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<相模原殺傷1年>「不幸と決めつけないで」 事件後に防犯強化、「開かれた施設」遠く…

7/27(木) 10:32配信

千葉日報オンライン

 26日で発生から1年となった相模原殺傷事件は、多くの障害者と、障害者を支える人たちの心に深い傷を残した。千葉県内の障害者支援施設は事件後、防犯対策を強化し、目指してきた「開かれた施設」との矛盾に苦悩。障害者は「不幸だなんて決めつけられたくない」と声を上げるとともに、事件を契機に「区別のない、手を差し伸べてくれる社会になれば」と強く願う。

 26日午後、千葉市若葉区の障害者支援施設「若葉泉の里」(伊藤文彦施設長)。

 訪問者に利用者が「こんにちは」と温かく声を掛ける。奧の部屋では、職員に支えられながら歩行練習に取り組む利用者の姿。職員は「人生の一部をお手伝いさせてもらっているんですよ」と温かいまなざしを向ける。

 同施設では常時介護が必要な重度の身体障害のある19~81歳の36人が入所。そのほか短期入所や、入浴、歩行訓練などのために通所する障害者も。必要とされる支援の程度を表す「障害者支援区分」では、もっとも重い「区分6」が約8割を占める。

 障害者差別を主張する元施設職員、植松聖被告(27)が起こしたとされる凶行は「施設内のショックも相当大きかった」。伊藤施設長(66)は事件の衝撃を振り返る。

 事件を受け、同施設は侵入者対策として防犯カメラを設置し、刺股を購入。初めて警察との防犯対応訓練も行った。

 これまで開放していた正門を午後9時以降は施錠。「『ハコモノ』の福祉施設としての考えから、地域化を目指していたのに…。利用者を守るためには仕方ない」(伊藤施設長)と声を落とす。

 「利用者から『職員の具合が悪そう』と教えてもらうことも。利用者の笑顔に助けられることもある」という安達修子副施設長(58)。「障害者だから不幸-だなんて他人が決めることではない」と語気を強めた。

 「自分も被害に遭ったかもしれない」

 同施設の利用者で車いすの佐瀬まりこさん(36)は声を震わせる。

 事件はテレビで知った。「障害者は不幸」とする植松被告を「障害を持ちたくて持ったものではない。それでも障害者をそういう風にしか見られないのはかわいそう」と批判した。

 一方で、脳性まひを持つ賀家徹さん(37)は「(植松被告のように)障害者は不幸と思っている人はいるんじゃないかな。“差別”をなくすのは難しいが、“区別”をなくして手を差し伸べてくれる社会になれば」と願った。

 同施設は、事件後もイベントなどを通じて近隣の小学校や幼稚園、地域の人との交流を欠かさず行っている。伊藤施設長は「障害者を受け入れる教育も必要だが、暮らしている中で障害があってもなくても個性として捉えてほしい」とし、「片手の不自由な人が物を持てないとき、そっと手を差し伸べてくれるような社会に」と望んだ。