ここから本文です

北海道発“民間ロケットビジネス“MOMOが目指す先は?

7/26(水) 21:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

ホリエモンこと堀江貴文氏が創業した国内の宇宙開発ベンチャー、インターステラ・テクノロジズ(IST)は7月29日、高度100km越えの観測ロケット「MOMO」を打ち上げる。MOMOは、「ホリエモンロケット」とも呼ばれ、これまでテストを繰り返してきた。科学実験機器などの貨物(ペイロード)を最大20kgまで搭載し、高度120km高度へ到達できるロケットを目指している。今回の打ち上げが成功すれば、約6分20秒の微小重力環境を実現し、サイエンス分野の実験や観測、機体面への広告掲載などのサービスを提供できるようになる。

【画像】初試験打ち上げに臨む「MOMO」のイメージ。微小重力環境での実験や高層大気の観測、企業プロモーションなどの用途を目指す。

ホリエモンロケットでにわかに注目を集めているのが、「民間ロケット」というビジネスだ。この世界はいま、どんなプレイヤーがいて、ISTはどこを目指しているのだろうか。

一筋縄ではない「超小型衛星」の打ち上げビジネス

ISTが狙っているビジネスは、宇宙開発の分野では、ナノサットやマイクロサット、ミニサットと呼ばれる、重量1~500kg程度の小型人工衛星の打ち上げだ。このサイズの人工衛星は、研究分野でも商業分野でも急増しており、打ち上げ需要が高まっている。ISTでは、2020年ごろまでにロケットをさらに発展させ、超小型衛星を打ち上げる衛星打ち上げロケット(ローンチ・ヴィークル)としての運用開始を目指している。

超小型衛星のビジネス上の難しさは、需要は多くとも「開発コストの安い小型衛星では打ち上げに多額の費用をかけられない」という点にある。そこで、これまでは大型ロケットに大型の人工衛星を搭載する際の余剰能力を利用して、「相乗り打ち上げ」形式で打ち上げ費用を抑える方法がとられてきた。

ただし、相乗り打ち上げでは主衛星と呼ばれる大型衛星の目的の軌道の近辺にしか小型衛星を投入できないという難点がある。地球を取り巻く衛星網を展開して、地球観測や通信といったサービスを展開する「衛星コンステレーション」ビジネスを狙うには、相乗り打ち上げだけではダメなのだ。そこで、小型衛星専用の低価格で打ち上げ自由度の高いロケットを開発し、需要に応えようというのが近年の民間ロケット業界の動きだ。ISTは、この分野を狙っている。

ただし、打ち上げ技術があればビジネスが成功する、というほどこの分野は簡単ではなさそうだ。世界には、ISTのライバルとなる民間ロケット企業が複数あるが、既にこのビジネスから撤退する企業も現れている。

例えば、NASAからの出資を受けた「ファイアフライ・スペースシステムズ社」は、2016年に財政上の問題から開発拠点などの資産を売却している。NASAからの出資は、後ほど紹介するアメリカのロケット・ラボ社、フランスのバージン・オービット社(いずれも現役)も同様に受けている。

また、宇宙開発において旧ソ連時代からの豊富な実績を持つウクライナが開発した「ツィクロン4」ロケットは、度重なる延期の末に、合弁会社を設立したブラジル政府が撤退し、打ち上げができなくなっている。

撤退に追い込まれることなくビジネスとして立ち上がるには、いち早く技術を確立し、衛星コンステレーションや打ち上げコーディネイターなどの顧客を捕まえることが必要になるだろう。米露との競争の中で長年打ち上げサービス企業として活動してきたフランスのアリアンスペース社の社内にある言葉は、この業界を象徴するキャッチコピーだ。

『ガタガタ言う前に打ち上げろ(Launches speak louder than words)』

1/2ページ

最終更新:7/27(木) 20:48
BUSINESS INSIDER JAPAN