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フリーゲージ「困難」JR九州、見直し求める 新幹線長崎ルート

7/26(水) 10:26配信

佐賀新聞

 JR九州の青柳俊彦社長は25日、与党のプロジェクトチーム検討委員会に出席し、フリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の九州新幹線長崎ルートへの導入について「現時点では困難」と述べた。安全性と経済性の両面から課題があるとし、計画の見直しを求めた。JR九州が事実上の導入断念を表明したのは初めて。導入を目指す国の計画変更は必至の事態となり、今後、佐賀県に膨大な追加負担が生じる全線フル規格への変更も視野に入れた議論が始まる。

 長崎ルートは昨年3月の6者合意で、2022年度に在来線特急と新幹線を乗り継ぐ「リレー方式」で暫定開業することが決まっている。青柳社長はこの合意を引き合いに「FGT量産車導入までの一次的なものとして同意した」と述べ、リレー方式の長期化、固定化を「新幹線インフラの整備効果が極めて限定的になり、経営上大きな問題となる」とけん制した。

 「乗り換えなしで山陽新幹線に直通してこそ整備効果が最大限に発揮される」と強調し、記者団に対しては「フル規格による整備が一番経験もあるし、自信を持って応えられる方式だ」と語るなど全線フル規格化への思いを強くにじませた。一方、フル規格に変更する場合、財源問題を抜きにしても、「(着工から)10年以内」との建設期間の見通しも示した。

 14日に開かれた専門家による技術評価委員会で、FGTの車両に関するコストが一般的な新幹線の2倍前後かかるとされた点を踏まえ、青柳社長は全編成で年間約50億円増える試算結果を説明した。需要や経費など収支を細かく積み上げるまでもなく、車両コストだけで「明らかに(赤字に)ひっくり返る」と強調した。

安全、経済性に課題

 安全性でも、3月までの走行試験の結果、車軸に摩耗が見つかり、解決には「年単位」の時間を要するため、FGT導入は現時点で困難と結論付けた。「現時点」とした理由については「事業者としての意見であり、JR九州が方針を決定するのではない」と語り、今後、与党の検討委員会の場で、収支採算性が成り立つ長崎ルートの整備の在り方を再検討するよう促した。

 検討委の会合終了後、松山政司委員長は、28日に佐賀、長崎両県知事から意見を聞いた上で、「できるだけ早く対応を検討したい」と述べた。

■用語解説 フリーゲージトレイン

 線路上の特殊な装置を通過することで車輪の間隔を変え、レール幅が異なる新幹線と在来線の両方を走行できる車両。九州新幹線長崎ルートのほか、北陸新幹線の新大阪延伸開業までのつなぎとして採用する構想もあるが、JR西日本は6月、2023年春ごろに予定される金沢-敦賀(福井県)開業時の導入は困難との認識を示した。

最終更新:7/26(水) 10:26
佐賀新聞