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『GT SPORT』“Amazon プライムデー”の特別企画によるスタジオツアーを開催! 参加体験レポートを紹介

7/27(木) 23:03配信

ファミ通.com

文・取材:編集部 ばしを

●『GT SPORT』の制作現場を直に見学できる夢のツアーを開催
 Amazonが2017年7月10日より開催した“Amazon プライムデー”の目玉商品のひとつ、“『グランツーリスモSPORT リミテッドエディション』制作スタジオ見学ツアー付”。2017年7月21日、ポリフォニー・デジタル本社スタジオにて、商品購入者を招いてのイベントが実施された。本稿では、ファンとの交流も行われたツアーの模様をお届け。

 『GT』ファンなら是が非でも見てみたい開発現場の見学ツアーということで、商品は販売開始後、またたく間に完売。販売数は20個とのことで、幸運にも購入できた商品購入者のうち19名が当日、ポリフォニー・デジタルに集合。『GT』シリーズプロデューサーの山内一典氏より、「直接ユーザーの方とお話しする機会はなかなかないので、スタッフ一同今日の日を楽しみにしていました。今日はこれから、『GT』がどうやって作られているのか、簡単にスタジオを見学していただきます。また、『GT SPORT』の最新のデモバージョンも用意していますので、そちらも存分にプレイしてもらえたらと思います」と参加者への挨拶を行ったところで、スタジオツアーがスタート。

 今回のスタジオツアーは、山内氏自らがガイドをしてくれるというもの。まず初めに、オープンスペースに展示されている『GT』シリーズがこれまでに受賞したトロフィー類や記念品の数々を紹介。今回のイベントは、開発現場以外のスペースは撮影フリーとのことで、参加者たちはそれぞれが思い思いに撮影を楽しみながら、山内氏の説明に耳を傾けていた。

 オープンスペースに設置されている巨大モニターで流れている『GT SPORT』のデモ映像を見ながら、「このテレビはソニー製の“Z9D”という、いま世の中に存在するテレビの中で、いちばん高輝度を出せるもので、4000nitの表示を可能にしています。ただ、『GT SPORT』は最大10000nitまで対応しているので、このテレビでも『GT SPORT』のすべてを表現はしきれていません。もっとテレビモニターが進化すれば、より現実世界に近いコントラスト表示ができるようになります」と、『GT SPORT』がこの先に登場するモニター環境まで見越した輝度表現を行っていることが説明されていた。

 オープンスペースの紹介に続いて招かれたのは、山内氏自身の作業部屋。「『GT』の制作においては、撮影することがすべての作業の基点になっています。ですので、僕を含めたスタッフたちは基本的にカメラをいつも持っており、つねに世界中のさまざまな光をキャプチャしています」と説明をする氏のデスクの横には、膨大な数のレンズがズラリと勢揃い。参加者からの「どういったメーカーのカメラをよく使われていますか」の質問に対して「以前はキャノンを多用していましたが、最近はソニーのαシリーズが多いです」と、参加者と直にコミュニケーションを取りながらツアーは進行していった。

 続けてやってきたのは、さまざまな画面やAD素材などが壁一面に貼り付けられたオープンロビー。まだ公開していない画面も貼り付けられていたためか、参加者より「画面構成はかなり変わりますか?」といった質問が。「メニューの構造自体が『GT SPORT』ではかなり変わって、整理されています。プレイしてもらうと、使いやすくなっていることに気付いてもらえるはずです」と、『GT SPORT』のメニュー構成についての話題も飛び出していた。

 オープンロビーより、いよいよ開発現場に潜入開始。今回のツアーで見学できたのは、コース&オブジェクト、カーモデリングの制作現場で、それぞれ専任のスタッフが、実際に作業している様子を紹介。残念ながら、開発現場の撮影は参加者、メディアも含めて不可とのことで、写真付きでの説明をすることはできないが、実際に制作の風景を見させていただいて、その作り込みのこだわりには心底驚かされてしまった。
 コース制作はまず、専用のヘリに搭載したデータスキャナーで、上空から2000平方メートルを一気にキャプチャ。これは精度が5センチ程度と粗めのため、このデータはコースの全景部分で利用し、路面についてはより高精度のレーザースキャナーをクルマに積んで計測を実施。さらに精度が高いGPSデータも利用することで、コースが再現されているとのこと。
 コース脇に映えている木や草といった植生に関しても徹底したこだわりぶりで、まずは各サーキットに赴き、大量に樹木類の撮影をしたうえで、図鑑で調べるなど、実際の植生を観察。そのうえで、葉っぱの一枚一枚までをモデリングするなど、草木のひとつひとつに対しての真摯な作り込みを披露。ただし、そのままのクオリティで表示することはできないので、最終的にはPS4に最適化した形にデータを修正しているそうだが、ここまでしないと、ライティングの効果による見え方がおかしくなってしまうため、これだけの作り込みをしているのだとか。
 同じくコース脇に設置されているオブジェ類で、観覧車の制作過程も説明されたが、こちらも拡大してみると、ボルトの一本一本や、鉄材の接合部やエッジ部分までがしっかりと作り込まれているといったこだわりで、参加者一同、あまりの細かさにため息が出るほど。「一度その構造を分解し、すべてをデータとして再構築することで、光に対して自然な表現ができるようになるわけです」と山内氏。

 続けて、マシンの制作現場へと移動。CADデータが存在していない昔のマシン制作においては、ゼロコンマ数ミリレベルでの計測が行えるレーザースキャナーで、実車を取り込んだところからスタート。ただし、スキャンしたままのデータではかなり粗い部分も多く、そこから実際の写真などと見比べながら、細かな修正が施されていくことになる。その修正の細かさはまさに職人芸とでもいうべきもので、観察力とセンスの高さが求められるとのこと。メーターの文字盤などでも既存のフォントを使ってしまうと、微妙に偽物感が出てしまうため、あえて手作業で文字を作り込み、本物感が追求されている。
 クルマの形状が出来上がると、今度は検査場とも言えるチームが、実際の写真と比較しての質感チェックを実施。リアルタイムにライティングを施した3Dモデルデータと、実車の写真を比較しながら、最終的に質感の向上を果たしていくというわけだ。実際に開発デスクで見せられたクルマの出来映えは、写真と並べて見てもどちらが本物か区別が付かないほど。金属、樹脂、皮、布といった質感も完璧なうえ、ガンメタカラーのホイールに寄ってみると、細かく入っているラメまで視認できるなど、一見しただけでは伝わりにくいこだわりをこれでもかと採り入れられている様を見て取ることができた。
 「とにかく本物に近づけるということが大前提で、似てるではなく、そっくりそのままを再現するため、日々努力をしています」と語る山内氏は、「出来上がったデータを、PS4でレンダリングできるように軽量化する必要性もあるため、クルマ1台あたりの制作期間は6ヵ月にも及びます。新車が1台増えるたびに、開発現場ではひぃひぃ言いながら制作していますね(笑)」と、制作に膨大な時間がかかっている実情も明かしていた。

 ここまで駆け足で開発現場のツアーを紹介してきたが、コース、オブジェ、マシンの徹底した作り込み(葉っぱの一枚、ボルトひとつ、メーター文字盤のひと文字まで)は、リアルドライビングシミュレーターの先駆けであり、つねにトップを走り続ける『GT』ならではといったところ。
 実際に説明を行っていたデスクの後方では大勢のスタッフ陣が、コースやマシンの制作を行っている姿も確認できるなど、まさにここで『GT』が作られているという実感をもって、開発現場の見学は終了となった。

●開発現場の見学後は山内氏が直接答えてくれるQ&Aセッションを実施
 開発現場の見学をひととおり終えた後は、参加者たちのQ&Aセッションの場が設けられることに。普段のメディア対応とは異なるユーザーと山内氏によるやり取りの一部を紹介していこう。

--デジタルライセンスが日本で取得できるようになるのは、いつ頃になりそうですか?

山内 デジタルライセンスについては、4年前からFIAの皆さんと話し合いをしており、現時点で29ヵ国が参加を表明してくれていますが、自動車業界、モータースポーツの世界は100年を超える歴史があることから、これまでと違う新たな取り組みをすぐにやってみようという流れになりにくい国も多数あります。ただ、『GT SPORT』が発売され、実際に動き始めたデジタルライセンスプログラムがどのような効果をもたらすのかが見えることで、さらに進展していくと思います。

--『GT SPORT』を最高のソフトと思って作られていると思いますが、そのうえで『Forza MotorSport』や『Assetto Corsa』などはどのように捉えていますか。

山内 『Assetto Corsa』は、非常にコア向けに作られている作品ですね。物理的に正しいのかどうかはさておき、その尖り具合はいいのかなと思います。『Forza』はあまりよくわからないです(笑)。

--他社の作品もプレイされたりするんですか。

山内 僕らがユトリロと呼んでいる休憩スペースに、いろいろなゲーム機やソフトが置いてあるので、そこで触ってみることはあります。

--山内さんの好きなクルマと、いまおもしろいと思っているクルマを教えてください。

山内 これまでの歴史も含めて好きなクルマというと、初代フォードGTは僕にとって、いつまでも憧れの存在ですね。マクラーレンF1も同じく、憧れの1台です。最近のクルマで“これはいいクルマだ”と思ったのは、BMWのM2です。また、スバルのXVとインプレッサは、本当にクルマをわかっている人が作っているなと、驚かされました。

--ゲームの収録車種はどのようにして決めているのですか?

山内 今日のツアーでもお話ししたように、1台のクルマを仕上げるのに6ヵ月かかります。僕らのウェイティングリストには膨大な数の車種が並んでいますが、それを元にフォーラムでのユーザーの意見や、こちらから提案したい車種などを勘案しながら、優先順位を決めていっています。ときどき収録車種を決めるミーティングを行っていますが、かなり厳しくやっていますね。

--本当は入れたいのに、事情があっていれられない車種などもあるんですか?

山内 事情というより、物理的な時間の問題がいちばん大きいですね。どれも落としたくはないのですが、実際問題として優先順位を付けなくてはなりません。

--山内さんはこれまで多くのスポーツカーに乗ったり、レースにも参戦されたと思いますが、本物のドライビングと『GT』を比較して、どのような差があると思いますか?

山内 いちばん大きな違いは、実際に命を落とすかどうかという部分です。それ以外は、非常に似ているんじゃないでしょうか。じつは、『GT6』までは実車のほうが素直に動いて、コントロールしやすかったんです。『GT SPORT』になって、かなり乗りやすさが向上し、実車並みのコントロール性に到達できました。

--コントローラを操作してから、画面上で結果が反映されるまでに遅延が発生すると思いますが、『GT SPORT』の遅延の状況はどんなものでしょうか?

山内 遅延の問題は僕ら自身が大きなテーマとして、つねに考えています。最近のゲーム機は並列処理が増え、グラフィックのクオリティも上がっていますが、その分遅延も大きくなっています。また、テレビ側でも高画質回路を経由するため、その処理時間分の遅延時間が上乗せされてしまいます。このように、遅延の状況は理想的とは言えませんが、市販のテレビで問題がないように調整を施すなど、ベストは尽くしています。

--大半のプレイヤーはハンドルではなく、DUALSHOCKで遊んでいると思いますが、コントローラ操作で気をつけているポイントはありますか?

山内 ハンドルコントローラで遊ばれている方は1割に満たないと思いますが、DUALSHOCKでどれだけ遊びやすくするかも、つねに考えて、操作性の向上を追求しています。今日は皆さん、ハンドルコントローラでの操作を楽しんでいただきましたが、『GT SPORT』をDUALSHOCKでプレイしてみると、これまでのシリーズよりも操作しやすくなっているのが感じられると思いますよ。

--『GT』の制作でコストや時間を度外視できるとしたら、何をしてみたいですか。

山内 まずは2000台収録したいですね(笑)。また、世界中のサーキットも網羅したいですし、リアルサーキット以外に再現したい景観など、やりたいことは尽きないです。

--走行中にステアリングに入ってくるインフォメーションですが、これは計算してシミュレートしているのですか?

山内 ステアリング系に関していうと、『GT』って、実車以上にいろいろなインフォメーションがあるんですね。その辺りは僕らがシミュレートして作っているんですけど、そういった情報をきちんと出したい、伝えたいという明確な意思があります。今日皆さんに遊んでいただいたものはE3 2017の出展バージョンになるのですが、じつはThrustmasterの“T-GT”では、もう少し高い周波数の振動制御も行うことができます。そこまで再現すると、路面のざらざら感やスベスベ感といったものまで、ステアリングを通じて感じられるようになるはずです。

--VRへの対応については、どのように捉えていますか。

山内 VRというのは、1962年に登場してから、コンシューマーレベルに降りてくるまで50年以上もかかりました。VRがコンシューマーレベルに下りてきたこと自体は祝福したいですが、まだまだやることがいっぱいあると思っています。まず、解像度はもっとあげなくてはいけませんし、フレームレートももっと向上させなければならない。先ほど話した遅延の問題もすごく大きくて、VRは遅延を許さないデバイスなんですが、いまのGPUって遅延と引き替えに描画パフォーマンスを得ている関係もあって、画質があがればあがるほど、遅延も大きくなってしまうんです。ですので、その辺りで今後どういったハード側での技術的なイノベーションがあるのかを注目していきたいですね。

--今回見学をさせてもらって、かなり作り込んでいることがわかりました。それだけ手間をかけられて、採算は取れているのでしょうか。

山内 おっしゃる通り、1台のクルマを作るのに6ヵ月もかけているゲーム制作会社はほかにいないと思います。その部分は僕らのこだわりでもありますが、『GT』というタイトルがビジネスになっているので、それができているわけです。ここまでひとつのことをこだわり続けて20年間やってこられたということは奇跡的なことですし、それを支えてくださっているユーザーの皆さんに感謝しなければならないと思っています。

 以上を持って、『GT SPORT』スタジオ見学ツアーの全プログラムが終了となった。本来であればツアーの想定時間は1時間程度のところ、実際には見どころが盛りだくさんで、山内氏とユーザーとのコミュニケーションにも花が咲き、結果として2時間程度という長丁場のイベントとなったが、参加者勢は普段見ることのできない生の開発現場を見られたことに満足したようで、最後も思い思いに山内氏と記念撮影を楽しむなど、終始楽しげな表情が印象的だった。
 すべてのプログラムが終了後、山内氏に今回のイベントを終えての率直な気持ちを聞いてみたので、最後に紹介していこう。

--今回のAmazonとの取り組みですが、すごくユニークな施策だと思いました。今回のスタジオツアーを実施した経緯を教えてください。

山内 以前からAmazonさんと何かをしようという企画はいくつか考えていたんですが、今回『GT SPORT』の発売日が発表になって、すごくタイミングがよかったというのがあります。そこで、スタジオツアーというのを提案させていただきました。

--Amazonは普段から利用されているんですか。

山内 僕は黎明期からのヘビーユーザーです(笑)。

--スタジオを紹介するにあたり、何か心掛けたことはありますか?

山内 せっかくスタジオまでお越しいただくわけですから、『GT』の神髄をご覧いただけるように紹介させてもらいました。

--最後のQ&Aセッションでは、メディアからはあまり聞かれないような質問も飛び出しました。実際にユーザーの方と触れあえるツアーを行われて、どう感じられましたか?

山内 これまで一般ユーザーの方としっかり時間を取ってお話させていただくという機会はあまりありませんでしたが、本当はもっとコミュニケーションを取りたいと思っていました。今回はちょうどいい機会ということで実施させていただきましたが、とても楽しかったです。実際にユーザーの方と触れあって僕が感じたのは、いろいろな世代の方が『GT』を遊ばれているんだなということです。僕らが20年前に『グランツーリスモ』を始めたときからのファンの方もいらっしゃいましたし、ずいぶん若い方も含まれていて、同じことを20年続けることの価値というものが、こういうところにあるのかと、あらためて感じさせてもらいました。

--先ほど、Amazonとの企画がいくつか用意されていると言われていましたが、今後もこういったイベントなど、ユーザーと触れあう機会は考えられていますか。

山内 ユーザーとのコミュニケーションはいつでも取りたいと思っているので、機会があればどんどんやっていきたいですね。

--最後に、本作を待っているファンに向けてメッセージをお願いします。

山内 『GT SPORT』は、過去最高の完成度で、これが『GT』の基本形と言えるものになっています。また、『GT』をこれまで遊んだことのなかったプレイヤーの皆さんにとって、これは『GT』というひとつの宇宙の入口として最適な作品だとも思っています。少し大げさに言ってしまうと、『GT』が人生にどう関わってくるのかというところが、すごく明快にわかるタイトルなんじゃないかと思っています。ですので、実際にクルマを運転する体験以上に、生活の一部としての『GT』を体験してください。

グランツーリスモSPORT
メーカー:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
対応機種:プレイステーション4
発売日:2017年10月19日発売予定
価格:通常版:6900円[税抜]、初回限定版:9900円[税抜]
ジャンル:リアルドライビングシミュレーター



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最終更新:7/28(金) 15:51
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