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ダウンフォース値は最大2.2G! トヨタのチーフエンジニアが語るヤリスWRCの“強さ“とは

7/27(木) 13:01配信

motorsport.com 日本版

 18年ぶりのWRC(世界ラリー選手権)復帰参戦にもかかわらず、トヨタのエースであるヤリ-マティ・ラトバラが開幕戦モナコで2位につけたほか、第2戦スウェーデンで勝利を獲得。さらに第7戦イタリアでは同じくラトバラが2位入賞を果たすなど、まさにトヨタのワークスチーム“TOYOTA GAZOO Racing“は、2017年のWRCで猛威を発揮している。その原動力となっているのがトヨタ・ヤリスWRCだ。

写真:現在ランキング3位のヤリ-マティ・ラトバラ。母国戦フィンランドに挑む

 ラリーオペレーションやマシン開発など、TOYOTA GAZOO RacingのWRC参戦で主軸を担っているのは、チーム代表のトミ・マキネンが率いるトミ・マキネン・レーシングだ。当然ながらWRカーの開発はこの2017年型のヤリスWRCが第1号モデルにあたる。その言わば“処女作”が最前線で活躍しているが、ヤリスWRCの強さはどこにあるのだろうか?

 チームの母国ラウンドとなる第9戦ラリー・フィンランドでTOYOTA GAZOO Racingのチーフエンジニア、トム・ファウラーを直撃したところ、次のようにヤリスWRCの開発コンセプトを語ってくれた。

「WRCは様々なステージを走るため、どんなコンディションでも簡単にドライビングできるようなクルマを理想とした。同時に完走しなければならないので強いクルマを目指した」

 まさにヤリスWRCの特徴はステージを選ばないコントロール性の高さと耐久性にあるが、さらに“どこが強いのか?”という疑問に対してファウラーは「サスペンションシステムの完成度は高いと自負している。さらにエアロダイナミクスも良くできていると思う」と回答。

 2017年のWRCマシンを語るときに欠かせないキーワードであるエアロダイナミクスだが、「今年のレギュレーションでエアロダイナミクスの自由度が今までにないぐらいに高くなり、より空力パッケージがマシンのパフォーマンスを左右することになった」とファウラーは語る。

 通常、スーパーGTなどのGTカーのダウンフォースは最大で3Gと言われているが、ファウラーによれば「サーキット用のレーシングカーほどではないが、ヤリスWRCもグラベルで1.6G、ターマックでは2.2Gのダウンフォースが掛かっている。レーシングカーと違ってラリーカーは車高とサスペンションストロークを確保しなければならないし、マシンの姿勢制御を行うための要素も必要であるため細かい部分では異なるが、今はラリーマシンといえどもエアロダイナミクスは重要なアイテムになっている」とのことだ。

 事実、ジャンピングスポットでのマシンの姿勢を見ても分かるとおり、2017年型のWRカーは巨大なリヤウイングが強いダウンフォースを生み出していることから、フロント側がリフトした姿勢で着地するシーンも珍しくはない。つまり、2017年型のWRカーはドライビングを変えるほどエアロダイナミクスが重要なポイントとなっているが、ヤリスWRCはこの空力性能の高さが抜群のコントロール性能を実現し、前半戦の躍進を演出したのである。