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【起債評価】5年社債売れ残り、国債利回り上昇でスプレッド縮小

7/26(水) 6:00配信

Bloomberg

7月に登場した格付けが実質シングルA格の5年物社債の幾つかの銘柄で売れ残りがあったことが、複数の投資家の話しで明らかになった。表面利率(クーポン)で発行条件を決める手法が定着する中、基準金利となる国債利回りが上昇した分、差額の金利(スプレッド)が縮小。投資家の購入意欲が低下した。

同月に条件決定した代表的な5年債発行利回りは三菱UFJリース(格付けはR&I:A+、JCR:AA-)が0.18%、川崎重工業(R&I:A-、JCR:A)0.15%、リコーリース(JCR:AA-)0.16%、日産フィナンシャルサービス(R&I:A+)0.07%。情報が非公開だとして、匿名を条件に話した複数の投資家によると、少なくともこの4銘柄は販売に苦戦し売れ残りが確認されたという。ブルームバーグのデータによると同月起債のA格5年社債(投資法人債除く)は計7本ある。

社債の販売苦戦の背景には、絶対的な利回り不足や基準金利の上昇がある。値決めの起点となる基準金利(5年物国債利回り)が依然マイナス圏に沈む中、信用力を反映した上乗せ金利を加えてもマイナス金利から脱せない恐れがあり、プラスのクーポンで発行条件を決める手法が定着している。しかし、世界的な金利上昇で日本国債利回りも上昇した結果、スプレッドは縮小。クーポン方式の年限6年以下の社債のうち、発行量の多い5年債に影響が出ている。

7月の4銘柄の引き受けに関わった証券会社のシンジケート関係者らは、発行額を超過する需要が集まったとしているが、複数の投資家は、条件決定後に割引販売を持ちかけられたと話した。また複数の投資家は、金利上昇を考慮して、シングルA格の5年物の発行利回りは0.2ー0.25%程度をたたき台に交渉を始めなければ、順調には消化できないと指摘した。

先行案件として5月23日に条件決定した芙蓉総合リース5年債(R&I:A-、JCR:A)は利率0.19%。当時の5年国債利回りを差し引いたスプレッドは31bp(ベーシスポイント、1bp=0.01%)程度だったのに対して、7月の銘柄はおおむね20bp台半ばから前半まで縮小している。

ニッセイ基礎研究所の金融研究部主席研究員、徳島勝幸氏は「売れ残った社債がやや安い水準で出回れば、相場に影響を与えるため、次回起債する際の調達コストの上昇を招きかねない」と指摘。そうした発行体は「市場におけるレピュテーションの低下リスクもある」と話す。

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Issei Hazama

最終更新:7/26(水) 9:06
Bloomberg