキレだったりとか。みんながみんな、青春まっしぐらみたいなノリが苦手な選手だっているでしょ、みたいな。実はそういう視点から僕は入っていったんですよ。ちょっとドライな目線から入っていっても、感動できる瞬間とか、魅力に感じる部分が高校野球にはあるんだろうなって。応援している人の中にも、わざわざ球場まで足を運んで、ちょっとブツクサ文句をたれて帰っていく、あのオジサンはどういうことなんだろうとか。実は元球児だったのかなとか。選手の背景だけじゃなくて、観戦して

――野球観戦も回を重ねると、また気持ちの変化も起こるものでした?

高橋:最終的には「虹」という曲のコンセプトに到着しましたよね。ドライな目線で見ると、別に高校野球で負けたからといって人生が終了するわけでもないじゃないですか。その先に楽しい人生も待っているかもしれないのに、グラウンドで汗水流し、泥まみれでやって、涙を噛み締めてね。何がそんなにさせるんだろうと考えたとき、自分の人生の中で奇跡みたいなものを、自分自身で起こせる瞬間なのかなと思ったんですよ。人生の中で奇跡を体験できるかもしれないって。

――17~18歳でヒーローになれる瞬間だったりしますよね。

高橋:そうそう。自分自身がヒーローになれたり、カッコいいものになれるかもしれない、野球で。そういう感じを受け取ったんですけど、一方で、甲子園で勝てなかったら高校球児達は一生、ヒーローになれないんですか、という疑問が僕の中にあって。甲子園を観ている人達も、あの頃は良かったとか、自分の栄光時代は10代でしたと言って、20代以降は全て捨てているとしたら、それを甲子園のせいにしてねえか、みたいな。30になろうが40になろうが、明日、ミラクルが自分で起こせるかもしれないし。今日から何か始めて、来年その努力が報われて、それまで観たことのないような景色を自分自身で作れるかもしれない。そんなのはもうよくねぇっすかって逃げているというか、そういうのは苦手ですって一言で片付けて、冷めたふりしているというか。もし冷めたふりが正しいんなら、甲子園は誰も観ないと思うんです。人生でミラクルを起こす瞬間があそこにあるから、甲子園を観たいと思うんですよ。だから観戦している人達の曲にもしたいなと思ったんです。
いる人達の背景を見ているのもおもしろかった。

――夢を追いかけて頑張ることは、いろんな人にも置き換えられますもんね。

高橋:そっちの曲にしたかったです。勝った負けたを重要視しすぎて、負けたから全部おしまいってことじゃなくて、自分が負けたと思わなきゃ続いてるはずっていうか。今日という日が、甲子園に出ていたあのころよりも燃えてますとか、何かやってやりたいと思ってるんですよねってワクワクしているヤツのほうが、一緒にいる人達もおもしろいと思うし。そういう人達同士が集まれば、甲子園に負けず劣らずの情熱をどんな瞬間でも出せると思うんですね。ところが、いかんせん人は冷めやすい。汗とか涙とか苦手っすとか、適当に酒とか呑んで、あのころは良かったとかしゃべってりゃいいとか。でも、そういうふうにはしたくない。どっかで今を大事にできる曲というか。それを押し付けるんじゃなくて、疲れたけど、もうちょっと頑張ってみようかなって瞬間はあるよなって。それを歌の中に入れられたらなと思いました。この曲を書くときに「ラスト・ミーティング」という動画を一番観たんですよ。甲子園に出られなかった選手達が、「オマエらと過ごせた夏は良かった」みたいなことを先生から最後に言われるんですよ。メッチャ泣ける。あそこで曲がかかるのを、ちょっとイメージしてました。優勝するのは1校だけですもんね。優勝するのは素晴らしいことだけど、僕は金メダルを獲る人よりも、それ以外の人をやっぱり……。

――悔し涙を流した人に曲が届いて、その人の内側からまた新しいエネルギーが湧き上がるという。

高橋:そう。さあ、そこからどうする? みたいな。そこを曲にできたらいいなと思っていたので。あと、いつか20年とか時間が経って、何かの巡り合わせで僕と一緒にメシとかカラオケへ行って、「俺の青春ソングなんですよ」とか言って、今年の高校球児の誰かが歌っているところに出会えたらいいなって(笑)。こういうタイアップの曲は、誰かにとっての思い出の曲になったりもする可能性もあるじゃないですか。その人といつか出会えたらいいなと思っているんです。