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「しかたない」を乗り越える。誰もが生きることを脅かされないために

7/26(水) 6:02配信

BuzzFeed Japan

相模原事件から1年。「障害者は不幸しか作れない」と名指しされた一人として、今伝えたい言葉。【寄稿・岩崎航 / BuzzFeed Japan】

私は全身の筋肉が正常に作られず体が動かせなくなる難病「筋ジストロフィー」を抱えながら生きています。人工呼吸器を使って呼吸し、食事は胃に開けた口(胃瘻)から栄養を入れて、24時間、生活動作の全てに介助を得ながら暮らしています。2013年に第一詩集を刊行してからは、詩やエッセイの著述を仕事にしています。

昨年の7月26日、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」に入所する重度障害者19人が元職員の男に殺害され、入所者と職員の27人が負傷しました。1人1人、精一杯に生きていただけなのに、彼の暴力によって命と人生を奪われた理不尽を思うと怒りがこみ上げます。

事件から1年になるにあたってあらためて、被害に遭われた方々の心の回復と、亡くなられた方々のご冥福を祈りたいと思います。

今年7月、時事通信の報道 では、彼が取材に応じて書いた手紙に重度・重複障害者を「人の幸せを奪い、不幸をばらまく存在」と犯行時と変わらぬ自説を繰り返し、今の拘置所での生活については、「息の詰まる生活に嫌気がさす」「時折外の生活を恋しく思う」と言及していると伝えられています。

“息の詰まる生活が嫌になり、外の生活が恋しくてたまらなくなる”

閉ざされた空間、生活を否応なしに制限され、限られた特定の人としか関わりを持ちにくい状況で生きることがどれほど辛いか。

自ら招いた結果として拘留されている彼と、望んでなったわけではない障害者の不自由さを同列に扱うことはできませんが、今、彼が感じている生活の自由を失っている苦しみは、重度の障害を持つ人も社会のバリアに日常的に突き当たりながら、感じているのです。

障害の程度で人の幸不幸を決めつけ、生きてよい命、いないほうがよい命と選別していく発想を彼だけが抱いているのではないのは、事件後、彼に対して一定の共感を示す人がいたことでも分かります。

またそこまでではないにしろ、日常生活の様々な局面で障害を理由に制限された暮らしを強いられている状況を「しかたない」と容認してしまう考えが、多くの人に無関心という形で現れているのを残念に思います。

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最終更新:7/26(水) 6:02
BuzzFeed Japan