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<イラク>バグダッド~死者と生者、広がる溝 日常化した戦乱の中で(上)フセインの像は消え 写真3枚【綿井健陽】

7/26(水) 6:20配信

アジアプレス・ネットワーク

◆フセイン時代には戻りたくないが、治安だけは当時の方がまし

イラクの首都バグダッドの街中から、サダム・フセイン元大統領の「象徴」が完全に消えた。
米軍がバグダッドを制圧した2003年に引き倒されたフセイン像は、これまでずっと台座だけは、残っていたが、2016年暮れに完全撤去された。像があった広場は更地となり、今年中に新しい「広場」に生まれ変わるという。(綿井健陽・アジアプレス)

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もはや誰も見向きもしなくなって久しいあの像があった広場だが、近くで警戒にあたるイラク治安部隊の男性(30)は嘆いた。
「フセイン時代の政治体制には戻りたくないが、治安だけは当時の方がはるかにましだった。これほどまでに毎日のように、戦闘や爆弾で人が死ぬ時代が来るとは…。広場が新しくなっても、処刑されたフセインの呪いは残るだろう」

イラク軍は昨年10月、過激派組織「イスラム国」(IS)支配下にある北部の都市モスル奪還を目指し、大規模な軍事作戦を始めた。

作戦の前線で死亡するイラク軍兵士は、若く貧しい男たちが多い。バグダッド市内の通りには、ISとの戦闘や爆弾攻撃で亡くなった若い兵士たちの遺影を掲げた立て看板が増え続けている。(つづく)
≪2017年2月、共同通信から全国の加盟紙に配信した記事からの転載≫