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イクボス増えてます 県内、人材確保の思惑も

7/26(水) 5:00配信

北日本新聞

 部下の育児と仕事の両立を応援する「イクボス」を宣言する企業や組織のトップが県内で急増している。2015年11月に石井隆一知事が宣言したのを契機に、25日に県が設立した「イクボス企業同盟とやま」には94の企業・団体と6自治体の計100団体が名を連ねた。「働き方改革」の一環として県が後押ししていることに加え、働きやすい職場環境を対外的にアピールすることで、人材確保につなげたい企業の切実な事情もあるようだ。

 イクボスプロジェクトに取り組むNPO法人ファザーリング・ジャパンによると、イクボスの定義は「部下のワークライフバランスを考え、キャリアと人生を応援しながら、組織の業績も上げつつ、自らも仕事と私生活を楽しむ上司」。厚生労働省もイクボス宣言を募集し、ホームページで公開するなど全国に広がっている。

 県内企業のトップを切って2016年2月にイクボス宣言した北陸銀行(富山市堤町通り1丁目)。庵栄伸頭取をはじめ役員、本部の部長、支店長が宣言書に署名し、それぞれ職場に掲げている。

 10年前から仕事と家庭の両立支援に力を入れ、女性行員の育児休業取得率は、ほぼ100%を達成。男性の取得率は14年度末で5・2%だったが、宣言直後の15年度末は上司が積極的に取得を呼び掛けたこともあって53・2%に上昇した。曽良(かつら)亮太経営管理部副部長は「制度をつくるだけでは意識がなかなか変わらない。イクボス宣言は職場の意識や風土を変えるきっかけになった」と話す。

 最近は大企業にとどまらず中小企業、中でも担い手不足に悩む土木・建設業の宣言が相次いでいる。大高建設(黒部市宇奈月温泉)は6月30日に大橋聡司社長の宣言をホームページに掲載。宣言書には「育児フレックスタイム労働制度」「時間単位で取得可能な時短労働制度」など具体的な取り組みが並ぶ。宣言に当たって女性社員にヒアリングし、実現可能な要望を盛り込んだ。大橋社長は「新卒者がなかなか採れない中、女性を含む多様な人材を確保したい。イクボス宣言は学生へのアピールになる」と期待する。

 一方で、県に提出された宣言書は大高建設のように具体的な取り組みを掲げるものは少数派。イクボス宣言は公的な認定制度がなく、様式も自由だ。宣言するだけで「言いっ放し」になる懸念はないのか。県少子化対策・県民活躍課は「まずは参加要件を設けずに広く宣言企業を募って機運を盛り上げたい。浸透を図る中で将来的には成果を求めていく」と説明。イクボス企業同盟で今後、意見交換や研修の場を設けるなど、各企業の取り組みをサポートするという。(社会部次長・室利枝)

北日本新聞社

最終更新:7/26(水) 5:00
北日本新聞