ここから本文です

【徹底分析】カミラ・カベロ、魅力の根源とは? フィフス・ハーモニー脱退の理由を探る

7/26(水) 20:00配信

rockinon.com

昨年末にフィフス・ハーモニーから脱退し、本格的なソロ活動に乗り出したカミラ・カベロ。5月にはシングル“Crying in the Club”をリリースし、ソロ・デビュー・アルバム『The Hurting. The Healing. The Loving.』も9月リリースを予定。今後の活躍がいよいよ期待される。

しかし、そもそもなぜカミラはフィフス・ハーモニーを脱退したのか。

もともとオーディション番組『Xファクター』のアメリカ版にソロとしてエントリーしていた5人をグループとして結成させたという、本家イギリスの『Xファクター』から登場したワン・ダイレクションやリトル・ミックスの結成と成功の物語をそのままアメリカで踏襲してみせたのがフィフス・ハーモニーだ。


アメリカ版『Xファクター』では3位に終わったが、2013年からグループとしての正式な活動が開始され、地道なプロモーション活動を経てEP『Better Together』をリリース。翌年は精力的なライブ活動を続け、クリスマスにはホワイトハウスでのパフォーマンスを実現、15年2月にはついにファースト・アルバム『リフレクション』をリリースした。

この年には「ビルボード」誌が女性アーティストを表彰する「Women In Music」で年間最優秀グループ賞に輝き、さらにセカンド・アルバムの制作にも着手、2016年5月に『7/27』をリリースした。このアルバムでは初登場チャート4位とファースト・アルバムの初登場5位の記録を塗り替え、売上100万枚越えも記録することとなった。



順調に思えていたフィフス・ハーモニーの活動だが、実はカミラは独自に個人マネージャーを抱えていた。2015年にはシンガー・ソングライターのショーン・メンデスとの作曲セッションに居合わせ、それが11月にショーンのシングル曲“I Know What You Did Last Summer ”での客演として結実。印象的なソロ・アクトとしてのデビューを飾ることになった。


さらにカミラは2016年10月にラッパーのマシン・ガン・ケリーの“Bad Things”にも客演し、これも各方面でのテレビ出演などで話題を呼ぶことになる一方で、12月になってとうとうフィフス・ハーモニーからの脱退を明らかにした。



一体、何がカミラをそうさせたのか。ここまでの流れで言えば、フィフス・ハーモニーとしての活動の方が幸先のいい結果を数字として残していたはずで、それ以上にショーン・メンデスやマシン・ガン・ケリーとのコラボレーションが手応えが良かったのかといえば、そういうことでもないはずだ。

むしろカミラの真意はその後の活動にあって、それを端的に表しているのが映画『ワイルド・スピード ICE BREAK』のサントラで、ピットブルとJ・バルヴィンの共作曲にカミラが客演した“Hey Ma”なのだ。


もちろん、ショーン・メンデスとの“I Know What You Did Last Summer ”でも、マシン・ガン・ケリーとの“Bad Things”でも、カミラのパフォーマンスは抜群なものだ。これらのコラボレーションを行った時点ではカミラはまだ10代で、これだけ説得力のある歌を聴かせるというだけでも相当なものだが、“Hey Ma”でのカミラはもう比較のしようがないほど弾けていて、カミラがなにを欲しているのかをあまりにも明確にしている。


つまり、“Hey Ma”は徹底したラティーノ・ポップになっていて、サウンドは超ポップなレゲトン、歌詞はもちろんすべてスペイン語だ。キューバとメキシコのハーフで、5歳でマイアミに定住するまでキューバとメキシコを行き来していたというカミラがやりたいのはまさにこういう音なのである。

逆に、フィフス・ハーモニーではある程度の成功はすでに約束されていたと言ってもいいのかもしれない。しかし、5人のメンバーによる、あくまでもポップ=R&Bユニットであるからには、やりたいことは常にメンバーの最大公約数になってしまうわけで、おそらくカミラの望むラテン路線というのは、なかなか実現されないものになっていくはずだ。

たとえば、フィフス・ハーモニーではEP『Better Together』のスペイン語盤もリリースすることになったが、これもおそらくカミラのたっての願いだったのだろう。しかし、ファースト・アルバム『リフレクションズ』から“Worth It”のスペイン語版をリリースした時にはなんのアナウンスも行われず、リリースも配信のみで行われ、カミラは自身のヒスパニックとしてのアイデンティティの追求をアーティストとして表現していくにはソロになるしかないと判断したのだ。


それでなくても“Hey Ma”のビデオの冒頭を飾る、キューバのハバナ風(実際にはマイアミ)の街を闊歩するカミラのオーラは水を得た魚としかいいいようのない瑞々しさと喜びに溢れている。スペイン語でなにが歌われラップされているのかさっぱり分かりもしないが、間違いなく、彼女の行く道はこれしかないのだ。

今後、キャリアを追求していくにあたってまたジャンルをまたいでいくこともきっとあるだろうが、自身のアーティストとしてのアイデンティティを確立していく今のこの時期には自身の出自をきちんと打ち出したいという決意表明なのだろうし、バルバドス出身のリアーナも初期にはダンスホール・アーティストとして定評を築いていたことも妙に思い出されるのだ。

というわけで、そうした道順を経て実現したメジャー・レイザーの“Know No Better”への客演はまさにカミラにうってつけなものであるし、実際、素晴らしいパフォーマンスで貢献しているとも思う。


その一方で“Crying in the Club”はベニー・ブランコをプロデューサーに迎え、ダンスホール的な情熱をどこまでもポップに鳴らすものとなっていて、カミラのボーカル・パフォーマンスの強さと強烈さをどこまでも聴きやすく届けるものになっている。おそらくファースト・アルバムの内容と方向性を体現するものになっているに違いない。


なお、“Crying in the Club"のビデオでは冒頭がポップでありながらどこまでも悲痛なバラードになっているが、これはシングル“I Have Questions”をそのままイントロに使った構成になっていて、こんなアグレッシブなアプローチがますますファースト・ソロへの期待を募らせるのだ。(高見展)

rockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

最終更新:7/26(水) 20:00
rockinon.com