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欅坂46、等身大で臨んだ初野外ライヴ【欅共和国 2017】を振り返る

7/26(水) 12:30配信

Billboard Japan

 2017年7月22日と23日の2日間にわたって山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストで開催された欅坂46の初野外ライヴ【欅共和国 2017】は、過去2度行われた大型ライヴのどちらとも趣の異なる、グループの新たな一面が垣間見える公演となった。というのも、クリスマスの有明ワンマンと1stアニバーサリーの代々木競技場ワンマンの2つは、「サイレントマジョリティー」と「不協和音」の世界観を全面に押し出したステージで、いわば世間が抱く“大人と社会に鋭い眼光を向ける少女たち”欅坂46のイメージ通りのライヴだった。強いメッセージ性が込められた過去シングルを総括し、新たに16の新曲をレパートリーに追加する1stアルバムのリリース直後というタイミングで、新曲をセットリストに(ほとんど)含ませず、作品のイメージにとらわれないリベラルなモードで臨んだのが今回の【欅共和国 2017】だ。

【欅共和国 2017】写真(全10枚)

 7月23日の2日目公演、潮紗理菜と佐々木美玲の影ナレから少し経ち、壮大なファンファーレに続いて騎兵隊を思わせる衣装を纏った欅坂46のメンバーが登場すると、青、白、赤のトリコロール・カラーで彩られたフラッグを使ったパフォーマンスへ。フランス国旗でお馴染みのこのトリコロール・カラーは、国の標語でもある「自由・平等・友愛」を象徴するものとして長くフランス国民に親しまれているが、【欅共和国】においてはこれが「謙虚・優しさ・絆」というライヴ前の円陣でも叫ばれるグループのモットーに置き換わるのだろうか。ナポレオン率いる騎兵隊の如き勇ましさを放ちながら、旗を力強く振り、高く掲げる彼女たちの姿が鮮烈な印象の幕開けとなった。

 メンバーがいったん袖にはけると「Overture」へ。トロピカル・ハウス以降のオーガニックなエレクトロ・サウンドをスタジアム・スケールで鳴らすお決まりのオープナーで、オーディエンスによるシンガロングと相乗する形で会場を高揚感で満たしていく。そして、その後の「サイレントマジョリティー」は、水柱が数十メートルの高さまで噴射するという、夏の野外ライヴらしい演出とともにパフォーマンス。水柱はメイン・ステージから花道を挟んで吹き上がり、平手友梨奈がメンバーの間を割って歩いてくるモーセの演出をより際立たせる形となる。続く「世界には愛しかない」では、“ザ・クール”の愛称でお馴染み、志田愛佳と渡邉理佐の2人が客席に容赦なく放水を仕掛けていく。曲の終盤では、志田の号令で一斉に発射されたカラフルなジェット風船が「僕らの上空に 虹がかかった」というフレーズと重なり、感動的な光景を生み出していた。そこから「二人セゾン」へと雪崩れ込むが、出し惜しみなくシングル表題曲3曲を披露するという頭の展開が、まさにこの日のお祭り感を物語っている。

 「突然ですが質問がありまーす!」と守屋茜。「私の一番嫌いな言葉を知っていますか? それは、は・い・ぼ・く。敗北です。この夏、他のどのイベントよりも欅坂のライヴを一番にしたいんです。そのために国民のみなさん、協力してくれますかー?」と、副キャプテン(兼、軍曹)っぷりもずいぶんと板についてきた様子だ。そんな守屋に志田愛佳、菅井友香、渡辺梨加、渡邉理佐の4人を加えた“青空とMARRY”による「青空が違う」、上村莉菜、長沢菜々香、土生瑞穂、渡辺梨加、渡邉理佐からなる“FIVE CARDS”の「僕たちの戦争」と、ユニット曲2連続では各所で他メンバーもステージに登場し、あるメンバーはホースで放水、あるメンバーは水鉄砲で水を掛け合い、あるメンバーは水風船を客席に投げつけながら、自由にステージを駆け巡る。思えばライヴでここまでやんちゃにはしゃぐ欅坂46を見るのは初めてで、野外の開放感がそうさせるのか、素に近い状態でステージに立つメンバーの姿が新鮮に映る。

 バイクの後部座席に立ち乗りして登場した平手の「渋谷からPARCOが消えた日」が終われば、けやき坂46の面々が登場、「ひらがなけやき」「僕たちは付き合っている」の2曲をパフォーマンス。続けて悲壮感漂うSEから再度登場した欅坂46による「大人は信じてくれない」へ。雷鳴の如く激しく明滅するライティングと併せて、この辺りからぽつぽつと若干の雨粒が降ってきたのも演出的だった。

 1stアニバーサリー・ライヴでも行われた、本格的なダンス・トラックから「語るなら未来を…」へと続く流れは今回もライヴのアクセントとしてばっちりで、後から合流する形で登場したけやき坂46からは齊藤京子が欅坂46のダンス・リーダー=鈴本美愉と白熱したダンス・バトルを繰り広げてみせた。からの「誰よりも高く跳べ!」ではけやき坂46の各メンバーもソロ・ダンスを披露して、スキルの上達っぷりをアピール。本編ラストは、菅井友香と守屋茜が少年少女の甘酸っぱい恋模様を演じる「手を繋いで帰ろうか」。辺りはすっかり暗くなっており、輝度を増した緑のサイリウムが客席を埋め尽くす光景が幻想的な締めくくりとなった。

 アンコール1曲目に披露されたのは「誰のことを一番 愛してる?」。48グループ・46グループの垣根を越えて次世代のエースが集まったユニット“坂道AKB”による楽曲で、猟奇的な愛を幾何学的なダンスで表現するEDMナンバーだ。この曲がライヴで披露されるのは初のことだが、もともとセンターは平手友梨奈が務めており、振付を担当したのが欅坂46のこれまでの楽曲も手掛けているTAKAHIROということもあってか、パフォーマンスの完成度は高い。今回の振付は、このライヴでの披露に向けて欅坂46ver.にアレンジされていたとのことだ。続く「不協和音」は、1stアニバーサリー・ライヴでも文句なしのクライマックスを作り上げてみせたが、平手友梨奈→長濱ねる→平手友梨奈の順で倍々ゲームのように荒々しくなっていく「僕は嫌だ!」の叫びは、開放的な野外でも、むしろ野外だからこその響きでオーディエンスの心を震わせたはずだ。

 欅坂46とけやき坂46の全員楽曲「W-KEYAKIZAKAの詩」が終わって再び巻き起こるアンコール。これに応えた欅坂46はもう1曲披露すると宣言。「ここにお越しいただいている皆さんのために特別にもう1曲披露させてください! 1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』から………“危なっかしい計画”!!」と平手友梨奈。サウンドもさることながら楽曲の世界観もパンキッシュな「危なっかしい計画」だが、「サイレントマジョリティー」や「不協和音」といった欅坂46のイメージを代表する楽曲とはまた違った視点で彼女たちの反骨精神を表しているこの新曲のサプライズ披露に、オーディエンスもタオルを振り回して応酬する。

 結局、この「危なっかしい計画」以外の新曲が披露されずに終わった【欅共和国 2017】は、それでも確かに欅坂46の新しい表現を感じ取らせるものだった。8月からスタートするアルバムの名を冠した【全国ツアー2017 真っ白なものは汚したくなる】に掛かる期待も膨らむ。

Text by Takuto Ueda


<セットリスト>
SE. Overture
01. サイレントマジョリティー
02. 世界には愛しかない
03. 二人セゾン
04. 青空が違う
05. 僕たちの戦争
06. 渋谷からPARCOが消えた日
07. ひらがなけやき
08. 僕たちは付き合っている
09. 大人は信じてくれない
10. エキセントリック
11. また会ってください
12. 制服と太陽
13. 微笑みが悲しい
14. 割れたスマホ
15. 語るなら未来を…
16. 誰よりも高く跳べ!
17. 手を繋いで帰ろうか
-En-
18. 誰のことを一番 愛してる?
19. 不協和音
20. W-KEYAKIZAKAの詩
-En2-
21. 危なっかしい計画

◎公演情報
【欅共和国 2017】
日程:2017年7月22日(土)・23日(日)
場所:山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレスト

最終更新:7/26(水) 12:30
Billboard Japan

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