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“2017 PlayStation Press Conference in China”で見えた、中国市場が歩み始めたPSプラットフォームの独自の道【ChinaJoy 2017】

7/27(木) 0:38配信

ファミ通.com

文・取材・撮影:編集部 古屋陽一

●中国独自の大型IP、『Monkey King Hero is Back The Game』も発表
 2017年7月27日~30日、中国最大規模を誇るエンターテインメントのイベントChinaJoy 2017が開催。会期を翌日に控えた7月26日にソニー・インタラクティブエンタテインメント上海(SIESH)主催による“2017 PlayStation Press Conference in China”が、上海 メルセデスベンツアリーナで行われた。ChinaJoyに合わせてSIESHがカンファレンスを開催するのは、中国で家庭用ゲーム機が解禁されて以降すっかりおなじみ。今年も、ソフトラインアップを紹介しつつ、中国市場におけるプレイステーションフォーマットの戦略が明らかにされた。

 イベントのオープニングで登壇したのは、SIEJAプレジデントの盛田厚氏。盛田氏が登壇するあたり、SIEの中国市場に対する注力ぶりがうかがえるというものだが、まず盛田氏は発売から3年半を迎えたプレイステーション4が、「世界各地での累計実売台数が6040万台で、ソフトの売り上げは5億本に迫ります」と、好調なセールスを記録していることをアピール。さらに、PlayStation Networkのアクティブユーザーは、月間7000万人を超えるという数字も開示してくれた。そして盛田氏は、プレイステーション4が好調の要因としては、「大画面でハイクオリティーなゲームを楽しめるコンソールゲームの特徴」と「PS VRに代表される先進のテクノロジーが体験できるというプレイステーションならではの魅力」が、世界のユーザーに支持された理由であると説明した。

 盛田氏によると、SIEJAはアジア6拠点で事業所を持ち、11のマーケットで直接現地市場向けの活動をしているとのことだが、そのなかでもとくに重要な“戦略地域”となっているのが、中国だという。「中国のゲーム市場規模は全世界でナンバーワンと言われていますが、コンソールの普及はまだ始まったばかりの段階で、もっと多くの皆さんにプレイステーションを楽しんでいただきたいと考えています」という。中国市場の伸びしろは計り知れないというわけだ。最後に盛田氏は、“中国のユーザーに最高のゲーム体験を届けること”、“中国のビジネスパートナーといっしょにプレイステーションの市場を創造していくこと”、“中国から生まれた高品質のゲームを世界に届けること”がSIEの最重要ミッションのひとつだとした。

 続いて登壇したのが、SIESHプレジデントの添田武人氏。添田氏は、プレイステーションが中国市場に入ることで、「数多くのユーザーがコンソールの楽しさを知り、開発チームも成長しました。とはいえ、初心を忘れずに、もっとよいタイトルを提供して、中国国内のコンソールマーケットの成長を促していきたい」とコメント。これまでに100本以上の中文簡体字版のソフトをリリースしており、世界でほぼ同時にリリースした『ファイナルファンタジーXV』は、記録を塗り替えるほどのヒットを記録したといった実績を紹介してくれた。さらに、現在中国の200以上のデベロッパーがプレイステーションプラットフォームで開発をしているという、中国クリエイターの活発な状況も明らかに。

 今後の展開で、まず添田氏がピックアップしたのがプレイステーション VR。これからリリース予定の『MONSTER OF THE DEEP: FINAL FANTASY XV』や『V!勇者のくせになまいきだR』などを紹介した添田氏は、プレイステーション VR向けに11日から動画サービスを展開したことを発表。サービスは無料で、毎月新しいサービスが追加されるという。VRコンテンツ企業との協業も明らかにされ、Youku VRやネットドラゴンウエブソフトといった名前が発表されるや、会場から大きな歓声が湧き上がったところから判断すると、中国でも相当大きな企業とのコラボなのだろう。ラインアップも豊富で、SIEは中国市場ではかなりプレイステーション VRに注力しているとの印象だ。

 もちろん、SIEでは通常のタイトルにも注力しており、『ワンダと巨像』、『NewみんなのGOLF』、『KNACK ふたりの英雄と古代兵団』、『ソニックフォース』といった豊富なタイトルを紹介した。そのあとで、添田氏に紹介されて登壇したのが、コーエーテクモゲームスの鈴木亮浩氏。鈴木氏の口から、自身がプロデュースを担当する『真・三國無双8』の中文簡体字版を、日本語版とほぼ同時期にリリースすることが発表されるや、会場からは大きな拍手が湧き上がった。『三国志』の故郷ということもあり、中国にも『真・三國無双』シリーズの熱心なファンが多いのはご存じの通りだが、そんな本場のファンのために鈴木氏が用意してくれていたのが、『真・三國無双8』の世界初お披露目となる、実機のプレイアブルデモ。関羽を駆使して、?水関の董卓を撃破するというミッションが紹介された。鈴木氏みずからがプレイし、中国語による音声が流されるや、会場からは期せずして歓声が! そう、『真・三國無双8』の中文版では、音声ローカライズも実現しているのだ。ゲームファンならご存じの方も多いかと思うが、音声ローカライズには手間暇とコストが、かなりかかる。鈴木氏によると音声ローカライズは10数年ぶりとのことだが、それだけ『真・三國無双8』に力が入っているということだ。デモでは、広大なマップや一騎当千の爽快感溢れる戦闘シーンなどが披露され、取材陣の注目を集めていた。

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 引き続き、「スポーツ関係のゲームに期待しています」との添田氏の前振りとともに登壇したのが、テイクツー・インタラクティブ アジアのエリック・フォード氏。そう、『NBA 2K18』中文版の発表だ。中国におけるバスケットボール人気にはすさまじいものがあるようだが、会場の興奮ぶりをみて、「NBAに対する熱量は伝わります」とフォード氏。カバー選手であるカイリー・アービング選手がビデオ出演で発表に華を添えた。

 会場では、昨年のカンファレンスで発表され注目を集めた“China Hero Project”の進捗も紹介された。“China Hero Project”とは、SIEが世界に名だたるゲーム用ツールメーカーと一丸となって、中国国内で家庭用ゲーム機開発に対する志を持つゲーム開発スタジオを支援していくというプロジェクト。その最初の取り組みとして、10タイトルが明らかにされており、そのうちの2タイトル『KILL X』と『The Walker』は、SIEサポートのもと、欧米でのリリースが決定しているという。SIEJA デュピティプレジデント(アジア統括)の織田博之氏によると、“優秀な国産ゲームの開発”や“中国の独自IP”、などが“China Hero Project”推進の根幹にあるようだが、まさに地に足を据えて中国の家庭用ゲーム機の産業を成長させていきたいという熱意の現れと言えるだろう。

 なお、「パートナーのサポートが不可欠」という“China Hero Project”だが、カンファレンスではペンタブレットなどでもおなじみのワコムの参加も発表されている。“China Hero Project”は2回目も予定されており、いずれ明らかにされるとのことだ。

 そして、“中国の独自IP”という点では、最後にサプライズが。「中国のスーパーヒーローナンバーワンで、子どものころはみんなあの人になりたかった」というコメントとともに、『Monkey King Hero is Back The Game』が発表されたのだ。『Monkey King Hero is Back(西遊記 ヒーロー・イズ・バック)』は2015年に中国で劇場公開されるや、爆発的なヒットを記録した、『西遊記』をモチーフにした3Dアニメーション。そんな大ヒット作が、今回満を持してゲーム化されることになったようだ。イベントでは、October Animation StudioとOasis Games(設立5年目!)の方が登壇し、「中国の文化を世界に広めたい」と抱負を語ったのだが、日本人として気になったのが、ムービーの冒頭にヘキサドライブのロゴが確認できたこと。いったいどのように関わっているのか、気になるところ。

 “China Hero Project”にしても、『Monkey king Hero is Back the Game』にしても、今年のカンファレンスを取材してみて実感するのは、「中国独自の展開が増えてきたな」との思い。プレイステーションプラットフォームが2015年3月に中国で発売されてから、2年4ヵ月。中国ユーザーとクリエイターのあいだに、プレイステーションプラットフォームは着々と根付きつつあるようだ。

最終更新:7/27(木) 0:38
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