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LACCO TOWER、白と黒 対照的な世界観で魅せた15周年記念ライブ/レポート

7/27(木) 11:50配信

MusicVoice

 ロックバンドのLACCO TOWERが7月17日に、東京・恵比寿LIQUIDROOMでワンマンライブイベント『LACCO TOWER結成15周年特別企画「黒白歌合戦(こくはくうたがっせん)」』をおこなった。バンド結成15周年を記念し、「白の部」と「黒の部」の2部構成で、「薄紅」や最新曲「遥」などアンコール含め全26曲を披露した。松川ケイスケ(Vo)は「サイコーの15周年を迎えることができました!」と集まったオーディエンスに感謝を伝え、15周年記念ライブを締めくくった。

 バンド結成15周年を記念しておこなわれたこの日のイベント。近年は結成10年を超えるロックバンドも頻繁に登場しているが、次のステップとなる15年を迎えるということは、単に時間を積み重ねるだけでは到底到達できない難しさがある。彼らは自身の信じる道を突き進みながら、日本のロックの底辺拡大にも積極的に取り組み、心底ロックに身をゆだねてここまでたどり着いた。その意味では、彼らはまさしく筋金入りのロックバンドの一つといえるだろう。そんな彼らの一区切り、集大成的な意味も持つ、この日のステージの様子を、今回はレポートする。

■新鮮だが、普段通りの自分たちらしさを示した「白の部」

 会場は、時間通りに暗転した。普通に考えればごく当たり前のことかもしれない。しかし、時間通りに事を始める、そんな姿勢が何故か彼ら自身の意気込みにも感じられた。この日のLIQUIDROOMの会場は、文字通りの満員御礼。スタート前にはすでに、フロアを隅から隅までビッチリと埋めてくれた観衆に応える、そんな意気込みにも見えた。

 そして5人はステージに現れた。薄暗い会場の中登場した彼らは、ボーカルの松川ケイスケの提案という浴衣姿で登場した。入場のSEが終わると、重田雅俊のカウントからゆっくりとプレーをスタートした。「白の部」とされた前半のオープニングナンバーは「白」。ゆったりとしたバラードのメロディが会場を包み込み、観衆はただそこに立ち尽くして、じっと松川の歌に聴き入る。

 『心臓文庫』『薔薇色ノ怪人』と、彼らがこの1~2年でリリースしたアルバムのナンバーはどれも複雑で荒々しく、かつ重々しいナンバーであり、それゆえ彼らのステージスタートのイメージもそんな様相が想像されるものだったが、この優しさを含んだナンバーは、「白の部」とした意味がどのようなものかを観衆に伝えることと同時に、彼らのファンに対しては新鮮な一面を見せていた。

 反面、彼らの表情はそんなまったくの新しいチャレンジをしている様でもなく、淡々といつものステージに向き合っているように見えた。浴衣でのステージをリクエストした松川は、そのスタイルのことをちょっとおどけたように語り親しみを見せている。その後「花弁」「楓」「傘」と続くナンバーには、重々しさや攻撃性は含まれないものの、彼らはそれを丁寧に、かつ情熱を込めた演奏を見せることに徹していた。そんな表現ができること、それこそがロックバンドとして活動し続ける意味につながる、そういわんばかりに。

 メジャーキーでポップだが、歌詞に刻まれたその言葉の意味を探りたくなる、そんな魅力的な曲が続く。冒頭の「白」の様にじっくりと聴かせるものもあれば、「薄紅」の様にキャッチーで、つい体が動いてしまいそうなナンバー、体がうずいてしょうがないほどにリズミカルなものもあれば、重田の刻むリムショットが楽曲の深みを観衆に染み込ませたりと、「白の部」というテーマに絞ってみても、その幅の広さを見せる楽曲群で観衆を魅了する。そして「黒の部」へのつなぎとともに、ラストナンバーはイベントタイトルの「黒白(こくはく)」にも掛けたのか、バラードの「告白」で丁寧にステージを締めた。

■「白の世界」を通過し、さらにトチ狂った「黒の世界」へ

 前半後半のハーフタイムには、会場のサイド側に設置されたスクリーンに映像が流され、彼らと同期年代であるバンド仲間のNorthern19、NUBO、四星球、アルカラと、LACCO TOWERと同郷である群馬出身の、MERRYのボーカリスト・ガラらからのお祝いのメッセージが流れた。冗談を絡めながらも、LACCO TOWERへの心からのお祝いを語る彼ら。LACCO TOWERは彼ら自身だけでここまで来られたわけでない、逆に彼らがいなければ、他のバンドもここまで来られなかったのではないだろうか。見ていた観衆は、そんな思惑を巡らせているような様子を、その表情にたたえていた。

 そして再び訪れたスタートの時間。暗転した会場で、派手なレーザーを使用した照明が彼らの登場を飾る。激しく鳴り響くSEに、手拍子で合わせる観衆。「さあさあ参りましょうか?恵比寿LIQUIDROOM!準備は宜しいですか?トチ狂う準備はできていますか?騒ぐ準備はできているか!?」けたたましく鳴り響くビートの中、松川が叫ぶ。重田が重々しく叩くビートに、塩崎啓示のベースと細川大介のギターが厚みを加え、その上に奇怪な真一ジェットのピアノの音が舞う。

 「白」とは対照的な「黒の世界」が、そこに描かれた。バンドの生み出す分厚く、重く、激しいサウンドに時に語るように、またある時にはおどけて、そして別の時には叫ぶように歌う松川の歌は、これだけ重々しいサウンドの中でも、聴くものがさらにその言葉を追いたくなるような欲求を煽り立ててくる。「白の世界」を通過したから余計にそう感じられたのだろうか。そしてステージの最後を飾ったのは、「LACCO TOWERそのものを表した」という彼らのミニアルバム『薔薇色ノ怪人』のオープニングナンバー「怪人一面相」。

 この曲に行きつくために、これまでの道のりはあった、そんな思いすら感じられるところだ。そのメロディをかみしめるように松川は歌い、そしてその声をじっと心の中に染み込ませる観衆。その絵図はまるでグリム兄弟が記録したドイツの逸話「ハーメルンの笛吹き男」のように、一人の男がその笛(声)で人々を誘いだしているかのようだ。

 それは一方から危険だといわれていた構図でもあり、他方でロックの最大の魅力を示す一面でもあった。「最後まで付き合ってくれてありがとう!おかげでサイコーの15周年を迎えることができました!」松川から告げられたその言葉で、バンドはこの日会場に訪れた人、そしてこれまで自身らを支えてくれた多くの人たちへの感謝を伝えるとともに、この日のステージの終わりを迎えた。

 冒頭に「集大成」「一区切り」とことわったこの日のライブだが、実はこの日のライブはそんな雰囲気は見られなかった。もちろんセットには新旧のナンバーを混ぜ合わせ、今のLACCO TOWERでできる、出せる音にこだわったものとなっていたが、彼らの背景に見えるものはここで大きな一区切りと立ち止まる様子はまったく見えない。まだまだ、自身からあふれるものを、隙あらばどうやって観衆に伝えてやろうか?そんな企みさえ見える。

 松川は一曲始まる毎、終わる毎に歌った歌のタイトルを告げた。それは彼らが15年前に想像できなかった、成長した今に甘んじず、さらに新たなつながりを求める思いのようにも見える。LACCO TOWERはさらに大きくなるだろう。それはこの日のステージからも、明らかであるようにも思えた。(取材=桂 伸也)

『LACCO TOWER結成15周年特別企画「黒白歌合戦(こくはくうたがっせん)」』
2017/07/17 @恵比寿LIQUIDROOM

セットリスト

白の部:
01. 白
02. 花弁(はなびら)
03. 楓
04. 傘
05. 藍染
06. 薄紅
07. 朝顔
08. 香
09. 幸福
10. 蛍
11. 組絵(ぱずる)
12. 告白

黒の部:
01. 蛹(さなぎ)
02. 奇々怪々
03. 模細工(もざいく)
04. 凡人論
05. 螺旋
06. 橙
07. 罪ノ罰
08. 葡萄
09. 少女
10. 苺
11. 秘密
12. 怪人一面相
encore
E01. ラッコ節
E02. 遥

最終更新:7/27(木) 11:50
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