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知財活用、静岡県事業化4件 特許庁「プロデューサー」派遣成果

7/27(木) 8:00配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 地域企業が生かし切れていない知的財産、技術を活用した新事業創出と地域活性化を狙いに、特許庁が2016年秋から本県に派遣している「事業プロデューサー」が成果を積み上げている。26日までに公表した事業化事例は4件。特許庁によると、全国3カ所のモデル地域の中で本県だけが成功事例を生み出しているという。

 派遣されたのは、県内外の金融機関や流通、生保業界などで勤務経験がある増山達也プロデューサー(50)。事業委託先の有限責任監査法人トーマツを通じ、企業の課題を解決に導く目利き力を備えた専門人材として選ばれた。派遣先機関の県産業振興財団(静岡市)を拠点に、ニーズと技術シーズのマッチングから製品開発、資金調達、販路開拓まで幅広く支援する。

 財団やトーマツ、連携する地域金融機関が有する幅広い情報ネットワークを駆使し、1日に3~5社程度面会を続け、ビジネスの芽を見つけ出す。当日に橋渡しするなどスピード感も重視。自動車部品製造サンケミカル(富士市)の反射フィルムを曲面の自転車チェーンカバーなどに加飾成形する技術が、浜松市のレンタサイクル事業に採用された第1号事例を皮切りに、3企業の販路開拓や知財戦略などを支援した。

 増山プロデューサーは「県内外、国外などエリアやしがらみに縛られず、支援先に最適なマッチング」に重きを置き、自身の豊富な人脈もフル活用する。7月上旬には、世界的に活躍するパティシエ辻口博啓氏との5年前からの縁を生かし、辻口氏が学校長を務める金沢市の製菓学校を訪問。複数の著名な料理人が顔をそろえる場で、県内の2事業者が製品をPRする機会を得た。

 腎臓疾患の人でも食べられるような低カリウム濃度のマスクメロンを生産する「Happy Quality(ハッピークオリティー)」(袋井市)、約20度で煮詰める常温常圧濃縮技術を使ったプレミアムフルーツソースの「マコジャパン」(静岡市)の販路開拓やブランド戦略を後押しした。

 現在事業化に向けて60件が進行しているほか、潜在案件60件も控えるという。増山プロデューサーは「静岡型の支援モデル」の構築を視野に、後継育成と活動定着を見据えた事例集も発行している。



 ■事業プロデュ―サーの支援活動の一部

 ▽サンケミカル(富士市)

 反射フィルム加飾成形技術のレンタサイクル事業への採用

 ▽Benefitea(静岡市)

 高級ボトリングティーの商標出願や百貨店常設販売など販路開拓

 ▽CAIメディア(浜松市)

 AI英会話ロボットの国内外特許出願と準備、広報戦略

 ▽SPLYZA(浜松市)

 スポーツ向けSNSアプリの商標出願など知財戦略、販路マッチング



 <メモ>地方創生のための事業プロデューサー派遣事業 派遣先地域の知的財産やネットワークを活用しながら新事業を構想し、実現に向けたプロデュース活動を地方で活発化させる。2016年度から3年間事業。本県以外の派遣先は、さいしんコラボ産学官(埼玉県)、北九州産業学術推進機構(福岡県)。

静岡新聞社